モンスターシャフトが進化した!棒の中に感じる“メリハリ感”「24 ベンタス ブラック」
ロリー・マキロイ(北アイルランド)やスコッティ・シェフラーなどハードヒッターからの信頼の厚い「ベンタス ブラック」。11月14日に2代目「24 ベンタス ブラック(VENTUS BLACK)」の発売が決まった。今回は最新モデルだけではなく、兄弟モデル「ベンタス TR ブラック」も含めた「ベンタス ブラックシリーズ」と合わせて試打比較。製品の特徴をギア知識が豊富なミタさんが解説。気になる飛距離性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打をして分析した。
ベンタスの象徴「ベロコア」が進化!ヘッドのねじれがさらに抑制
【ミタさん】
「ベンタス ブラック」はPGAツアーや日本男子ツアーでの使用率がとても高いシャフトです。今回はその新モデル「24 ベンタス ブラック」を紹介します。
【シオさん】
ちょっと私にはハードすぎるシャフト。今までの「ベンタス ブラック」は全く歯が立たない感じでした。
【ミタさん】
PGAツアーのトップ選手が好むシャフトなので、たしかにハードです。おそらく、今発売しているカスタムシャフトの中でもトップクラスに手強い。でも、コウタロウは使っていたよね。
【コウタロウ】
実は…1年以上「ベンタス ブラック(6X)」を使っていたんですけど、段々キツくなってきて、今は違うシャフトを使っています。
【シオさん】
コウタロウ君でも厳しいの?
【コウタロウ】
1球、2球はすごくイイ感じで打てるし、ナイスショットしたときは初速も出てすごい飛ぶ。でもコースでちょっとスイングが悪くなると全部右プッシュ。ダイレクトに動く反面、全くお助け要素がない。だから今は「ベンタスTRレッド」にしました。「ベンタス ブラック」は使いたい気持ちもあるので、新作の「24 ベンタス ブラック」は興味があります。
【シオさん】
性能的には何が変わりましたか?
【ミタさん】
いちばんの変化はベンタスの象徴でもある「ベロコアテクノロジー」が進化して、「ベロコアプラステクノロジー」になったことです。これまでは70トンの超高弾性カーボンシートを使って、先端部分のトルクを抑えていました。新作では高弾性素材をさらにアップグレードさせたことで、安定感とボールスピードをアップさせたようです。
【シオさん】
つまり、先端がさらに硬くなったってことですか?
【ミタさん】
「ベロコアプラス」はあくまでねじれを抑えることを主としているので、フィーリングで硬くなったとは感じにくいと思います。とはいえ、そもそもの先端部の剛性はトップクラスで硬いことに間違いありません。
【コウタロウ】
モンスターシャフトがどう進化したのか楽しみですね。
【シオさん】
やっぱり私には…。
【ミタさん】
とりあえず打ってみましょう!
やっぱり左には行かない!初代からのスイッチも問題なし
【シオさん】
私のヘッドスピード(約40m/s)ではやっぱり「24 ベンタス ブラック」は無理でした。パキパキしていて、全くしならない"棒"です。寛容性の高い「Qi10 MAX(10.5度)」でしたが、それでも打球が上がらなかったです。
【ミタさん】
ちなみに前作の「ベンタス ブラック」はどうでしたか?
【シオさん】
大きな違いはなく、どちらも"棒"です(笑)。唯一「ベンタス TR ブラック」だけはしなりを感じましたし、つかまりも良かったのですが、ボールが上がらないのは変わりませんでした。
【ミタさん】
「ベンタス TRブラック」の振動数はいちばん高いのですが、実際に打つとしなりやすいという声が多い。その理由は手元側の剛性を高めたことにより、中間部分がしなりやすくなったからだと思います。
【シオさん】
でも、3本とも「ベンタス ブラック」であることには間違いない。ヘッドスピード40m/s前後のアマチュアは5Sでも歯ごたえを感じられると思います。
【ミタさん】
コウタロウはどうでしたか?
【コウタロウ】
「24 ベンタス ブラック」は前作の"棒"っぽい硬さのなかでメリハリがついた印象。先端部は相変わらず硬いですが、手元側の硬さは多少緩和されたような気がします。僕は今作のほうがしなりを感じられて振りやすく、コントロールがしやすい。また「ベンタス ブラック」よりもオフセンターヒットの初速ロスが少ないから飛距離も安定しました。「ベンタス ブラック」の魅力である、左に行かない、ロースピンの特徴は変わっていませんね。パワーヒッターが思いっきり叩いて左に飛び出しても、プルフェードで戻ってきます。ヘッドスピードが速いフェードヒッターと相性がいいでしょう。
【ミタさん】
PGAツアーのトップ選手はフェードヒッターが多いので、それも「ベンタス ブラック」の使用率が高い理由の一つかも知れませんね。あらためて打った前作の「ベンタス ブラック」はどうでしたか?
コウタロウ試打データ/Qi10(9.0度)
【コウタロウ】
やっぱりスピン量が少ないですね。私はヘッドをスタンダードの「Qi10(9.0度)」で打ちましたが、前作の「ベンタス ブラック」はバックスピン量が1800回転前後。一発の飛びはあるんですが、ミスしたらドロップしそう。「24 ベンタス ブラック」だとスピン量は2000回転強で良さそうです。
【ミタさん】
「24 ベンタス ブラック」の平均初速は魅力ですね。パワーヒッターからの人気は衰えなさそう。
【シオさん】
逆にヘッドスピード40m/sだと初速が出なくて悲しい…。
シオさん試打データ/Qi10 MAX(10.5度)
【ミタさん】
「ベンタス ブラック」は「ベンタスシリーズ」の中でも最もハードなシャフト。使いこなすには最低でもヘッドスピード45m/sは必要です。「24 ベンタス ブラック」は前作より少しマイルドになったと感じるかも知れませんが、極端にやさしくなったわけではありません。基本性能は変わっておらず、ストライクゾーンはやはりプロやアスリートになってくるシャフトです。前作の「ベンタス ブラック」を打って「使えないことはないけど、ちょっとだけハードかな」と思って、あと一歩で断念したゴルファーはもう一度手に取ってみると面白いかも知れません。
【コウタロウ】
それ、俺のこと!? 確かに前作は最上段にいた感じですが、今作は1段だけ下りてきてくれました。
■ 試打したシャフトのスペック
藤倉コンポジット 24 ベンタス ブラック
●モデル/フレックス/重量/トルク
BK5/S/59.0g/3.5、X/59.5g/3.3
BK6/S/66.0g/3.2、X/66.5g/3.0
●調子:元
藤倉コンポジット ベンタス ブラック
BK5/S/57.5g/3.7、X/58.5g/3.3
BK6/S/64.0g/3.4、X/65.0g/3.1
●調子:元
藤倉コンポジット ベンタス TR ブラック
BK5/S/59.0g/3.5、X/60.0g/3.3
BK6/S/69.5g/3.1、X/70.0g/2.9
●調子:元
■ マイクラブ情報
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S
コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X
■ ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。
■ コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。
■ シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。