“名馬はことごとく悍馬より生ずる” 女子プロもハマる450ccの異端児 スリクソン「ZXi RKT TR」ドライバー
4機種ある「スリクソン ZXi RKT」の中で、最も小ぶりなヘッド「TR」。男子ツアーでも使用者は少ないが、なぜか女子ツアーでは菅楓華や尾関彩美悠らが実戦投入している。シリーズ唯一の450ccヘッドを採用し、4モデルの中でも特に操作性を重視したモデル。ターゲットは決して広くないかもしれないが、ハマれば強力な武器になりそう。その特徴をギア知識が豊富なミタさんが解説。飛距離性能、打感、構えやすさを、アスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
小ぶりな450ccヘッド 左を消せる操作系ドライバー
【ミタさん】
今回紹介するのはスリクソン「ZXi RKT TR」です。スタンダードモデルの「ZXi RKT」(以下、コアモデル)と比べても、かなり操作性を重視した設計になっています。
【シオさん】
これはニッチなモデルですよね。
【ミタさん】
正直に言って、多くのアマチュアゴルファーに向けたドライバーではないと思います。ターゲットはかなり狭いかもしれません。
【コウタロウ】
「MAX」やコアモデルと比べて難しいのはわかりますが、松山英樹選手が使っている「LS」と比較してどうなんですか?
【ミタさん】
「LS」はヘッド体積が460ccでしたが、「TR」はシリーズ唯一の450cc。アドレスするとひと回り小さく見えます。操作性の高さは「LS」以上と言っていいでしょう。
【シオさん】
前作の「ZXi TR」と比較すると?
【ミタさん】
前作よりも重心が浅くなり、重心距離は短くなっているので、さらに操作性に特化したドライバーになっています。
【コウタロウ】
ここまで尖ったモデルなのに、ちゃんと続いているんですね。どんなゴルファーが選んでいるんですか?
【ミタさん】
意外かもしれませんが、必ずしもヘッドスピードの速いゴルファーばかりではありません。むしろ入射角との相性が大きいモデルです。アッパー軌道で打つタイプの中には、コアモデルや「MAX」だと打球が上がり過ぎてしまうプロもいます。そういったタイプが「LS」や「TR」を使うと、打ち出し角やスピン量が適正になって、結果的に飛距離を伸ばせるケースもあるんです。
【シオさん】
フェース素材は同じですか?
【ミタさん】
はい。それは4機種共通で「ゼクシオ14」とおなじ「VR-チタン」です。
【コウタロウ】
なるほど。見た目は昔ながらのツアーモデルですが、中身はしっかり最新テクノロジーが入っているんですね。
難しいけど球は強い!ハマれば武器になる「TR」
【シオさん】
良い顔をしていますが、「LS」よりもさらに小さく見えますね。
【コウタロウ】
でも、ポテンシャルを感じる形状です。当たれば飛びそうな雰囲気があります。
【ミタさん】
打った印象はどうですか?
【シオさん】
申し訳ないのですが、ヘッドスピード40m/sの私は1球打って、これは無理だと思いました。「LS」よりスピンは入ってくれましたが、打球がつかまらない。何球打ってもプッシュスライスばかり。コアモデルと比較すると15ヤード以上も飛距離が落ちてしまいました。
【ミタさん】
シャフトはどうでしたか?
【シオさん】
「LS」と同じ純正シャフトの「ベンタス ZXi-II 5S」でしたが、やっぱりハードに感じます。中間から先のしなりがあまりなく、純正シャフトとしてはかなりしっかりした部類に入ると思いますよ。
【ミタさん】
コウタロウはどうでしたか?
【コウタロウ】
ヘッドスピード50m/s近くありますが、それでも簡単には打ちこなせません。「LS」と比べてもハードですし、高さが出ないのでキャリーを稼ぐのも難しかったです。
【ミタさん】
2人とも打ち出し角が低かったですね。
【コウタロウ】
はい。なので、弾道を安定させるのは簡単ではありませんでしたが、打球はとにかく強い。操作性が高いだけでなく、球の強さも感じられるので、ドローでもフェードでも飛距離を出せるのは魅力だと思います。
【シオさん】
打感もいい。他の3モデルよりも締まった音がしていて、スリクソンらしい打球音。この打感が好きな人はけっこう多いと思います。
【ミタさん】
どんなゴルファーに向いていますか?
【コウタロウ】
やはり重心距離の短い操作系ヘッドを好むゴルファーでしょうね。振り感も「LS」に近くて、シャープに振れます。「LS」でも、まだ「つかまりすぎる」「左に行くのが怖い」という人は「TR」を試してほしい。「TR」なら左のミスは消せると思います。
【シオさん】
高さがしっかり出せて弾道のコントロールができる上級者のイメージです。インパクト付近はとても軽快なんですが、“小ぶりなヘッドが好き”というだけでは、なかなか打ちこなせない気がします。
【ミタさん】
「ZXi RKT TR」は「TR」の名前の通り、ツアーモデルを色濃く受け継ぐモデルです。「LS」と比較するとわずかに慣性モーメントとスピン量は多めですが、打ち手によっては「LS」以上にシビアに感じることもあるでしょう。ただし、操作性を重視するゴルファーには魅力的なモデル。左を嫌って積極的にボールを操りたいゴルファーには、これ以上ない選択肢になるかもしれません。
【コウタロウ】
誰にでも勧められるモデルではありませんが、ハマる人には強力な武器になると思います。
まとめ
試打したクラブのスペック
スリクソン ZXi RKT TRドライバー
●ロフト角:10.5度(シオさん)、9度(コウタロウ) ●ベンタスTR ZXi-II 5(シオさん)、シャフト:26ベンタス TR ブルー6(コウタロウ) ●硬さ:S(シオさん)、X(コウタロウ)
■ ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。
■ コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。
■ シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。