カリー・ウェブと藤田さいきがサプライズ対面 演出したのは日本シャフト
昨季11年ぶりのツアー優勝を果たした藤田さいきに今秋、思いがけないサプライズが用意された。中学生のころからの憧れの存在であるカリー・ウェブ(オーストラリア)との対面。その機会を提供したのは両者と契約を結ぶ「日本シャフト」だった。同社のYouTube撮影とだけ聞かされ、何も知らずにやってきた藤田の反応はいかに。
■「神様が降臨した」
上総モナークカントリークラブ(千葉)の室内練習場で撮影を前に軽くウオーミングアップをする藤田にゆっくりと近づく人影。それがウェブだと気づいた瞬間、藤田は悲鳴にも似た声を上げて泣き崩れた。メジャー通算7勝、米女子ツアー賞金女王3回のスーパースターが突然現れれば、驚くのは当然だが、そのリアクションは想像以上のものだった。
藤田がゴルフを始めたのは小学校高学年のころ。父親のすすめというよりはやや強引にコースや練習場に連れていかれた。「中学に入ってからは地元の大会に勝手にエントリーされて試合にも出るようになりました。まだゴルフが好きというわけではなかったですね」
そんな気持ちに変化を与えたのが当時世界最強のウェブだった。美しいスイングから放たれる高弾道、軽く振っているように見えて距離も出る。「スイングだけではなく、雰囲気も大好きでした。本格的にゴルフをやるなら私もあんな選手になりたいと思っていました」
ゴルフにのめり込むのは中学3年になってからだったが、それ以前からの憧れの存在。だからこそ、ウェブと顔を合わせたときには「神様が降臨したって感じで、涙が止まりませんでした」。そして2人はこの後、9ホールのマッチプレー対決に臨むのだった。
■過去に同組プレーも当時は「黒子」と「大スター」
ウェブと藤田が一緒にプレーするのは今回が初めてではない。日本開催の米女子ツアー「ミズノクラシック」(現「TOTOジャパンクラシック」)の2007年大会最終日と2014年大会2日目で同じ組になっている。藤田にとってはその年の賞金女王に輝くステーシー・ルイスとの3サムだった2014年がより印象に残っているようだ。
「すごいペアリングだったので他の日本人選手に『代わってほしい』なんて言われました。邪魔しちゃいけないと思ったので私は黒子のようにプレーしていたと思います。ただスコアだけは良くて、ホールアウトしたときに『ナイスプレー』と声をかけてもらったのがうれしかったですね」。最終成績はウェブとともにプレーオフに1打及ばず4位タイ。9年前の出来事が鮮明に記憶されている。
一方のウェブもサプライズの成功には大満足していた。「楽しかった。あんな風にリアクションをしてくれる人はなかなかいないもの。彼女の反応は私にとってもサプライズだったわ」。対決が始まっても数ホールは泣きながらプレーしていたのだから、ウェブも驚いたのだろう。
プレーヤーとしての藤田についても「弱点がない選手でテンポがいい。無理なくパワーを出せるスイングも素晴らしい。本気になったら私を40ヤードぐらい置いていけるんじゃないかしら」と絶賛。今年はまだ優勝がない藤田に「自信を持って今のプレーを続ければ、必ず勝てると思う」と声をかけた。