カリー・ウェブが語るクラブのこだわりと日本文化へのリスペクト
メジャー通算7勝、3度の米女子ツアー賞金女王など、カリー・ウェブは女子ゴルフ界のレジェンドと呼ぶにふさわしい実績を残してきた。現在は第一線を退いているものの、47歳で迎えた2022年シーズンは米女子ツアーで3試合に出場し、チーム戦の「ダウグレートレイクスベイ招待」(15位)を含めて2試合で予選通過。長くゴルフファンを魅了するプレーを支えてきたクラブへのこだわりには、日本への特別な思いが秘められている。
契約フリーを貫き続けたクラブ選び
今年7月、ウェブは久々に長年のライバルとのマッチレースを演じた。「全米女子プロシニア選手権」でアニカ・ソレンスタムを4打差で振り切り、シニアツアー初優勝を遂げたのだ。「以前のような雰囲気でアニカとプレーして、勝つことができたのはすごくうれしかったです」。90年代後半から2000年代前半の女子ゴルフ界を牽引した2人がシニアの舞台で見せた優勝争いは、ファンだけではなく、戦った本人たちにとっても楽しい時間だったに違いない。
1996年に米女子ツアーに参戦し、いきなり4勝を挙げて賞金女王に輝くなど、常にスタープレーヤーとして輝きを放ってきたウェブ。現在は母国のオーストラリアでミズノとクラブ契約を交わすが、キャリアの後半から長く契約フリーを貫いてきた。
「その時々でいいと思うもの、好きなものを使いたかったからです」。その言葉には、クラブへの強いこだわりが見え隠れする。重視するのはフィーリングとコントロール性能。「日本のフォージド(鍛造)アイアンは、リーディングエッジに丸みがあって抜けがいいので好きです。アイアンに関してはフィーリングと顔が気に入れば、積極的にチェンジします」と明かした。
反対に、ドライバーはなかなか替えられないという。「テクノロジーのおかげもあって飛距離はそれほど落ちていませんが、若い選手はもっと飛ばすし、コースも長くなっています。ティショットがフェアウェイになければバーディチャンスを作れないので、ドライバーを替えるのは難しいんです」
ウェブは一般に飛ぶとされるロースピンのドライバーよりも、コントロールしやすい適度にスピンが入るモデルを好む。飛距離の差を補うために飛びを求めるのではなく、よりフェアウェイに置けることにこだわるところにプレースタイルが表れている。