ゴルフ中心から解放されたプライベート 一時代を築いたカリー・ウェブのいま
後進の育成とコース設計
自身は試合でプレーしなくても、ゴルフとは常に関わりを持ち続けている。後進の育成には現役時代から力を入れてきた。オーストラリアの女子アマチュアを対象に、選定された競技の成績に応じてポイントを付与する「カリー・ウェブ・シリーズ」上位者に奨学金を提供。15年前からは授与された選手をメジャー大会の観戦に招待し、ツアーを戦う上での心構えや大会そのものの大切さなどを教えることもしている。ジュニアにとっては、憧れの大先輩と一週間ほど生活をともにしながら、メジャーを間近で見られるというまたとない体験だ。
「私も今年は観戦をする立場でしたが、アマチュア選手と一緒に『全米女子プロ』に行きました。今LPGAで活躍しているほとんどの選手たちと、何らかの形で関わってこられたと思います」。ミンジー・リー、ハンナ・グリーンと、近年はオーストラリアから若手のメジャーチャンピオンが続々と誕生している理由のひとつに、ウェブのサポートがあることは間違いないだろう。
また、3年前には会社を立ち上げ、コース設計にも関わっている。「ブリスベンのインドロピリーGCというゴルフ場のコース改修を手掛けています。36ホールのうち9ホールの改修が始まりました」。オーストラリアや米国はもちろん、イギリスのリンクスや日本のコースでもプレーしてきた経験が存分に生かされるはずだ。
「私はさまざまなタイプのコースが好きなので、それぞれの地形に合ったコースを設計したいと思っています。難しいことだとは思いますが、最高レベルのトーナメントが開催できて、一般の方にも楽しんでプレーできるようなコースが作れたら理想ですね」。いつかは日本にもウェブが設計、あるいは改修に携わったコースができるかもしれない。
機会があれば再び日本でプレーを
まだまだプレーヤーとしての姿を見たい日本のファンは数多くいるだろう。そんな期待に応えるように、ウェブは語る。
「一番多くのギャラリーの中でプレーしたのは日本です。2005年の『サロンパスワールドレディス』で、宮里藍選手、横峯さくら選手と同じ組のときでした。1つのホールに1万人ぐらいいるのではないかという感じで、あの光景は今でも忘れられません。海外のプレーヤーを招待する試合が減っているようですが、機会があれば、また日本のたくさんのギャラリーの前でプレーしたいと思っています」
ウェブはかねて親日家として知られるほか、ツアーを転戦していた当時から契約する日本シャフトとの関係は継続中。現在はミズノとも契約しており、ツアーから離れた今も日本は身近な存在だ。
彼女のなるべく埋めていないスケジュール帳に、日本でのトーナメント出場の予定が書き込まれる日を楽しみに待ちたい。