テーラーメイド R9 スーパーディープ TP ドライバー
打ってみると?
試打クラブはロフト9.5度。シャフトは純正の「モトーレF1 65(フジクラ製)」、ロフト9.5度表示でリアルロフトは10.25度、フェースアングルは-1.75度(ノーマルポジション)。アドレスするとフェースは目標よりも右を向いている。スライサーよりも、左を嫌うフッカー向けの顔付きだ。そして、ハードヒッター向けにしては、リアルロフトがやや多めだ。
シャフトもハードヒッターをかなり意識しているようで、重くて硬い。クラブ重量は322.9gでバランスD1。硬さの目安となる振動数は267cpm。長さは実測で44.75インチ。ワッグルすると手元から中間部分にかけて少しだけしなる。
ディープフェースな分だけティをいつもより5ミリ高くして打ってみると・・・見た目通り、ボールはやや低めに打ち出され放物線のような弾道。途中でフワッと浮く感じはなく、棒球。球離れがやや遅めで、インパクト音は「スパーン」と金属音。音自体はそれほど甲高くない。
まずはノーマルポジションで弾道計測してみると・・・打ち出し角が14度前後で、スピン量は2200~2400回転。スピンが非常に少なく、オートマチックに低スピン弾道が打てる。ランで距離を稼げる反面、リアルロフトが10度以上あるにもかかわらず、キャリーが出づらい弾道になった。アスリート向けにしてはリアルロフトは多めなのは、キャリーを確保するためなんだろう。
つかまり具合については見た目通り。ノーマルポジションでもつかまりはかなり制御されており、真っ直ぐ打つつもりで打つと強めのフェード弾道。ヘッド形状的には重心距離が短い感じがするのだが、実際に打つとヘッドが返る気配が皆無。重心深度が浅めで、重心アングルが小さいことに加え、実際の重心距離もかなり長そうだ。
弾道調整機能を利用してもヘッドの特性は極端に変わらず、一番つかまる「L」ポジションにセットしてもつかまりは劇的に良くならない。ノーマルポジションよりもつかまった球が打てるが、それでも市販ドライバーの中ではつかまる感じにならない。逆に、一番つかまらない「R」ポジションにセットすると、つかまりづらさが際立った。シャフト脱着だけでつかまり具合が変わるのを体感できるが、全体的な傾向としては「左に行かない」度合いを調整できるようになっている。ヘッドは基本的につかまるタイプではないことが強く影響しているのだろう。
シャフトについては、純正の「モトーレF1 65」はしなり戻りがややスロー。切り返しでは中間がほんの少しクイッとしなり、ダウンからインパクトにかけてはゆっくりしなり戻る。インパクトゾーンでヘッドを走らせるタイプではなく、切り返しでタイミングを取りやすく、そして叩いても左に行きづらく仕上がっている。
弾道を大幅に調整できるドライバーだが、ヘッド、シャフトとも「左へのミスを制御」することにこだわりを感じる。見た目通り、吹け上がって飛距離をロスするハードヒッター向けのドライバーで、左のミスを嫌うフッカーに扱いやすく仕上がっている。また、強いフェードで飛距離を稼ぎたいハードヒッターにも相性が良さそうだ。