マーク金井の試打インプレッション

マイルドな挙動でタイミングが取りやすい「グラファイトデザイン ツアーAD VR」

2018/11/06 05:00

シャフトの挙動

試打で使うヘッドは「テーラメイド M3 460 ドライバー」。体積はルール最大級の460cc。表示ロフ角トは9.5度で、リアルロフト角は10度というもの。

試打するシャフトは「ツアーAD VR」50グラム台のSフレックス。グリップすると手元がやや太く、ワッグルすると手元の硬さが手に伝わる。シャフトは中間部分から先端が少ししなる。中調子であるが、シャフト全体の挙動はそれほど大きくない。

まずはヘッドスピード43m/sぐらいから打ってみた。トップからダウンの切り返しで手元はほとんどしならず、ヘッドの追従性の高さが分かる。タメがほどけやすい人にはタイミングが取りづらい半面、シャフトが余計な動きをしないので、自分でタメをキープできる人にとっては、タイミングが取りやすい。

ダウンからインパクトにかけてはムチのように鋭くしなり戻る。シャフトのしなり戻りはスピーディーであるが、先端の挙動は落ち着いている。これまでのグラファイトデザインの先中調子のシャフト、EVシリーズやMJシリーズに比べると、先端が動き過ぎない。

インパクトゾーンではシャフト先端が適度に動き、つかまりも良い。先中調子らしい挙動を保ちつつ、つかまり過ぎる怖さは感じさせない。先端に適度な剛性を持たせたことで、それを実現しているのだろう。さらにヘッドがアッパーに動き過ぎないので、入射角、打点位置が安定している。

ヘッドスピードを46m/s前後に上げて弾道計測してみると、打ち出しはやや高めで軽いドロー弾道。先端の挙動はマイルドであるが、先中調子らしくインパクトに向かう加速感を味わえるシャフトだ。また、鋭い加速感に応じるかのように、ボール初速もしっかり出ている。

低スピンというよりはほどよいスピン量。先端側の加速感が強いので、手元調子のシャフトのような低スピン弾道にはなりづらい。

ヘッドをインから入れるとドロー弾道、ややカットに入れるとフェード弾道となった。シャフトの追従性が高いので球筋を打ち分けやすいが、カットにヘッドを入れるとイメージよりもスピン量が増えた。

印象に残ったのが、キャリーの出しやすさだ。スピンが適度に入るので、フワッと高く舞い上がる弾道が打ちやすい。スピンが多くて吹き上がる人よりも、スピン不足でキャリーが出しにくい人と相性が良さそうである。

ツアーAD VR」は手元の剛性が高く、先端にしなりを感じるシャフトだ。それでいて、先端が必要以上に動き過ぎないようにチューニングされているので、ヘッドの挙動が実に安定している。

飛距離性能の高さだけでなく、今どきの重心距離が長く、重心が深い大型ヘッドとの相性の良さが光るシャフトである。

【適正ヘッドスピード】
ツアーAD VR-5(S):43~47m/s

シャフトを計測してみると?≫
1 2 3 4 5
グラファイトデザイン
強いしなり戻りと、インパクトに向かう加速感
発売日:2018/09/13 オープンプライス