クラブ試打 三者三様

ステルス HD ドライバーを筒康博が試打「M6を思い出す」

2022/01/27 05:00

テーラーメイド「ステルス HD ドライバー」の評価は!?

発表直後から人気が過熱し、予約が殺到中というテーラーメイド「ステルス」シリーズ。今回はそのハイドローモデル「ステルス HD ドライバー」をピックアップする。スタンダードの「ステルス ドライバー」よりもつかまりが良いドローバイアス設計と想定できるが、果たして実際の性能は!? ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は?

「インパクトゾーンを上方向に長く感じる」

低い弾道の多い筒にとって「ハイ」と言えるほどの高さが出ていた

―率直な印象は?
「スイングタイプや持ち球を問わず、ヘッドを地面に置くだけで、フェースの向きやライ角が決まりやすくて構えやすいです。特に海外ブランドのヘッドは、フェースが右に向きやすかったり、被りすぎを極端に嫌う傾向にあるのですが、この『ステルス』はとてもスクエアです。構えやすさという点では、『SIM2』シリーズを踏襲している印象を受けます」

転写マークはややヒール(手前)寄りに位置している

―ハイドローが打ちやすい?
「うーん…。HD=ハイドロー(High Draw)と聞くと、ドローがかからないといけないと勘違いするゴルファーは多いと思いますが、実は構造的にヘッドの重心がヒール側にあるというだけのこと。ドローがかかるというよりも、ヒールヒットに強いクラブという印象のほうが強い。クラウンの転写マーク『T』の位置も、真ん中よりややヒール寄りにあり、トウ側と後方がすごく軽く感じられる設計となっています」

より高弾道でつかまった球を打ちやすくする重心設計

―トウ側と後方が軽い設計…?
「はい。つかまりの良さを追求した設計というよりも、ヒール側に重心を置き、フェースの開閉を起こしにくくしている印象です。インパクト時も左右にブレにくく、軽快に振れて打ち出し角が得やすい。フェースにボールが乗りやすいので、結果的にミスが出にくい。打ち出し角で言えば、『SIM2』よりも1度くらい高く出ている印象です」

ソール側もクラウン側も外観は非常に似ている2モデルだが…

―「ステルス」と比べてどう?
「両モデルの打音を聞き比べると、『ステルス』が一般ゴルファー向けの中心的ポジションであることを認識できます。『HD』は『ステルス』に比べてややカーボンっぽい低い音がして、フェースのどこに当たっても同じ音である一方、『ステルス』のほうがセンターで打てたときの音が力強い。また、どちらも決してヘッドが効いているわけではないのですが、インパクトの瞬間だけボール運びが長く感じられ、インパクトゾーンが長くなったフィーリングを味わえます。それが上方向に感じるのが『HD』、前方向に感じるのが『ステルス』といった違いです」

ソールの色味やデザインもどこか連想させる「M6」

―類似モデルは?
「『HD』を打って、パッと思い出したのは同社の『M6 ドライバー』。いまだに手放せないという人がいるほどの名器ですが、今回はそんな人でも替え時と言えるかもしれません。『M2』『M4』と並び、やさしさを感じられる『M』シリーズの偶数モデルの中でも、特に赤色のカラーリングが近い印象で、打点がズレても弾道が上がりやすい部分など、似ている点が多いように感じられます」

「HDはM6、プラスはM5に近いかも」と筒

―どのような人向き?
「『ステルス』のターゲットが、一般的なHSである40~42m/sとするならば、『HD』はHSの数字が低い層に裾野を広げたモデルと言えます。35~36m/sから使えるため、『ステルス』をカチャカチャ機能で調整しても球が上がり切らない人にマッチするでしょう」

ステルス評(4.5点)よりややダウン【総合評価4.3点】

【飛距離】4.0
【打 感】4.0
【寛容性】4.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:10.5度
・シャフト:TENSEI RED TM50(硬さS)
・使用ボール:川口グリーンゴルフ専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。

テーラーメイド
発売日:2022/02/04 参考価格: 86,900円