クラブ試打 三者三様

G430 HL MAX ドライバーを筒康博が試打「『G430』とは全くの別もの」

2023/03/23 07:00

ピンの軽量モデル HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?

High Launch(ハイ ローンチ)=高弾道モデルとして、ピン「G430」から派生した「G430 HL」シリーズ。ヘッドを軽くするほど、慣性モーメントは落ちてしまうものだが、抜群の安定感を誇る「G430」設計により、その上下左右慣性モーメント値は、軽量クラブでの最高レベルという。そんなブレずに激飛を実現する「G430 HL MAX ドライバー」を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「単に軽いだけじゃない! 軽さゆえの性能」

適度な高さが出て(打ち出し角:13度)左右にボールが散らず直進性を実証していた

―率直な印象は?
「見た目は、スタンダードモデル『G430 MAX ドライバー』とうり二つなのですが、性能面では対象ターゲットとなるHS38m/s以下に照準を合わせ、しっかり差別化できている印象を受けます。試打する前は、軽量というだけで特性や中身はほとんど一緒だと思っていたのですが、ちゃんと別軸で軽さゆえの性能に仕上がっていることを実感しました」

左が「G430 HL MAX」右が「G430 MAX」。明確な違いはバックウエートの色

―軽さゆえの性能…?
「はい。今回『G430 MAX』のヘッドに、『G430 HL MAX』純正シャフト(FUJIKURA SPEEDER NX 40)を挿して打ち比べたところ、ヘッドの存在感がありすぎて、振り心地に違和感を覚えてしまいました。グリップ側(手元側)がやけに軽く感じられ、ヘッドの戻りがいまいちつかみ切れない…。その点『G430 HL』は、ただ単に軽いだけではなく、軽さの中にブレない要素とちょうどいい打感、軽いシャフトに合わせたヘッド構造が備わっていました」

「FUJIKURA SPEEDER NX 35」「―45」。どちらも46インチ、フレックス表示なし

―軽いシャフトに合わせたヘッド構造とは?
「同じシャフトを挿したスタンダード『MAX』で感じたデメリットは、大きなヘッドのブレでした。重心距離がシャフト軸に寄りすぎていて、慣性モーメントは大きいのですが、一度ズレた軌道が元に戻らない…。『G430 HL MAX』の重心は、クラブ全体のバランスを踏まえた適度な位置にあり、ボールが高く上がりすぎたり、つかまりすぎるなどの軽量化で起こるデメリットを、絶妙にヘッド内部で排除しています。ブレずに飛ばす特徴は同じですが、その性能を発揮するための仕組みは、全くの別ものといっても過言ではないかもしれません」

G425に比べ中心部が6% 周辺部が9%薄くなった極薄フェース(同社比)

―他社でいうと類似モデルは?
「同時期発売ということもありますが、キャロウェイ『パラダイム MAX FAST ドライバー』になると思います。試打する前は、ブランドの違いで使用する層はかぶらない気がしていたのですが、性能はかなり近しいライバル的存在ということが分かります。軽いのに暴れず全くブレないという共通点。その上で『G430 HL』はとにかく上に行く力が強く、高さが出るモデルで、『パラダイム MAX FAST』は、比較的上より前に飛ぶ力強さを感じました」

イオミック STICKY SL AQUA (バックラインなし)日本専用グリップ35g

―気になるデメリットは?
「ずばりグリップ重量です。グリップを軽くすると総重量も軽くなりますが、軽くなりすぎると、手元の“浮き”と呼ばれる現象が起こり、再現性が下がります。グリップまでも軽量モデルにせず、ノーマルの重さ(50g前後)に替えたほうが、打ちやすいと感じるゴルファーは多いでしょう。同社はフィッティングに力を入れているので、グリップも含めて相談してみると良いと思います」

「軽量モデルの新時代が来ていると言ってもいいのかも」と筒

―どのような人向き?
「現在、軽量モデルを使っているけれど、ミスも多く出てしまうゴルファー向き。飛距離アップしたいけれど、長さや重さではスピードアップができず悩んでいた人。『G430 HL SFT ドライバー』も含めたシリーズ2機種に加え、純正シャフト『FUJIKURA SPEEDER NX』の35と45の2種類の選択は、軽量ドライバーのバリエーションの幅を相当に広げたように感じます。特に女性やシニア層の方には、かなり選択肢が広がったと思うので、一度試してみる価値はありそうです」

軽さに合わせた打感と寛容性◎【総合評価4.4点】

【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】5.0
【操作性】3.5
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:FUJIKURA SPEEDER NX 40
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。

ピン
速さと高さで激飛。
発売日:2023/03/02 参考価格: 93,500円
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