ディアマナ GTを西川みさとが試打「軽硬より重軟が合うかも」
何色にも染まらない「ZF」の後継 HS30m/s台の女子プロ評価は!?
2004年の発売以来、青・白・赤と3色展開してきた三菱ケミカル「ディアマナ」シリーズ。今回は、第4世代で突如登場したどの色にも属さない「ディアマナ ZF」の後継にあたる、「ディアマナ GT」をピックアップする。スピーディーなしなり戻りで、オートマチックに振り抜ける設計というが、果たして実際はどんな特性なのか!? ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずはHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。
「シッカリ感が強め 30m/sでは太刀打ちできない!?」
―率直な印象は?
「キックポイントは中元調子ということですが、全体的にシッカリ感が強く、手元側から先端側まで全てが硬めに感じられ、タイミングが少し取りにくい印象を受けました。どの部分がしなって、どの部分が走るという感覚が少し受け取りにくく、特に手元側の剛性が気になってしまい、ダウンスイングでのしなり戻りをあまり感じずに、インパクトを迎えてしまうケースが多かったです」
―試打スペック「40S」でもハードに感じた?
「うーん、ハードというか…。40g台ということで軽さは感じられ、そこまでのシビアさは感じないのですが、どの部分も芯が強く、しなりを感じることができなかったというのが、正直な感想です。もともとアスリート系シャフト『ディアマナ』シリーズに、HS35~36m/sの私はハードな印象を持っていたのですが、過去モデルと比べても、かなり上位に入るほどの硬さです。『S』の硬いイメージがより前面に出ていたので、ひとつ重い設定&やわらかい『50R』のほうが合う気がしました」
―“粘り”より“走り”のほうが感じる?
「評価項目【走り感】を4.0点、【粘り感】を3.5点にしましたが、明確に“走り”の印象が強いというわけではなく、振り心地でやや走っている気がするレベルの差です。走り感が0.5点高いというよりも、全くしならない手元側と比べて、先端が若干動くといったフィーリング。しなり戻りを感じる部分は、プレーヤーそれぞれで違うとは思うのですが、私はどの部分でもほとんど感じ取ることができず、全体的な硬い印象だけが残ってしまう結果となりました」
―同時期発売グラファイトデザイン「ツアーAD CQ」と比べると?
「今回は『―CQ』と同じスペック(4S)、同じヘッド(テーラーメイド『ステルス2 ドライバー』)で打ち比べましたが、『ディアマナ GT』のほうが特性自体も硬めで、それにともない打感も硬く感じられます。『ステルス2』よりもう少し重さのあるヘッドにして(例えば『ステルス2 プラス』)、あえて先端の重量を上げてシャフトのしなり感を生む考え方で合わせてもいいかもしれません。また、サイズは大型すぎてしまうと、インパクト時の返りが遅くなってしまうため、小ぶりなゲンコツ型のような操作性の良い形状でやや重みのある“硬派”なヘッドとの相性の良さを感じます」
―現在使用中のシャフトと比べると?
「現在、日本シャフトの『NSプロ レジオ フォーミュラ MB+』を、ピン『G430 MAX ドライバー』のヘッドに挿して使用していますが、モデルは『TYPE 45』でフレックスX(※プロトタイプ)というスペックで、“軽硬”というイメージは今回の組み合わせと同じです。ただ、それに比べても『ディアマナ GT』のしなり量の少なさは際立っていました…。HS30m/s台のパワーでは、このシャフトが持つ特性を引き出すまでに至らないといったところでしょうか」
―どのような人向き?
「これだけしっかりした設定となると、どんなにアスリート志向でも、女性ゴルファーはほぼ太刀打ちできないように感じます。40g台のスペックでも、平均的な男性ゴルファーのHS(40m/s前後)は、最低限必要ではないでしょうか。適したスイングタイプは、トップでの間を気にせず、体の回転の速さでパシッと最後まで振り切れる人。あまりタメをつくらず、フィニッシュまでシャープに振り切りたい人に合うと思います」
50Rで再チャレンジ(試打)希望【総合評価3.9点】
【走り感】4.0
【粘り感】3.5
【寛容性】4.0
【操作性】3.5
【デザイン】4.5
・使用モデル:40(硬さS)
・使用ヘッド:テーラーメイド ステルス2 ドライバー(ロフト角10.5度)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 西川みさと プロフィール
1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。専大時代の1998年に「日本女子学生選手権」で優勝。大山志保・古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場した。2002年のプロテスト合格後は、飛距離こそ出ないものの、ショートウッドを巧みに使う技巧派として、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで人気を集めた。