SPEEDER NX GREENを筒康博が試打「頑張らなくてもHSが出せる」
アップデートされた緑の「NX」 HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?
“次世代型"シャフトとして注目を集めた藤倉コンポジット「SPEEDER NX」シリーズ。2023年モデルとして登場した「SPEEDER NX GREEN」は、西村優菜、永峰咲希、吉田優利、脇元華ら、昨年から既にスイッチしたプロも多く、いまや圧倒的な支持を得ている。そんな女子プロに人気の注目シャフトを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?
「勝手にタメが生まれる! 左ミスの出ないSPEEDER」
―率直な印象は?
「非常に切り返しで“間”を取りやすく、トップでひと呼吸置ける動きをしてくれます。私のようなクイックにダウンスイングに入るタイプでも、しっかりリズムを整えてくれて、適度なスピードが得られ、結果的にインパクトゾーンで走ってくれる。打ち急ぐことが多いゴルファーでも、飛びを実感しやすい特性に仕上がっています」
―切り返しでゆっくり動くということ?
「うーん…。厳密に言うと、ゆっくりというよりは、切り返しで一時的にしなって生まれるエネルギーを、ダウンスイングの途中まで維持してくれる印象です。遅いという意味ではなく、エネルギーが保持された状態で、インパクトゾーンに入ってきてくれる。端的に表現すれば、走り系のイメージを引き継ぎながら、左へのミスがほとんど出ないということ。ヘッドが走りすぎて、フックや引っかけのミスが出る怖さがなく、しかも自分でタメをつくる意識がなくても自然としなる、という表現が的確でしょうか」
―前作「SPEEDER NX」と比べると?
「改めて『―GREEN』と比較すると、前作・初代ブルーは中間部がしっかりしている印象を受けます。同シリーズの前身ともいえる『スピーダー エボリューション』を踏襲し、中間部より先端側にスピード感を持たせた特性。そんなブルーに比べて『―GREEN』は、自分でコックやタメをつくらず、強振しようと意識しなくても、タイミングを合わせるだけでスピードが出てくれる。自身で頑張らなくても同等以上のHSを出せるモデルといえます」
―国内女子ツアーの使用率は高いですが?
「そうですね。同社の場合、HSが速くて強振強打できるプレーヤーには、『VENTUS(ベンタス)』ブランドがそろっているため、棲み分けがハッキリできているからでしょう。同シリーズは、特性は多少変わりましたが、プレーヤーのポテンシャルを引き上げ、HSをより加速させ、飛距離を伸ばすブランドテーマは変わっていません。女子選手のニーズに合致している理由は、明確に掲げるブランドカラーと許容範囲の広さによるものだと想像します」
―相性の良いヘッドは?
「今回試打したテーラーメイド『ステルス2 ドライバー』のヘッドも悪くはなかったですが、ピン『G430 MAX ドライバー』やタイトリスト『TSR2 ドライバー』、キャロウェイ『パラダイム X ドライバー』といった、もう少し重心距離が長めで、慣性モーメントの大きいヘッドのほうが、『―GREEN』の特性を十分に引き出せる気がしました。安定感のある飛んで曲がらないヘッドと組み合わせることで、ユッタリと大きく動くシャフトとの相乗効果を期待できます」
―どのような人向き?
「私のようなクイックに切り返すタイプや、強振してクラブを振り切れるゴルファーに合うと言いましたが、本来は、タイミングやテンポがゆったりで、軌道が安定している人向きです。スイングテンポの強弱が小さく、アドレスの形を維持したまま、大きなスイングアークで振っていくタイプ。やはりボディターン傾向の強い女子プロのスイングが、性能を100%発揮できるイメージに近いのかもしれません」
走り4.5に対して粘り5.0【総合評価4.6点】
【走り感】4.5
【粘り感】5.0
【寛容性】4.5
【操作性】4.0
【デザイン】5.0
・使用モデル:50(硬さS)
・使用ヘッド:テーラーメイド ステルス2 ドライバー(ロフト角10.5度)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。