Qi10 MAX LITE ドライバーを筒康博が試打「MAXと迷う人が増えそう」
軽くてぶっ飛ぶQi10 ご意見番クラブフィッターの評価は!?
世界で最もやさしいドライバーを探求して生まれたテーラーメイド「Qi10」シリーズ。飛距離と寛容性の相反する要素を両立させたドライバーに、新たに軽量モデル「Qi10 MAX LITE ドライバー」が加わった。そんな振りやすさ、曲がりにくさ、飛びやすさの3つを実現した自信作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?
「分かりやすくシンプルな軽量モデル 同社で発売された意義は大きいか」
―率直な印象は?
「『LITE』というネーミングの分かりやすさ、『Qi10 MAX ドライバー』と比べて青みがかったカラーリング、見るからにシンプルでライト感が伝わる仕様にはとても好感が持てます。振り心地もイメージそのままで軽快。私を含めたシニアゴルファーからすると、とても選びやすいモデルではないでしょうか。純正シャフト(Speeder NX BLUE)とのつながりも考え抜かれていて、最初の試打からここまでHSを上げられれば(平均42m/s)カスタムなしでこのまま買いたくなる。シャフトを含めたクラブとしての完成度の高さに脱帽しました」
―「―MAX」と比べると?
「若干の軽さは感じますが、振り心地はほぼ一緒という点では、ピン『G430 MAX 10K ドライバー』と『G430 MAX 10K HL ドライバー』の関係性と同じ印象です。今作との総重量差は約29g(総重量:純正シャフト/硬さSで281g、―MAXは310g)もありますが、振り心地でいえば4~5g程度の差に感じます。総重量を落としてもシャフト、ヘッド、グリップのバランスが取れていて、きちんとスイング中にヘッドの位置を把握しやすい。とにかく振りやすく気持ちよくスイングできました」
―他社の軽量モデルと比べると?
「ピンの『HL』、キャロウェイの『MAX FAST』、同社『グローレ』に近い重量帯ですが、他社の最新モデルと同じように軽いことによる物足りなさは全く感じません。特に私くらいのHS40m/s前後であれば、結構しっかり振りにいっても、手ごたえは十分感じられる。最近増えてきた軽量モデルは、そのあたりの課題は全てクリアしたうえで、それぞれの個性を発揮しています。振りやすくて飛ばせて曲がらない。この3点はいまやどのモデルにも共通していると思います。唯一他社にはない個性といえば、やはりカーボンフェース。軽量感とカーボンフェース、しかも高慣性モーメントという組み合わせは、テーラーメイドならではの特徴といえます」
―「グローレ」シリーズとの違いは?
「『ステルス グローレ ドライバー』とは、ほぼ総重量は変わりませんが(純正シャフト硬さSで278g)、つかまりの強さ、ドローバイアスが全く入っていない点が異なります。その点で『グローレ』より使いこなせるというか、セッティングに溶け込みやすいかもしれません。軽量で直進性の高いモデルというスタンスは、同社では初めて。ヘッドは重くすることで慣性モーメントを自然と高められますが、軽量モデルでそれを求めるニーズは以前から多かった。そこに今回『Qi10』で大々的に高慣性モーメント化を打ち出したことで、軽量版を発売する意義が見い出せたのではないでしょうか」
―あえて気になる点は?
「気になる点は、ここまで振り心地が『―MAX』と似ていると、こっちのほうがいいかもと感じる人が増えそうです。意外と近しいところにライバルがいるというか、どちらを買っていいか迷う人が急増する可能性を感じます。今作はセレクトストア限定モデルなので、気になる人はすぐ購入を検討したほうが良さそうです」
―どのような人向き?
「私と同等のHS、またはもう少し遅い人向き。そのあたりのスピードのプレーヤーは漏れなく全員がターゲットユーザーに入ると思います。それほど純正シャフトを含めたクラブとしての完成度が高い。これなら誰でもシャフトやスペック選びに悩まず、購入しやすいと思います。シンプルにこのままコースに持っていき、振り切って真っすぐ高弾道に飛ばしたい方にマッチするクラブです」
5点満点◎が3項目並ぶ納得の軽量モデル【総合評価4.4点】
【飛距離】5.0
【打 感】5.0
【寛容性】5.0
【操作性】3.0
【構えやすさ】4.0
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:Speeder NX BLUE for TM(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。