クラブ試打 三者三様

タイトリスト GT4 ドライバーを宮下敏弥が試打「強さ増し増しヘッド」

2024/09/07 21:00

刷新された低スピン強弾道 テックNo.1の飛ばし屋コーチの評価は!?

タイトリスト「TS」シリーズからブランド名を一新し、“新たな飛び”を提唱する「GT」シリーズ。中でも最もロースピン性能を追求した「GT4 ドライバー」は風に負けない安定した強弾道を生み、ソール前後に配した「Sure Fit CG ウエート」によって精密に弾道を調整できるという。そんな430ccコンパクトヘッドの同社自信作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。国内ゴルフテックNo.1の飛ばし屋コーチ・宮下敏弥が試打評価を行った。

「飛びに必要な要素が凝縮! ガンガン振っていくならベスト選択」

しっかり右に打ち出せた球は程よいドローで理想的な弾道に

―率直な印象は?
「小ぶりなヘッドサイズと低スピンモデルという特徴を活かし、一発の飛びの強さを最大限に発揮してくれると感じました。とにかく飛距離を出していくために必要な要素が凝縮しています。コースの広さやマネジメントを考えず、思い切ってガンガン振っていく分にはベストな選択になるでしょう」

素材の継ぎ目が目立たないシームレスな外観で美しいフォルム

―一発の飛びの強さは最強クラス?
「はい。スピン量は適度に抑えられ(平均2363rpm)、初速は出ているので(平均76m/s)前に飛ぶ能力をより感じました。歴代『4』シリーズも同様でしたが、飛びに関する全てのゲージ(初速、打ち出し角、スピン量)がワンランクアップしたイメージ。『GT2』『GT3』と同じくモチッとした打感で、球持ちが長い点は共通して感じました。が、逆に他2本で感じたスイートエリア外でも感じられるやわらかさはなく、芯以外ではシッカリした感触が残る。その分、的確なフィードバックを得られるので、しっかりとボールをとらえられる人にはメリットは大きいと思います」

左から「GT2」「GT3」「GT4」。西川&筒と同じく「4」のフェース視認性を挙げた

―他に『2』『3』との違いは?
「3モデルのクラブを並べて上から見比べると、『4』が一番フェースが明確にはっきり見える気がしました。黒クラウンとのコントラストの影響かもしれませんが、フェース面のスコアラインがはっきり見え、ターゲットに向けやすい仕様となっています。大きいサイズ感で全体をボヤッと見せ、安心感を覚えるのは『2』と『3』。一方、サイズは小さく焦点を絞って繊細にラインを出していける顔が『4』といった違いでしょうか。モデル間の違いを見た目からもしっかり演出している意図が感じられます」

オフセンターヒット時でも初速スピードを維持する「スピードリング VFTフェース」

―寛容性は落ちる?
「重心が浅いので当然かもしれませんが、寛容性は他2機種より落ちます。ただ、それが『4』の特徴であり、寛容性の高さが操作性の面で邪魔となってマイナスに働くと感じることこそ『4』の存在意義。その面では差別化を図り、ニーズをキャッチしているといえます。ですが、他社のLS(ロースピン)タイプと比べれば比較的に寛容性は高いほうでしょう。打感の影響もあってか、前作までと比べれば相当ミスヒットに対するシビアさは抑えめな印象です」

球質の強さを演出する浅低重心設計のシルエット

―ご自身のマイクラブ(パラダイム Ai スモーク ◆◆◆ ドライバー)と比べると?
「球質の強さ、初速スピードは『GT4』のほうが勝っているように感じました。低く強く出る。実は個人的にも打ち出しから高くドーン! と飛ぶ弾道より、低く強い少しめくれる球のほうが好きなので、その点では最初から好印象でした。『◆◆◆』もだいぶ強く低く出る性能ですが、それ以上。理想の弾道を求めて、現在は『◆◆◆』をロフト9度で使用しているのですが、今作はロフト10度でも似たようなボールが出てくれたので、より強い球筋が出せる。強さ増し増しヘッドを自分好みにアレンジしたいと思いました」

「他のLSモデルユーザーに球質の違いを実感してほしい」(宮下)

―どのような人向き?
「ざっくり大まかな表現をすると、飛んで曲がらない人向きですかね。スピードがあって曲がらない人。逆に、スピードがあっても曲がり幅が目立つ人には、やや心配な部分は挙げられます。今回の試打でも最高飛距離312ydを出せましたが、ドローヒッターの私の条件は、しっかり右に打ち出せればの話。うまく条件がかみ合ってジャストヒットしたときには期待以上の結果を生み出せますが、逆を言えば高確率で同じ球を出すのは難しい。あとはシャフト、ロフト角、ライ角の組み合わせで何とでも補填できるので、飛距離アップを追求したい方にはベストチョイスになるのではないでしょうか」

飛距離&打感は文句なしの満点! 寛容性のみ気になる3.5△【総合評価4.4点】

【飛距離】5.0
【打 感】5.0
【寛容性】3.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.5

・ロフト角:10度
・使用シャフト:TENSEI 1K BLACK 65(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 宮下敏弥(みやした・としや) プロフィール

1999年生まれ、神奈川県出身。小学校から高校までサッカーに打ち込み、ケガを理由で大学からゴルフに転向。わずか2年でベストスコア65をたたき出し、最終的にチームの主将を務めた。ゴルフ上達の最短ルートを心得ていると自負しているゴルフテック期待の若手コーチ。週2~3回のウエートトレーニングを欠かさず、筋力には自信あり。得意のドライバーショットは300ydを超える。

タイトリスト
スピンを抑えて風に負けない強弾道
発売日:2024/08/23 参考価格: 107,800円