ELYTE ◆◆◆ ドライバーを西川みさとが試打「相対的に際立つLS感」
プロ&上級者向け「◆◆◆」の新作 HS40m/s未満の女子プロ評価は!?
AIによるフェース設計で、弾道補正ポジションを飛躍的に増加させたキャロウェイ「ELYTE」シリーズ。すでに発売されたモデルの中で唯一360度カーボンシャーシを導入し、強弾道を生み出す性能を踏襲した「ELYTE ◆◆◆ ドライバー」は、ソールの前方と後方にウエートを搭載させ、重量配分の自由度を高めた設計となっている。そんなアレンジが可能なプロ&上級者向けモデルを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。
「LS界隈では難しい!? 使用者を絞ったブレない“◆◆◆道”」
―率直な印象は?
「同時期発売のテーラーメイド『Qi35 LS ドライバー』は前回、LS界隈でやさしいという感想を述べましたが、今作は逆にその中では難しいほうかもしれません。HS30m/s台の私には全くどうにもならないレベルではないものの、他社のロースピン(LS)モデルと比べると若干ハード。同社が過去に発売した『◆◆◆』モデルとは差異を感じなかったので、どちらかと言えば他社が全体的にやさしくなったことで、逆に際立つ存在になった印象を受けます」
―「ELYTE」シリーズは全般的にハード?
「まぁ…、そうですかねー。コアモデル『ELYTE ドライバー』でも低スピン性能に特化していて、球質が強めな分、弾道は十分に上がり切らなかったので、さらに上位モデルの『―◆◆◆』となればハードであることは間違いないです。ただ、フィーリングは前々作『パラダイム ◆◆◆ ドライバー』で感じた食いつき感はあったので、インパクトの瞬間には予想以上に飛んでいる気がしたほど。もしかしたら飛んでいるかも… という期待をさせるフィーリングでしたが、トラックマンの数値を見るとそうでもない…(平均191.1yd)。私のパワーでは、やはり今作の飛距離性能を十分に発揮する(ボールの)潰れ方まで至っていないのだと感じます」
―確かに前々作は食いつき感を称賛していました。が、前作はややハードに感じていたと…。
「はい、覚えています。体感している飛距離は前作と同じなのに、実際の数字は前作と同様に出ていなかったです…。そもそもの『◆◆◆』の設計を、初代パラダイム時より対象HSに合わせた作りに固めてきているからかもしれません。前々作<前作<今作と、インパクト時にボールが食いついて離れるスピード感は、よりHSの速いゴルファーに合わせている気がします。私のHS(平均33.7m/s)では力量が足りず、思うような打ち出し角で上がって飛んでいないのだと分かりました」
―見た目の感想は?
「鏡面加工の黒色クラウンは、キュッとボディが引き締まって見受けられます。ミニドライバーが流行している傾向を見ても分かる通り、460ccのビッグサイズが苦手というゴルファーが増えてきている昨今で、その声に適した形状といえます。マットのほうがちょっと全体がボヤけて見える一方、黒くツヤツヤした今作の加工は、ギュッと全体の形状が鮮明に見える。私には手ごわい印象を受けますが、サイズ感が大きく見えないところには好感が持てます。コアと『―X』『―MAX FAST』がマット加工で、今作だけが鏡面加工という振り分け方にも納得。性能と見た目が一致するデザインだと思います」
―他社のLSモデルと比べて難しいと感じた要因は?
「やはり発売も近いのでテーラーメイドのLSモデルと比べる人は多いと思うのですが、低スピン性能を求めるハードヒッターは、『Qi35 LS』より今作をチョイスする気がします。今作のほうが(構えて上から見て)引き締まって見える点や、よりボールの勢いを感じる部分は魅力的に映るでしょう。それほどHSが速く、吹け上がりを抑えたいゴルファーに対象を絞っているということ。どちらが良い悪いではなく、LS性能に振り切っているかどうかの差。そういう意味では、どちらも強弾道を生む上級者モデルとして比較されがちですが、対象ターゲットは全然違うのではないでしょうか」
―どのような人向き?
「間違いなくHSの速さに自信のあるゴルファー向け。最低でも45m/s以上は必要でしょう。より振りやすいしなり量の多いシャフトに挿れ替えてみたり、カチャカチャ機能を使ってロフト角やライ角を調整し、なんとか私のスピードでも使えるようにできるかもしれませんが、それでは今作のもともと有している性能を活かし切れません。ボールが上がり切らず、飛距離は伸びない…。やはり振り切れるパワーのあるゴルファーが使ってこその『◆◆◆』だと思います」
性格の違いに言及するも評価は「Qi35 LS」評(3.8)と同じ【総合評価3.8点】
【飛距離】3.5
【打 感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】3.5
【構えやすさ】4.0
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:TENSEI GREEN 60 for Callaway(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
