さらなる進化を遂げた新P770 ゴルフ知識豊富な理論派コーチの評価は！？

テーラーメイド P770 アイアンを専門的にゴルフ知識を学んできた理論派コーチが試打したら…【井上真熙】

心地よい打感と打音を追求し、新たに生まれ変わったテーラーメイド「P770 アイアン」。弾きの強いクロモリ鋼のL型フォージドフェースと、番手別にフェース面の厚み配分を最適化するプログレッシブICTを採用。適正なボールスピードと高い寛容性を兼ね備えながら、各番手に求められる飛距離性能を発揮するという。そんな同社自信作をヘッドスピード（以下HS）の異なる有識者3人が採点。ゴルフ知識を多角的に学んできた理論派コーチ・井上真熙（いのうえ・まさき）が試打評価を行った。

• HS40未満の女子プロ・西川みさとの場合
• ご意見番クラブフィッター・筒康博の場合

「アイアンでも“乗り感”プラス！？ 曲げ幅をコントロールする操作性がアップ」

高弾道ドローボールを連発 ※井上コーチのドライバーHSは平均47～48m/s

―率直な印象は？
「前作2023年モデルと比べ、インパクトでフェース面にボールが乗っている感覚が強く、楽にボールを高く打ち出せている印象を受けます。ロフト設定は前作と変わりませんが（7Iで33度）、より高さにフォーカスを当てた性能に刷新しているのではないでしょうか。ややフェースの弾き感が強く、前に飛ばす能力の強い23年モデルに対し、扱いやすさとイマドキの高弾道な飛び姿が得られる仕様に感じられます」

左が24年、右が23年モデル。加工による見え方の違いに言及

―見た目の変化は？
「大きな変化は見られませんが、並べて見比べると全体的に前作のほうが小ぶりで、今作のほうが少しだけ大きく見受けられます。性能面にもつながる部分ですが、外観フォルムからも飛距離よりも寛容性に振っている雰囲気が伝わりました。やや光沢感を出したクロム仕上げのおかげで、抑えめなサテン仕上げ（前作）よりも光を反射している分、安心感を抱ける雰囲気がプラスされています」

アイアン1本からオーダー可能。モデル間でのコンボセットが組みやすくなった

―マイクラブと比べると？
「現在、兄弟モデルの『P790 アイアン』を使用しているのですが、構造的にはほとんど一緒で、どちらもシャープな操作性と中空アイアンならではの飛距離性能を感じます。ただ、名称の由来にもなっているフェース長が2mmだけ『P770』より大きい分、安心して構えられるメリットは感じます。逆に2mmの違いで今作のほうが操作性は若干高く、ドローの曲げ具合はより調整しやすいイメージ。サイズ感の微差ではありますが、それぞれの特徴を活かしながら『770』としてより操作性をアップさせた印象を受けます」

FORGED(フォージド)鍛造ならでは心地よい打感と打音を提供

―「P770」or「P790」で購入を迷っている人にアドバイスするなら？
「落下角度（トラックマンの項目では『Land Angle(ランドアングル)』）をチェックしてほしいです。一般的に7番アイアンでの適度な角度は45度とされているので、それ以下なら『P770』、それ以上なら『P790』と大きな目安にしてほしいと思います。例えば、ロフト角30.5度の『790』の7番で落下角が40度だとしたら、少し高さが足りないという判断をしてロフト角33度の『770』を試してみる。両モデルで購入を悩んでいるようなスコアレベルの高い中上級者にとっては、ミドルアイアンでのパーオン率は大きなテーマだと思うので、できれば感覚値だけでなくデータの数値で判断していただきたいと思います」

トウ側に配置されたビス型ウエートをはじめ重心位置を最適化

―コンボセットについてどう思う？
「非常にアリだと思います。現在はいろいろな特性の種類が出ているので、1種類にこだわって無理をするようなら、番手ごとに相性のいいモデルを選ぶべきでしょう。ピッチングから7番までは『P770』、5～6番では距離がちょっと出にくいという方には『P790』と同じブランド内で構築してもいいですし、4～5番だけ『Qi アイアン』と、別ブランドとの組み合わせも検討してもいいと思います。いろいろな考え方があって様々な選択肢があることは、時代背景としても頷(うなず)ける傾向ではないでしょうか」

「アイアンセットもいまや多様性の時代といえるのでは」(井上)

―どのような人向き？
「他社のアイアンと比べ、トップブレードがストレートな“逃げ顔”で、しかもトウ側にウエートが装着されていることで重心距離が長く、フェースターン＝ボールのつかまりを抑えた構造に仕上がっています。ちょっとドロー傾向が強く、たまに引っかけのミスが出てしまう人向け。また、ある程度の飛距離と弾道の高さを得たいという人にもリーチした中空構造なので、本当に“いいところ取り”なアイアンだと思います。ただ、球筋を操作できるスキルがあればより性能を引き出せるので、スコアレベルは80台より上になるでしょうか」

ドローの曲げ幅自由自在 操作性5点満点！【総合評価4.3点】

【飛距離】4.0
【打 感】4.5
【寛容性】4.0
【操作性】5.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角：33度(7I)
・使用シャフト：ダイナミックゴールド MID 115（硬さS200）
・使用ボール：リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力／トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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