高値で売れるアイアンは“やさしい”ピン&軟鉄鍛造モデル
2020/06/07
自宅に眠るゴルフクラブを売るのなら、まずは高値が付くクラブの傾向を押さえておきたいところ。前回のフェアウェイウッド&ユーティリティ編に続いて、今回はアイアンの相場事情を、ゴルフショップ『ゴルフガレージ』の担当者に聞いた。 ※買い取り価格は6本セット(5番~PW)/査定ランク『B』(ページ下参照)に設定。
・<ドライバー編>ピンの高値続く ゼクシオに安定感
・<FW・UT編>2強は「G410」「G400」
ピンは「i」シリーズが高値傾向
ウッドの買い取り額ではピンの『G410』(2019年)や『G400』(17年)シリーズが高額の代表モデルに挙げられるが、アイアンでは同社の『i』シリーズが高値をキープ。17年発売の『i200 アイアン』は3万1000円前後、18年の後継モデル『i210 アイアン』は4万円前後の買い取り額となっている。
ゴルフガレージ多摩店(東京都多摩市)の塙裕之店長によると、ピンのウッドは渋野日向子ら契約女子プロの人気もあり品薄になった一方で、『i』シリーズについては「やさしいモデルというイメージが強く、ウッドとは違った意味でいまでも人気があるのだと思います」とのこと。
『i200』は、2017年当時に使用をはじめた宮里優作が、同年10月「ホンマツアーワールドカップ」でツアー初の72ホールノーボギーで優勝を果たすなど活躍を見せたことで人気が過熱。宮里が“やさしさ”を優先して選んだクラブとしてメディアにも取り上げられた。「お客様の間にも、ピンって実は良いんじゃない? という空気感がありましたね」と当時を振り返る。
値崩れしにくい軟鉄鍛造モデル
他メーカーでは、上級者が好む軟鉄鍛造(フォージド)アイアン、なかでもハードな要素を抑えたモデルの売買が活発で、買い取り額も下がりにくい傾向にあるという。「マッスルバックなどの難しいモデルを扱える自信のない方が、自分でも使えそうなフォージドタイプを求める傾向にあるのだと思います」(塙店長)
一例に挙げるのが、ミズノの『MP』やタイトリストの『AP』、住友ゴム工業の『スリクソン Z』シリーズ内の、比較的やさしいとされるモデルだ。例えば「MPシリーズの中でもストロングロフトで人気があり、市場で動きやすい」という『MP-15 アイアン』(2014年)は2万1000円前後。『716 AP2 アイアン』(15年)と『スリクソン Z565 アイアン』(16年)は、2万7000円前後の買い取り額となる。
大手メーカー以外では、フォーティーンも高値で売れる傾向にあるという。例えば2017年発売の軟鉄鍛造モデル『FH900 フォージドアイアン』は3万7000円前後で、同年モデルではトップクラスの買い取り額。品薄になりやすい理由として塙店長は、「フォーティーンも飛び系のフォージドなので人気が高い。新商品のサイクルが早くないことと、メーカーがマークダウン(新品の値下げ)をしないので値崩れが遅いこともあるでしょう。ウェッジの人気も高いので、そのままアイアンに流れる方が多いのでは」と推測した。
アイアン単品は査定額が大きくダウン
中古市場でも、新品と同じくセットでの扱い(5番~PWなど)を基本としており、例えば3番や4番などの“単品”では買い取り額が大きく下がる。塙店長によると、同店では「単品だと現行モデルでも2000円から3000円。3世代ほど前になるとほぼゼロになり、現行モデルでも5番からPWまでの単品だと限りなくゼロになります」という。
前述した『i210』で比較すると、4番のみだと2500円前後。一方、4番からPWの7本セットにすると4万6000円前後の総額(6本セットは4万円前後)となり、単品よりも買い取り額が大きくアップする。ロングアイアンだけ別モデルを使い分けているゴルファーは、ショップの査定基準をよく確認しておこう。
次回はパターの相場事情をお届けする。
※査定ランクB:バックフェース・シャフト・ソール・フェースに目立たない傷はあるが、全体的にきれいな状態(ゴルフガレージの査定基準による)
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