平成30年で1Wはどう変化したのか?試打検証
最新“ミニドラ”事情 そもそもどういう人が使うべきか?
小ぶりなドライバー“ミニドラ”なら振りきれる
ドライバーのヘッド体積は、ルール最大の460ccが主流となって十余年。曲がらずやさしく飛ばせるようになった反面、大型ヘッドが苦手で振りきれないというゴルファーも少なくない。そこでおすすめしたいのが、ひとまわり小ぶりなミニドライバーだ。技巧派プロの今野一哉氏に“ミニドラ”の特徴とメリットについて解説してもらった。
※今回の記事では460ccの大型ヘッドに対し、小ぶりなドライバーの総称を“ミニドラ”と定義
最新“ミニドラ”を一挙紹介! イマドキの小ぶり1Wを徹底比較
“デカヘッド”が苦手な理由は操作性の低さ
「ここ20年間でドライバーのヘッドサイズは倍以上になりました。“デカヘッド”と呼ばれる460ccが主流になってから投影面積も大きくなり、重心位置もよりシャフトから遠くなっています。これにより現代のドライバーは曲がりにくく、高い打ち出し角・低いスピン量の弾道を打ちやすくなりました」(今野、以下同)
今野プロは続けて460ccヘッドの弱点についても言及した。
「シャフト線上から重心が遠いドライバーは、同時に扱いにくい側面を持っています。大型化してやさしくなった分、小回りが利かず、操作性が低くなってしまうのです。これはツアープロもスイングを変えてしまうほどの大きな変化で、中には急激な変化に調子を崩してしまう選手もいるほどです。そして、もうひとつ。他のクラブと比較して、ドライバーだけが極度に大きくなってしまったため、同じように振ることが難しく、苦手に感じてしまう人が多いのです」
“ミニドラ”は日本人の感覚にマッチする
上記の問題を解決してくれるのが、ヘッド体積が420から440cc前後で投影面積が小さく、全体的に引き締まって見える“ミニドラ”。規格はやや異なるが、テーラーメイド『オリジナルワン ミニドライバー』のように275ccの極端に小さいサイズでティショット専用のものも発売されている。“ミニドラ”のメリットについて今野プロは、「重心位置がシャフト線上に近く、ヘッドの動きを操作しやすいのが最大の特徴です。スイング中に感じる抵抗が少なく、フェースの開閉をより感じられます。
米ツアーの選手らが大型ヘッドでブンブン振っているのを見て憧れるゴルファーは多いと思いますが、パワーの違いや手首の強さなど、大きな差があるのは留意したいところです。多くの日本人ゴルファーはヘッドの挙動を感じながら、繊細な感覚や感性をより生かしたほうが良いのではないでしょうか」と、構造自体が日本人に向いていることを挙げた。
馴染み深い見た目とスイングの利点
“ミニドラ”の構造についても詳しく聞いてみると、今野プロは見た目のシャープさとスイング時の利点について説明する。
見た目については、「“ミニドラ”の多くが、460ccクラスのヘッドに比べてディープフェースになっていて、中にはヘッド後方に高さのあるディープバックを採用しています。そのため、わずか30~40cc程度の差でも、構えた時の印象はひとまわりではなくふたまわり以上、かなり引き締まって見えます」と形状について分析。
「最近のドライバーでディープバックを採用しているモデルは、ミズノ『ミズノプロ モデル-S ドライバー』くらいで少なくなりました。ベテランゴルファーの多くはこうしたヘッド形状のほうが振りやすく、改めて大型ヘッドに合わせて感覚を作り直さなくてよいメリットがあります」と、ゴルフ歴が長い人ほどマッチする形状であることを明言した。
「スイング時の利点は、重心が深いドライバーにありがちな、ヘッドがインパクト時に“垂れてしまう挙動”が少ないことです。ヘッドが大きすぎてボールの手前で垂れてしまい、そこから元に戻そうとする動きを要して、振り抜きが悪くなる。“ミニドラ”はそのような心配をせずともすんなり操作ができます」
今野プロは最後に、「どんなにやさしいクラブでも振りきってスイングできないなら、飛距離を出すのは難しいです。“ミニドラ”は振りきれることが最大のメリット。心配なく振りきれることで飛距離アップにつながります」と“ミニドラ”のメリットをまとめてくれた。流行に便乗して最新の大型ヘッドを使用していても、プロのように飛距離が伸びない、ミスショットが増えた…という人は、一度、最新の“ミニドラ”を使ってみてはいかがだろうか。
撮影協力/カレドニアンゴルフクラブ
今野一哉(こんの・かずや) プロフィール
1982年生まれ、千葉県出身。300ydを超えるビッグドライブと自在に球筋を打ち分ける技術を併せもつプロゴルファー。レッスンだけでなくギアやルールにも精通する“ゴルフコンシェルジュ”として多方面で活躍中。エイティーン代表。
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