FWかUTか飛び系か それが問題だ!ど本命ユーティリティを探せ! UT人気モデルを徹底比較
注目8モデルをトラックマンでデータ分析
ロフト角21~24度のフェアウェイウッド(以下FW)、ユーティリティ(以下UT)、飛び系アイアンにおいて、それぞれ特性別・スイングタイプ別による選び方について解説してきた本企画。FWの注目モデル6機種に続き、今回はUT8機種を石井良介プロが試打し、各モデルの解説と比較を行う。そこから見えてきた最新モデルの二極化とは!?
選び方) 最新UTはお助け性能が二極化
トラックマンによる試打データをもとに、8モデルの弾道の上げやすさ(縦軸)と操作性or直進性の高さ(横軸)を分布図で示してみました。
UTはアイアンに比べて重心が低いため、より打ち出し角が高く、ボール初速が速いことが特徴です。“お助けクラブ”とも呼ばれていますが、最新の人気モデルを打ち比べると、お助けポイントがふたつのタイプに分かれていることを実感できました。
ひとつ目は、打球の上げやすさを助けるタイプです。高弾道でグングンとボールが伸びる特性をもっており、8モデルの中ではキャスコ「UFO」やプロギア「Carrys Q」、ヤマハ「RMX」がこちらのタイプです。ふたつ目は、飛距離不足を助けるタイプです。ボールを高く上げてキャリーで飛ばすというよりも、ランが出やすいライナー系の強い球で飛距離を伸ばせます。テーラーメイド「SIM2 MAX」やキャロウェイ「APEX」はこちらに属し、吹け上がりにくく、パワーヒッターでも扱えるUTとなっています。
UTは弾道だけではなく、顔(形状)の系統も2種類に分かれます。シャフトの中心線からリーディングエッジまでの距離となるフェースプログレッション(FP)値の違いで、操作性か直進性かどちらを重視した特性かを、見分けることができます。FP値が小さいとグースが付いていることになり、構えたときはアイアンに近い顔に見えます。タイトリスト「TSi3」やダンロップ「スリクソン ZX」のように、UTでも球筋を調整したり、ドローとフェードを打ち分けたい人はアイアン顔がおすすめです。
逆にFP値が大きいタイプは、フェースが前に出ていて、ショートウッドに近い形状。ピン「G425」のように、球筋をコントロールするというよりは、オートマチックにストレートボールを打ちたい人との相性が良く、直進性が高いのが利点です。
1) 初代よりもつかまり度アップ「SIM2 MAX」
テーラーメイド「SIM2 MAX レスキュー」(4U・ロフト角22度)
ヘッドスピード 40.4m/s
ボール初速 60.5m/s
打ち出し角 16.6度
バックスピン 4048rpm
キャリー 210.6yd
総飛距離 222.3yd
前回のFWと同様に、初速スピードの速さを体感できるモデル。初代「SIM MAX レスキュー」よりもつかまり度が増し、よりやさしくなった印象です。叩いても吹け上がるミスが出にくいので、アスリートゴルファー向きと言えます。
2) とにかくミスに強い「APEX」
キャロウェイ「APEX UT」(4H・ロフト角21度)
ヘッドスピード 40.3m/s
ボール初速 60.9m/s
打ち出し角 17.1度
バックスピン 3496rpm
キャリー 204.1yd
総飛距離 226.6yd
ミスヒットに対する強さは随一。打点が多少は左右にズレたとしても、ほとんど初速が落ちません。プッシュして右に押し出したり、つかまえ過ぎて左に曲がるミスが出にくい。顔はアイアンに近い雰囲気なので、コントロール性能も高いです。
3) タテ距離の安定感が抜群「G425」
ピン「G425 ハイブリッド」(♯4・ロフト角22度)
ヘッドスピード 41.3m/s
ボール初速 62.3m/s
打ち出し角 16.3度
バックスピン 4329rpm
キャリー 215.3yd
総飛距離 227.2yd
つかまり具合や上げやすさ、ミスの強さなど、全体的にバランスの良いモデルです。スイングタイプを選ばず、初級者から上級者まで幅広い層が使える印象。特に飛距離のバラつきが少ないため、グリーンを狙うときのタテ距離が安定しています。
4) 昔の“3Iバリバリ派”も納得「TSi3」
タイトリスト「TSi3 ユーティリティメタル」(ロフト角20度)
ヘッドスピード 40.7m/s
ボール初速 61.4m/s
打ち出し角 14.3度
バックスピン 3295rpm
キャリー 220.1yd
総飛距離 238.0yd
今回の中では最もシャフト剛性が強くしっかりしていて、ライナー系の中弾道を打ちやすいモデルです。打感も顔もベテラン好みなので、「昔は3番アイアンをバリバリ使っていた」という世代のアスリートゴルファーにピッタリです。
5) ライン出しに有効な「スリクソン ZX」
ダンロップ「スリクソン ZX ハイブリッド」(♯4・ロフト角22度)
ヘッドスピード 40.4m/s
ボール初速 60.8m/s
打ち出し角 16.4度
バックスピン 3933rpm
キャリー 213.0yd
総飛距離 225.3yd
全体の形状がシャープで、構えただけで操作性の高さが伝わります。ライン出しのイメージやドローorフェードを操作する感覚が出しやすい。シャフト剛性も高く、技術の高いゴルファーほど、ヘッドがもつ本来の性能を発揮できると思います。
6) ショートウッドに近い「RMX」
ヤマハ「RMX UT」(U5・ロフト角22度)
ヘッドスピード 40.9m/s
ボール初速 61.8m/s
打ち出し角 15.0度
バックスピン 4662rpm
キャリー 209.9yd
総飛距離 220.1yd
しっかりスピンが効いて高さを出しやすく、UTというよりもショートウッドに近い印象です。シャフトのしなりが効いているので、セカンドショット以降の弾道の低さに悩みをもつ、ヘッドスピードが遅い人におすすめのモデルです。
7) トップのミスに強い「Carrys Q」
プロギア「Carrys Q UT」(Q4・ロフト角20度)
ヘッドスピード 39.3m/s
ボール初速 59.9m/s
打ち出し角 14.5度
バックスピン 4186rpm
キャリー 206.5yd
総飛距離 219.7yd
打球を上げやすく、直進性が高いので、安定して高弾道が打てるモデルと言えます。特にフェース面の下側でのミスヒットに強く、ハーフトップしたときでも一定の高さが出てくれます。UTでトップのミスが悩みというゴルファーに最適です。
8) シニア世代におすすめ「UFO」
キャスコ「UFO by パワートルネード」(♯55・ロフト角22度)
ヘッドスピード 39.2m/s
ボール初速 58.9m/s
打ち出し角 15.0度
バックスピン 5132rpm
キャリー 195.1yd
総飛距離 204.7yd
名器パワートルネードの特性を継承した、弾道の高さと弾きの良さが魅力です。軽く振っても飛んでくれるので、ヘッドスピードに自信がもてなくなったシニア世代におすすめ。つかまりも良いので、スライスのミスも軽減できます。
まとめ) 最新UTは2タイプに分類できる
・お助け要素が「高さ」と「飛距離」に二極化。
・高さ…高い弾道で「ボールの上げやすさ」を助ける。
・飛距離…ライナー系の強い弾道で「飛距離不足」を助ける。
取材協力/ハンズゴルフクラブ
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石井良介(いしい・りょうすけ) プロフィール
1981年生まれ、神奈川県出身。PGAティーチングプロの資格を持ち、トラックマンを使った最新理論やデータに基づくレッスンが好評。YouTubeチャンネル「試打ラボしだるTV」も大人気。
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