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女子プロクラブ考ドライバーとスプーンのシャフト 揃えるor別にする?/女子プロクラブ考VOL.4
昨年の秋口に大々的な女子プロのクラブ調査を行ったが、彼女たちがどんなクラブを使って、どんなスペックなのかはほぼ同じヘッドスピードの我々のクラブ選びに大いに参考になるだろう。膨大なデータを元に、女子プロの傾向をギアマニアが分析・検証していく。4回目はスプーンのシャフトについて。
ウエイトフローは過去の話?ドライバーとスプーンは同じ重さが半数以上
クラブセッティングの定説として “ウエイトフロー”というものがある。番手間の重量差を一定にするもので、クラブが短くなるほどに重さを増やしてタイミングを合わせやすくし、各番手の“振り感”を統一していくという狙いだ。ドライバーより短いフェアウェイウッドにはドライバーより重いシャフトを入れることが推奨される。フィッティングでもそうしたアドバイスが多く、男子プロもドライバーよりスプーンのシャフトを重くして、ウエイトフローさせている選手が多数派を占める。
が、今回の調査結果を見ると、ドライバーとスプーンのシャフトが同じ重量の選手は、41人中25人と半数以上もいた。その中の10人は同モデル・同スペックで、例えば渋野日向子は藤倉コンポジット「VENTUS TR BLUE(5S)」、畑岡奈紗も藤倉コンポジット「VENTUS TR RED(5S)」を装着(長さやチップカットは違うだろうが)。残る15人はモデル違いで重さを揃える選手で、例えば桑木志帆は、1WをUSTマミヤ「The ATTAS V2」の「5S」、3Wを三菱ケミカル「ディアマナ BF」の「5S」にしていた。
なぜ彼女たちはドライバーとスプーンのシャフトの重さを揃えるのか。ひとつは、スプーンに飛距離性能を重視したモデルが増えたことで、低スピン化して球が上がりづらくなったことが考えられる。ドライバーより重たいシャフトだと、地面から打つ一番長いクラブでただでさえ難しいのに、さらに難しくなるからだ。
山下美夢有は、ドライバー、スプーンだけでなく、クリークまですべて同じ藤倉コンポジットの「SPEEDER NX GREEN」の「5SR」で統一している。アマチュア時代から、重さ50グラム台の硬さS(もしくはSR)でやってきた女子プロが多く、そのスペックに安心感があるのだろう。アマチュアも、スプーンが苦手な人は、ドライバーとシャフト重量を揃えるだけでも、やさしく感じられる人はいるかもしれない。
一方でウエイトフローを取り入れているのが、西郷真央と原英莉花の2人で、共にUSTマミヤの「The ATTAS V2 1W(5S)&3W(6S)」を使用している。2人の師匠であるジャンボ尾崎の影響だろうが、スプーンによりコントロール性能を持たせたいのだと推測できる。つかまりを抑えてコントロールしたい、グリーンで止めたい、縦距離を計算したいなど、純粋に飛ばし特化ではないのだろう。シャフトの重さやスペックを変えて、自分の打ちたい弾道を探っていく作業は男子プロに多く、ショットメーカーの2人ならではのチョイスだ。
ドライバーとスプーンでシャフトメーカーが違う選手もいた。上田桃子、桑木志帆、青木瀬令奈の3人のみで少数派ではある。上田桃子のスプーンは2016年から使い続けている「X HOT PROフェアウェイウッド」に「ツアーAD PT」の「6SR」を挿す。ドライバーのシャフトは今年から藤倉コンポジットの「VENTUS TR RED」の「5SR」に変更していた。女子ツアーでは珍しいメーカー跨ぎとなっている。
1WとFWでシャフトの硬さを変える選手も
驚いたことに、41人中8人がドライバーとフェアウェイウッドでシャフトの硬さが違ったこと。例えば尾関彩美悠はドライバーに藤倉コンポジット「VENTUS BLUE」の5S、スプーンには同じシャフトの6Rを入れていた。あまり知られていないが、シャフト重量が増えると、同じモデルの「S」表記であっても、硬くなる場合がほとんど。硬さに敏感な選手だとそこで違和感を覚えるケースは多い。フェアウェイウッドは先端をカットして装着する事がほとんど。先端をカットすることで硬さが出るが、尾関の場合も先端カット量を調節してドライバーに対して振り心地の違和感が出ないように調整していると推測される。
我々アマチュアもフェアウェイウッドを重くする場合は、硬さを考慮してフレックスを落とすという選択肢も出てくるかもしれない。時にヘッドのメーカーが変わっただけで、同じSシャフトでも違和感を覚えることがあるので、ドライバーとスプーンのモデルが違う時は、注意が必要だ。(文・田島基晴)
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