「中古ウェッジ」購入で失敗をしないコツとは? ヒントはシャフト選び
女子プロクラブ考ウェッジのシャフト「重柔」が正解ってホント!?/女子プロクラブ考VOL.10
女子プロたちがどんなクラブを使って、さらにどんなスペックなのかは同じヘッドスピード帯の我々(男子アマチュア)のクラブ選びに大いに参考になる。定期的に行うクラブ調査で採取した膨大なデータを元に、女子プロのクラブの傾向をギアマニアが分析・検証していく。10回目はウェッジのシャフトについて。
ウェッジのシャフト、アイアンと同じが約3割
今回調査したうちの約3割が、アイアンとウェッジのシャフトを同じモデルでそろえていた。同じシャフトであれば振り感が変わらないので、番手によっての違和感が出ないのがその理由だろう。
アイアンとウェッジのシャフトが同じ硬さの選手は39人中26人と約7割もいた。残る13人の中で、金田久美子はアイアンに日本シャフト「NSプロ 850GH」のS、ウェッジには同じシャフトのRを入れており、フレックスをやわらかくしていた。女子ツアーでは少数派ではあるが、これは米男子ツアーの選手に見られる傾向で、ジャスティン・トーマス、ジョーダン・スピース、タイガー・ウッズもウェッジにはワンフレックスやわらかいシャフトを挿している。
ボーケイウェッジの生みの親ボブ・ボーケイ氏は「ウェッジを使う際はスイングスピードが遅いことがほとんど」と、ウェッジにはアイアンよりも“やわらかめ”を推奨している。シャフトは短くなるとしなりを感じにくくなり、スイングテンポが速くなってしまう傾向があるため、それを補う効果もあるのだろう。プレッシャーがかかる場面でどうしてもリズムが速くなってしまう人には、ウェッジのシャフトをやわらかくするのは効果的だろう。
6割の選手がアイアンより重めを選択
シャフトの重さに関してはどうか。ボーケイ氏は「アイアンと同じか少し重め」を推奨しており、フィッティングスタジオでも同じように勧められることがある。
女子プロを見れば、畑岡奈紗がアイアンにトゥルーテンパー「スチールファイバー i95」(90g台)、ウェッジにトゥルーテンパー「スチールファイバー i110 cw」(110g台)を装着するなど、ウェッジのシャフトを少し重くしている選手が39人中24人と6割を超える結果に。
短い距離を打つには、シャフトの重さのあるほうが安定してゆっくり動かしやすい。極端にウェッジのシャフトを重くしてしまうと、フルショットする際に違和感が生まれるため、“少し重く”が基本。アイアンのシャフトより10~20g重くするのが目安となる。
ウェッジ専用シャフトってどうなの?使っている選手は?
ウェッジ専用シャフトを使う選手は少なく、佐藤心結の日本シャフト「NSプロ モーダス3 ツアー105 ウェッジ」、渡邉彩香の日本シャフト「NSプロ モーダス3 125 ウェッジ」が挙がる。日本シャフトのモーダス3ウェッジ専用シャフトは、手元の剛性をやわらかくしてタイミングを取りやすくし、先端の剛性を上げて打ち出し角を低く、バックスピン量のブレを少なくするという意図で開発された。低く飛び出して、しっかり止まる球が打ちやすい。
結論は?
アイアンとウェッジを別々に買う人は多いが、その際にシャフトをそろえる方が無難で成功率も高いことは間違いない。ボーケイ氏が推奨するように、同じシャフトにしてウェッジのシャフトをよりやわらかくすると間が取りやすく感じるだろう。
プロのようにウェッジのシャフトを少し重くしたいが、その際は同じモデルではなくなることも多い。アマチュアで見かけるのが、アイアンは純正シャフトの採用率が高い日本シャフト「NSプロ 950GH」、ウェッジは重くしたいからトゥルーテンパー「ダイナミックゴールド」を入れるケース。一見良いチョイスのようだが、シャフトの特性がかなり異なるので、違和感を覚えてしまうはず。アイアンが「NSプロ 950GH」なら、ウェッジには似た特性の「NSプロ 1050GH」を挿すなど同じモデルでの重量フローが得策だ。
カーボンシャフトでも、原英莉花のようにアイアンはUSTマミヤ「ATTAS FF85」、ウェッジはUSTマミヤ「ATTAS FF95」と同じモデルで重量を重くする方が成功率は高い。また、ウェッジ専用シャフトという選択肢も考えてほしい。まだ普及していないが、ウェッジに特化した特性である故に、アマチュアの悩みを解決してくれる可能性は大いにあるだろう。
・アイアンと同じモデルにする
・アイアンよりも「重軟」にする
・ウェッジ専用シャフトも選択肢のひとつに
これらが、ウェッジがうまくなりたいゴルファーの“正解”となるはず。そしていいシャフトに出合ったら、浮気をせずに使い続けることが大切。ウェッジを変更しても、シャフトは同じものを選んでほしい。純正シャフトにラインアップがなければリシャフトする。「ウェッジのシャフトなんか何でも同じ」と思っている人は多いが、実際に試打をしてその違いに驚く人が多いのも事実。スコアに直結するグリーン周りのクラブだけに、ここはしっかりと選んでほしい。(文・田島基晴)
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