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「スリーブ付きシャフト購入」は賢いリシャフト方法だが… 中古購入の注意点

2023/09/22 20:00
中古のスリーブ付きシャフトなら、お手頃価格で新しいシャフトを試せる

ここ10年で急速に普及したのが、可変スリーブ付きのドライバーだ。大手量販店や工房に行くことなく、自分で簡単にロフト調整やシャフト交換を行えるようになった。それに伴って、中古市場でも可変スリーブ付きのシャフトが多く出回っている。中古店では多種多様なスリーブ付きシャフトを見かけるが、初心者が手を出すにはなかなか難しいポイントがいくつかある。今回はギアマニアを自負する筆者が、中古で購入する際の注意点について説明しよう。

基本中の基本! スリーブの互換性を確認するべし

まず当たり前のことだが、スリーブの形状はメーカーごとに違うため、シャフトの種類だけでなく、自分が使っているヘッドに装着できるかどうかをまず確認する必要がある。ただし、各メーカーで発売年度によってスリーブの形状が変わっている場合があるため、自分の使っているヘッドに装着可能かを調べてから購入してほしい。

例えば、テーラーメイドは2009年発売の「R9」から可変スリーブがスタートしたが、2013年発売の「R1」、「ロケットボールズ ステージ2」から形状が変更した。現行の「ステルス2」や「SIM」、「M」シリーズなど、2013年以降のモデルであればどれも同じスリーブで装着することができる。一方、キャロウェイのスリーブ「アジャスタブルホーゼル」は、上下2種類のリングを組み合わせることでロフト角とライ角を調整することができる。2014年に発表された「BIG BERTHA ALPHA 815」以降のスリーブであれば、「パラダイム」シリーズや「エピック」シリーズなどの現行モデルにも対応可能。

テーラーメイド「ロケットボールズ」の初代(左)と2代目(右)。同じシリーズでもスリーブが違うこともあるので要注意

タイトリストのSure Fitホーゼルは、2014年に登場した「VG3」以降であれば、すべて互換性があり、「TSi」シリーズや「TS」シリーズなどのヘッドにも装着できる。ちなみに、タイトリストのスリーブは、ドライバーとフェアウェイウッドで形状が異なり、互換性がないため注意が必要だ。ピンは2014年発売の「i25」から可変スリーブを採用しているが、2019年発売の「G410」シリーズからスリーブが新しい形状となり、現行の「G430」や「G425」シリーズとも互換性がある。「同じメーカーだからきっと大丈夫」と思い込まずに、スリーブが装着できるヘッドかどうか再確認しよう。

シャフトの長さ・クラブ長さを何インチにしたいのか決めるべし

続いて購入前に、必ず確認して欲しいのがシャフトの長さだ。同じスリーブ、同じシャフトでも、もともと装着してあったヘッド種別や前に使っていたユーザーによって長さは異なる。そのため、「シャフトを交換したらクラブの全長が変わってしまった」、なんてことも十分あり得る。購入前に、自分に合うクラブの長さは何インチなのかを把握しておくことが重要だ。

希望のクラブ全長よりも長くなってしまった場合は、クラブを短く握ったり、工房でシャフトをカットしてもらったりなどの対策ができる。しかし希望よりも短くなった場合、シャフトを伸ばすとなると安全面で問題があるため、それはなるべく避けたい。自分のヘッドにスリーブ付きシャフトを装着した場合に、全長が何インチになるかを予測するのがベストだ。

ドライバーの場合はヘッドに厚みがあるため、シャフト自体の長さプラス1インチから1.5インチぐらいが装着した際のクラブ長の目安となる。クラブの全長を45インチにしたければ、シャフト長44インチが良いだろう。ルールによる長さ制限は48インチ未満だが、公式競技におけるクラブの長さは46インチ以下に制限されているため、試合に出場する場合は注意が必要だ。中古ショップの場合、大抵はシャフトの長さの表記があるので、しっかりとチェックしよう。

難度が高いチップカット問題

もうひとつの注意点がチップカットしているかどうかだ。ドライバー用シャフトの長さを変える際は通常、手元(バット)側をカットして長さを調整する。しかし、裏技としてシャフトの先端をカットするチップカットという方法がある。先端のしなりを抑え、シャフトのフレックスを硬くするのと同等の効果を得られる。しかし、一番しなる先端部をカットすることで、ボールが上がりにくくなったりスピン量が減ったりするなど、シャフトの特性が変わってしまう可能性がある。それゆえ、中古でシャフトを購入する際は、チップカットしているかのチェックをしておくと良いだろう。

中古で選ぶ際には、シャフトのプリント位置からチップカットの長さを推測することができる

フェアウェイウッド用のシャフトは、短い番手になるにつれてヘッドが徐々に重くなるため、番手ごとにチップカットする分量を変えるのが一般的。3Wなら0.5インチ、5Wなら1インチという具合に、3Wより5W、5Wより7Wが短くなるようにチップカットする長さを調整する。ドライバー用シャフトを短くする場合は手元側をカットすることが多いが、フェアウェイウッド用シャフトは先端をカットしていることが多い。

チップカットしているかどうかや、そのチップカット量を見極めるのは難しいが、シャフトのプリント部分からスリーブまでの距離で推測する方法がひとつ。リアル店舗だったらスタッフに確認するのもいいだろう。フェアウェイウッド用は基本チップカットしていると思って間違いない。

初心者はメーカーのカスタムシャフトが安心

初心者はメーカーのロゴ入りシールが貼ってあるものを選ぶと良いだろう

中古で売られているスリーブ付きシャフトには、クラブメーカーが用意したカスタムシャフトに純正スリーブが付いているものと、ユーザーがシャフト単体を購入して純正ではないスリーブをつけたリシャフトの2種類が存在する。後者は工房で加工したものか、ユーザー自身で加工したものかの判断ができないため、初心者であれば、メーカーのシール等が貼られているものがおすすめだ。

スリーブには純正とそうでないものがある

メーカーの純正ではない互換スリーブ。純正品と見分けるのはかなり難しい

先述した通り、クラブメーカーカスタムのシャフトには、純正スリーブが装着されているが、リシャフトしている場合は、互換性はあるが純正ではないスリーブが装着されている。というのも、各メーカーの純正スリーブは、国内では販売されていないため手に入れることが難しい。筆者は純正ではないスリーブを使用しているが、今まで強度で不都合を感じたことはない。ただし、ロフト角やライ角などに若干の誤差が発生する可能性があるため、正確性を求めるのであれば、純正スリーブがついたシャフトを選ぶと良いだろう。

これまで挙げた注意点以外にも、グリップ内部での加工状況や接着の状況は、見た目では確認できない。オークションやフリマサイト等で購入する場合は、それらのリスクがある。そのため、買い取り時のチェックがしっかりしていて、万が一の場合に対応してくれる中古店の方が安心感はある。

オンラインショップで購入する際には、シャフトの長さや対応ヘッドなどが書いてあるサイトで買うのが良いだろう。フェアウェイウッド用やユーティリティ用のシャフトは、番手により長さが違うため、チップカットの量について確認する必要がある。リシャフトをやってみようと思った方は、まずドライバーのシャフトからデビューしてみてはいかがだろうか。(文・田島基晴)

■ 田島基晴 プロフィール

1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。