そろそろ俺も「チタン製フェアウェイウッド」のすゝめ まずは中古から始めてみよう
ウッドの素材がパーシモンからメタルになって久しい。ステンレス(スチール)に始まり、1990年代にチタンに移行。その後、カーボンやポリマーなどの素材も加わるようになった。ドライバーを一気にやさしくしたイメージのあるチタンは近年、一部のフェアウェイウッド(FW)にも搭載されているが、果たして実力はいかほどか。名器を中古で探してみた。
チタンはやさしい!のウソ・ホント
軍事機器の製造や宇宙開発で広く使用されるチタンは比重が軽く強度がある。ゴルフクラブにおいてはドライバーのヘッド大型化を可能にし、慣性モーメントアップや深重心化に貢献。この進化の過程で「チタンヘッド=やさしい」と捉えられがちだ。しかし同じチタン製でも、FWは事情が少し違う。ティアップして打つ1Wとは違い、地面から打つことが多いため、大きすぎると芝の抵抗が増して打ちにくい。
1997年に発売されたプロギア「ZOOM-F」はヘッド容量が203ccと大型で投影面積も大きかった。ソールにはタングステンが使われ、低重心で飛距離性能も高く、ミスにも強くてプロのあいだでヒットした。だが、当時のモデルとしてはそのサイズの大きさによる違和感が拭えず、使える状況も限られた。ヘッドが小さいFWは高価なチタンを使わずとも、ステンレスで対応できたため、あまり採用されなくなっていった。
チタンFWが復活したのはいつ?
チタンFWは2000年代に入り、キャロェイ「ERC FW」やテーラーメイド「300Ti」等が発売されたが、ヒットには至らなかった。ダンロップ「ゼクシオ」のFWは当初フルチタンだったが、4代目からはマレージング(クラウンだけチタン)に。5代目以降はフェースがチタンだったが、8代目からステンレス(HT1770M)を採用している。この紆余曲折を見ても、チタンの特別な優位性は見いだせない。2008年にPRGR「eggスプーン」がヒットしてからは、大手メーカーからはほとんど登場しなくなった。
しかし、2019年にテーラーメイドが発売したチタンモデルの「M5」をタイガー・ウッズが愛用し、人気が出た。松山英樹も「SIM」(2020年)、「SIM2」(2021年)を握り、チタンFWの認知度が一気に上がった。強度が高く、比重の軽いチタンでボディを作り、ソールには比重の重いタングステンを配置。低重心のFWがツアープロやハードヒッターのハートをつかんだ。
ツアーで人気だったチタンのFWは?
テーラーメイドはハードヒッター向けのチタンFWのジャンルを確立している。「M5」は3Wでヘッド体積が142ccとコンパクト。ソールには65gの可変式タングステンウエートを装着し、捕まり具合を調整できる。しっかりした打感で操作性も良いが、難易度は高い。1万円台前半から見つかるだろう。
「SIM」は一転してヘッドサイズが同社の歴代チタンFWでは一番大きく、3Wで180cc。ウッズも20年の途中から23年にかけて使用した。中古価格が近頃上がっており、2万円台中盤に。「SIM2」は170ccと少し小型化した。こちらも2万円台中盤が相場だ。
ヤマハのチタンFWも飛距離性能の高さで人気だ。「RMX VD」(2021年)は国内女子ツアーで人気があった。1万円台中盤から見つかる。ツアープロからの評判が良く、どのモデルもヘッドスピードが速くないと3Wを使いこなすのは難しい。40m/s以下ではボールを上げにくく、飛距離を期待するなら5Wがイイだろう。
ハードヒッターじゃなくても使いたい
日本でチタンFWのジャンルを確立させたのは、グローブライドのパーツブランドであるロッディオ「ロッディオFW」(2015年)だろう。ソールのタングステンは様々な形状が選べ、ウエート調整も可能。ホーゼルパーツを選ぶことでロフト角、フェース角も変えられる。24年にモデルチェンジするまで人気だったモデルだ。ロフトバリエーションも多い。2万円台中盤から探したい。ただし、新品時の使用者に最適にチューニングされているため、中古でマッチする確率は低いと言える。
テーラーメイドのグローレシリーズにもチタンヘッドのモデルが多数存在する。ボールのつかまりが良くミスヒットにも強い。初代「グローレ」(2012年)、2代目「グローレ」(2014年)はどちらも1万円以下。「ステルスグローレ」(2022年)は2万円以上とアウトレット価格と差がなく、中古としての魅力が薄い。
お求めやすいチタンFWはコレ!
低価格モデルを追求するなら、マジェスティゴルフ(マルマン)「シャトルTITAN」(2015年)がやさしく、5000円前後とお得。オノフ 「フェアウェイアームズ KURO」(2017年)はロッディオFWのノウハウを注ぎ込んだ逸品。飛距離性能も高く、8000円前後から見つかる。ちなみにチタン製は3Wだけなので要注意。PRGR「eggスプーン ブラック」(2021年)は超低重心で飛距離性能が高い。1万円台前半から手に入るだろう。
チタンFWは素材の自由度が高く、飛距離に特化した作りになっている。低重心、ぶっ飛びFWを探すならチタン製は外せないだろう。今後はさらにやさしいモデルが登場するのを期待したい。(文・田島基晴)