「とりあえずボーケイ」は間違いじゃない!? ギアマニアの推しSMシリーズは「6」と「7」
タイトリストを展開するアクシネット社のウェッジブランド、ボーケイウェッジ(以下ボーケイ)は1999年に初めて発売された。ボブ・ボーケイ氏によるデザインはタイガー・ウッズら超一流のプロゴルファーから、アマチュアまで絶大な支持を得ている。今回は中古でボーケイを探す際のポイントをまとめた。
ボーケイのせいでアイアンセットの本数が減った?
1999年に登場したボーケイは、同年PGAツアーで初優勝し、4大メジャーを制覇したウッズが愛用したこともあり大ヒットした。多くのゴルファーがアイアンセットに組み込まれていたAW、SWを単品販売にこぞってスイッチ。国内ツアーでも人気が高まり、グースがたっぷりついた日本らしいウェッジは姿を消して、ストレートに近いアメリカンウェッジが全盛となった。
ボーケイの人気を支えるのはプロの高い使用率だけでなく、ロフト角、ソール形状のバリエーションの豊富さにある。純正シャフトも優秀。ヘッドが少し軽い、日本のゴルファー向けのフォージドモデルもある。ボーケイ氏はウェッジのことを「スコアリングクラブ」と呼んでおり、それを体現する機能が詰まっている。「とりあえず、ボーケイでいいだろう」の選択は、あながち間違いではない。
SMシリーズとフォージドシリーズ
ボーケイには「SM(スピンミルド)」シリーズと、日本のゴルファーのために開発された「フォージド」シリーズの2つがある。SMシリーズは軟鉄鋳造。フォージドはその名の通り軟鉄鍛造だ。ヘッドの重さに違いがあり、フォージドの方が軽い。フルショットでも多用する50度、52度はフォージド、チップショット専門の56度や58度はSMというのもおススメだ。
とはいえ、人気はSMシリーズの方が上。初代がリリースされてから25年以上が経過した。プロ・アマ問わず支持率が高く、モデルチェンジで大胆なアップデートは難しい。「SM7」から「SM8」になった時に、トウ側に比重の高い金属を埋め込み、センター重心を実現したという(筆者からすると、劇的な変化とは思えなかったが…)。とはいえ、溝やフェースの加工が常に研究されており、スピンが安定してかかるように都度、改良されている。耐久性も向上しているため、最新モデルがいつもベストと言っていいだろう。中古で手に入れる場合は、新溝ルールが施行された2010年以降のモデルを推薦する。一般のゴルファー向けの規制は延期されているが、経年劣化を考えたい。
ロフトとバウンス選びを入念に
ウェッジを選ぶ際にはまず、自分のPWのロフト角を調べよう。アイアンのストロング化が進み、PWとAWの間のギャップが大きすぎると、飛距離のコントロールが難しくなる。これまで「ウェッジは52度と58度」と決めてきたゴルファーには、ぜひ一度、50度や54度、56度も試してほしい。ゴルフクラブはロフト角が少ない方が打面に当てやすい。わずか2度の違いでも、驚くほどやさしくなったり、難しくなったりするのがウェッジの面白いところだ。
ボーケイのソール形状の豊富さは他社のモデルを圧倒している。ワイドソール&ハイバウンスの「Kグラインド」、トレーリングエッジとトウ・ヒールが大きく削られてかつローバウンスの「Tグラインド」など、ゴルファーそれぞれのテクニックを生かせるモデルが満載。公式ウェブサイトに、スイングタイプ別のソールの選び方が詳しく表記されているのでチェックしてみよう。診断機能もあるので利用したい。
ボーケイウェッジ、いくらで買える?
ボーケイは中古ショップで3000円台から在庫が豊富にある。2024年モデルの「SM10」が1万円台後半、2022年の「SM9」は1万円台中盤、2020年「SM8」は1万円台前半が相場だ。それ以前のモデルは1万円以下だろう。
価格に意外と影響を与えるのは仕上げだ。ジェットブラック、ニッケル、BRASHED STEEL仕上げは、メッキ仕上げのツアークロムに比べると消耗が速いように見える。その分、割安に感じるだろう。長く使いたい場合はツアークロムを、より新しいモデルを割安で購入したいなら他の仕上げをオススメする。
筆者の注目は「SM6」と「SM7」。ロフト角によってヘッドの形状(バックフェースの造作)が違うという、“攻めた”シリーズ。それ以降のモデルとの違いを検証したいと考えている。
中古を買って、売って、トライ&エラーを繰り返し、自分に合うソール形状を見つけるのもウェッジ選びの魅力。ボーケイには限定モデルもあるので、それを狙うのも楽しい。ゴルファーを惹きつけるウェッジであることは間違いない。(文・田島基晴)

田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。