「エル、オー、ブイ、イー、L字!」 なぜやめられない“L”の魅力を中古目線でじっくりと

「エル、オー、ブイ、イー、L字!」 なぜやめられない“L”の魅力を中古目線でじっくりと
愛してやまないL字の魅力を深掘り(写真は久常涼のL字マレット)

最近のPGAツアーにおけるパターの主流は、オートマチックにストロークできる大型ネオマレット型かピン型の二択と言っていいだろう。その中で孤高の存在感を放っているのが、久常涼が長年エースパターとして使用するL字マレット型のオデッセイ「ブラック・シリーズ iX #9」。数ではマイノリティながら、魅力的なL字パターについて中古視点で掘り下げてみた。

L字パターの変遷 球聖、帝王からジャンボ、石川遼へ

L字パターの歴史をひも解くと、始まりは“球聖”ボビー・ジョーンズに行き着く。1930年に史上唯一の年間グランドスラム(※当時は全英アマ、全英オープン、全米オープン、全米アマが4大メジャー)達成した際、その手に握られていたのが「カラミティ・ジェーン(災難のジェーン)」と呼ばれたL字パターである。

その後、“帝王”ジャック・ニクラスが全盛期に愛用した「ジョージ・ロウ 600」や、名手ベン・クレンショーが手にしたウィルソン「8802」が有名。かつてのL字はブレード型であり、難度が高い反面、繊細なタッチを忠実にボールへ伝える究極の道具だった。

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「ジョージ・ロウ 600」をジャック・ニクラスの名の下で再現した「マグレガー ミュアフィールド」

国内では尾崎将司が「マグレガー IMG5」を愛用したことでL字ブームが定着した。アイアンの流れでフェースを比較的大きく開閉させて打つL字は、ショットメーカーにとって唯一無二の武器になったと推測される。

その後、操作性を維持しつつ、ヘッド後方を膨らませて寛容性を加えた「L字マレット」が登場する。石川遼が「ブラック・シリーズ iX #9」で一世を風靡し、久常もこの形状をエースに据えることとなった。

L字パターは本当に難しいのか?

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懐かしのヘッド形状と現代の技術が融合して誕生した「ターニークラシック アイアンマスター IM-G5」

L字パターは「上級者向け」「難しい」と敬遠されがちである。しかし、物理的に見ればその評価は必ずしも正しくない。L字は重心距離が長いため、アイアンと同じようにフェース開閉を自然に行える利点がある。重心距離がある他のクラブとの親和性も高い。また、現代のL字マレットはトウ側に重量を配分することで、決して小さくない慣性モーメントを確保している。

大型マレットが「オートマチックな直進性」を売りにするなら、L字は「意図した通りの操作性」という名のやさしさを持っている。筆者は先日、マスダゴルフの増田雄二氏がデザインしたL字のブレードパターを試打したが、密度の高さを感じる打感に圧倒された。全てのクラブに重心距離があるように、パターも同じように重心距離があるほうが統一感を感じやすい。多少ミスに弱くてもヘッドを動かしやすく、芯に当てやすかった。ある意味では、いま人気のトルクレス(ゼロトルク)パターの対極といえる。

「L字」と「L字マレット」はやっぱり別物

L字とL字マレット。両者は似て非なるものである。オールドタイプのL字(ブレード)は、重心深度が極めて浅く、操作性に“全振り”した設計だ。対してL字マレットは、ブレード型よりも寛容性が高く、アライメントも取りやすい。

L字パター最大の特徴は、シャフトがヘッドの端(ヒール)に接着されている点にある。これにより、インパクトの情報が遮断されることなく手に伝わる。芯を食った際の快感と、外した際の違和感がダイレクトに響く。この「フィードバックの濃さ」こそが、久常のような繊細な距離感を武器にするプロに選ばれる理由だろう。

中古市場で狙うべき「L字パター」

「エル、オー、ブイ、イー、L字!」 なぜやめられない“L”の魅力を中古目線でじっくりと
久常涼のエースパター「ブラック・シリーズiX #9」

中古市場はL字パターの宝庫だ。石川がかつて愛用し、久常が信頼を寄せる「ブラック・シリーズ iX #9」(2009年)はタングステンウエートによる低重心化が図られ、L字マレットの完成形と称される名器である。状態の良いものがなかなかない。相場は1万円を切る。

石川が使ったこともある「HT(ハイトウ)」モデルもオススメ。オデッセイ「プロタイプ iX #9HT」はトウ側を高く設計することで、アドレス時の安心感を高めている。レアなので数は少ないが1万円台前半で見つかるだろう。

マスダゴルフ「MASDA Putter TYPE-L」(2019年)はジャンボ尾崎をよく知る増田雄二氏がこだわって作った。こちらも数は少ないが3万円台後半で探せた。ウィルソン「STAFF MODEL 8802」(2020年)は名器8802の復刻モデル。これぞL字プレードの極みと言えるパターだ。3万円台前半で見つかる。

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オデッセイ「プロタイプ iX #9 HT」

比較的発見しやすいのはスコッティキャメロンだろう。お手頃なのは「セレクト ニューポート3」(2017年)だろうか。2万円台前半からと、同ブランドにしては手を出しやすい。

L字パターは見た目が難しそうで、調子が悪いと、フェースバランスやトルクレスという“やさしい”キーワードに気持ちが揺れてしまうのは痛いほど理解できる。しかし、フェースの向きをターゲットに合わせて、フェースの芯でとらえられれば、極上の打感がフィードバックされ距離感が育っていく。

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キース・ミッチェルのL字マレットはスコッティ・キャメロン製

大型マレットを使い続けて距離感がボヤけてしまっているなら、L字パターを試す価値はある。久常のように「道具に頼りすぎず、己の手の一部として扱う」感覚。原点回帰を中古の名器が手助けしてくれるはずだ。(文・田島基晴)

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田島基晴 プロフィール

1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。

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