アイアンは「顔」が命 ギアマニアが選ぶ“イケメンTOP3”を中古で紹介
アイアン選びにおいては、ロフト角やシャフト重量といった数値も大切だが、スイングの成否を意外と左右するのが「顔」だ。カッコいい!と思って、バックフェースばかりを気にしていないだろうか?構えた瞬間に脳へ送られる視覚情報は、無意識のうちに力みを生んだり、体の動きに影響を及ぼしたりする。今回は顔について深堀りし、吟味した中古アイアンを紹介しよう。
「顔」の要素とスイングへの影響
そもそも、アイアンの顔を決める要素は何だろうか。「トップブレードの厚み」、「フェースプログレッション」、「トウ側の高さからヒールまでの曲線」の3つである。それぞれ解説しよう。
(1)安心感か、操作性か/トップブレードの厚み
アイアンのフェースの一番上の面をトップブレードと呼び、その厚みで打つ際のイメージが変わる。ぶ厚いモデルは安心感を生み、打点がバラついても助けてくれそうな気がする。心理的に「打ち込まなくていい」と感じるため、払い打つスイングを促しやすい。ヘッド周辺にウエートが配置されるものが多く、キャビティ効果が上がって高い寛容性を持つ。
逆に薄いとシャープな印象を与え、ボールだけをクリーンに拾ったり、ダウンブローに打ち込んだりと、球を操作するイメージがわきやすい。一般的には上級者の好みに合う。
(2)つかまりのバロメーター/FP値(フェースプログレッション)
FP値とはフェースのリーディングエッジとシャフト軸線との幅(距離)のことを指す。FP値が小さい=グースネック、刃(リーディングエッジ)が引っ込んでいる、と言えばわかりやすいだろう。FPが小さいと右へのミスに対する安心感を与え、インパクトを遅らせてハンドファーストで球をとらえる動きをガイドする。
FP値が大きい=ストレートネックに近く、こちらはターゲットに対して真っ直ぐ構えやすく、ドロー/フェードの打ち分けがイメージしやすい。左へのミスを嫌うフック傾向のゴルファーにも恩恵がある。
大きいヘッドは重心距離が長くなりやすいため、ターンが遅れないようにするためFPが小さい事が多い。逆に小さいヘッドは、自らヘッドを開閉してコントロールしたいのでFPが大きい事が多い。1990年代は尾崎将司さんの影響で、ブレードタイプでもFPが小さいモデルがあった。現在はほとんど見当たらない。
(3)重心バランスのイメージを左右/トウ側の高さからヒールまでの曲線
古くから、「ギアマニアは8番アイアンをチェックすべし」という鉄則があった。これには、セット全体の流れを決める重要な理由がある。ロングアイアンからミドルアイアンまでは、ボールを遠くへ運ぶための「ショット」の顔である。一方で、9番やPWはピンをデッドに狙う「ウェッジ」に近い役割を担う。その中間に位置する8番アイアンこそが、セットの性格が切り替わる“顔の境界線”だと言われていた。
8番から番手が小さくなると、少しずつトップラインが曲線を描きヒール側も高くなっていく。これにより、フルショットへの安心感とライン出しの操作性が生まれる。しかし、最近はPWまでトップラインが真っ直ぐのアイアンも増えている。
どちらが優れているか?という問題ではなく、好みと言える。かつてはそれぞれを「和顔」、「洋顔」と呼んでいたが、今では国産ブランドも海外ブランドもそれぞれ、モデルによって顔が違う。とはいえ、筆者は最近、日本のメーカーの方が、短い番手がウェッジ顔にならない傾向があると感じている。
ギアマニアがイケメンアイアンを選ぶ
最近の一部の若い女子プロなどは、アイアンの顔を気にしないという話を聞いたことがある。あくまで好みの問題だ。ただ、筆者はアイアンセットとしての全体の流れがやはり気になる。
テーラーメイドのアイアンは最近、顔が良くなったと感じる。タイガー・ウッズとの契約後その流れは加速した。ウッズモデルである「P7TW」(2019年)を推したいところだが、高価でレアなので、今季始めにロリー・マキロイ(北アイルランド)も使った「P7CB」(2024年)を選ぼう。トップラインが厚すぎず、薄すぎず、シャープな形状で、8番からウェッジっぽくなる点もギアマニアの好み。6本セットで7万円台が相場だ。
逆にアイアン顔を貫き通しているのがダンロップ「スリクソンZX」シリーズだ。どのモデルもシャープな印象を与え、人気がある。筆者も「ZX5 MkII」を購入。サイズ感や寛容性の高さが気に入っていた。短い番手もアイアン顔で、「あれ、これは何番だっけ?」とアドレスを解くことが増えてしまったので、後に手放したのだが…。トップラインはやや厚めだ。6本セットで7万円前半から見つかる。
7番と8番の繋がり具合がP7CBとZX5 MkIIの中間と言えるのが、ブリヂストン「241CB」(2024年)。ややコンパクトなヘッドサイズとオフセットが絶妙。8番からヒールが高くなり、ウェッジへの繋がりを醸し出している。6本セットで7万円台後半で探したい。
「あのアイアン、カッコいいよね?」という巷の話を深く聞いていくと、バックフェースのデザインで語られることがほとんどだ。そういった発想は今どきのマッスルバックや中空アイアンなどが恩恵を受けている。実際のところ顔を気にするゴルファーは少なくなってきた。
また、商品カタログやウェブサイトでの紹介は、ほとんどが7番アイアンの写真しかない。中古ショップの陳列棚で、ふと目が合ったアイアンを実際に構えてみてほしい。その「顔」があなたに語りかけてくるメッセージこそ、スペック表には載っていない“性能”かも。まずは中古ショップで全番手をチェックしてみよう。「裏の顔」にダマされないように。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。