パット上手ほど使いたがる「センターシャフトの世界」 中古おすすめハウマッチ?
2024/11/22
センターシャフトのパターはゴルファーの一部で根強い人気を誇る。最近はただヘッドの重心位置にシャフトを装着しただけではない、新たなトレンドのモデルも登場。今回は中古ショップからセンターシャフトモデルのニューウェーブを解説する。
センターシャフトパターのメリットとデメリット
センターシャフトパターのメリットは、芯で打ちやすいに尽きるだろう。シャフトの延長線上に芯があるためミスヒットが少ない。また、フェースバランス(手のひらにシャフトを乗せるとフェースが水平に上を向く)になっているものがほとんどで、ヘッドをまっすぐに動かすイメージがわきやすい。
デメリットは重心距離が限りなくゼロに近いため、ミスヒットした際にヘッドが回転しやすく、方向性が悪くなる。「芯で打ちやすいのに、芯で打たないとブレる」という“諸刃の剣”のパターだ。しかし最近は、フェース後方部のセンターにシャフトが挿さるようなモデルも流行っている。フェースがストローク方向にバランスされており、トルク(ねじれ)を感じにくくミスヒットにも強い特徴を持つ。
センターシャフトの新しいトレンド
10月の「ZOZOチャンピオンシップ」でリッキー・ファウラーが使用したのがL.A.Bゴルフ(ラブ・ゴルフ)の「DF3」というモデル。センターシャフトだが、フェースバランスではない。ストローク中にヘッドがターゲットに対してスクエアになるためミスヒットにも強い。同社は「トルクレス」と呼んでいる。センターシャフトパターの弱点を克服していると言えるだろう。
米ツアーで人気があり、日本でも片山晋呉やチェ・ホソン(韓国)が使用。アダム・スコット(オーストラリア)や、ウィル・ザラトリスは長尺モデルを愛用している。非常に高価(税込み11万円)で、筆者も中古ショップで探しているがかなりレアだ。
オデッセイはこのモデルに対抗するように、シャフトがヘッドの中心に近い位置に装着された「Ai-ONE Square 2 Square」を11月に発表した。他社も追随するという噂もあり、新しいムーブメントになりそうだ。正直なところ筆者は、フォローは出しやすいが、テークバックに違和感を持った。フェースから離れたところからシャフトが延びているため、これまでのセンターシャフトパターにあった“シャフトで打つ感覚”が薄い。
似たモデルを中古で手軽に試してみたいという方は、1万円以下で見つかりそうなオデッセイ「バック・ストライク」(2010年)、1万円台後半が相場のオデッセイ「ストロークラボ ブラックビッグセブン TOE UP」(2020年)をおススメしたい。
センターシャフトを使うパッティングの名手たち
「パターの名手」と言われるツアープロの手には、センターシャフトパターが握られている印象がある。海外ツアーでの経験も豊富な谷原秀人はスコッティキャメロンのGOLOをベースにしたプロトタイプが定番。過去にイップスを公表した堀川未来夢は、長年使っていたテーラーメイドの「スパイダー ツアー レッド」(2017年)のセンターシャフトモデルを最近再び使い、上位をキープしている。
米女子ツアーで活躍する畑岡奈紗はセンターシャフト一筋。2016年にアマチュアで優勝した「日本女子オープン」から2020年シーズンまでピン「スコッツデール TR PIPER C」(2013年)を使用。2021年以降はベティナルディの「SS3 センターDASSプロト」が定着した。
「三井住友VISA太平洋マスターズ」で今季2勝目を挙げた石川遼はL字マレットの使い手だが、オデッセイの「ホワイトホット XG #7 H CS」(2020年)や「ホワイトホット ツアー ix #5 センターシャフト」(2009年)などを使うこともある。L字とセンターシャフトという、全くタイプの違うパターを併用することで、ストロークの問題点をあぶり出せるという。
筆者が手放せないセンターは?
一般市場では近年、センターシャフトモデルが減りつつあり、中古で探すのにはホントに苦労する。比較的手に入りやすいのがピン。「ヴォルト2.0 パイバーC ステルス」(2018年)は削り出しでしっかりした打感が魅力。1万円台中盤で見つけたい。
スコッティ・キャメロンの「ファントムX」シリーズもセンターシャフトが希少。「ファントム X 5S」(2022年)は4万円台後半からとみられる。2年に一度モデルチェンジしているが、性能的な差は小さいので形状や状態で選ぼう。
トラスネック形状が安心感を生むテーラーメイド「トラス TM2 トラスセンター」(2020年)は約2万円が相場だ。プロギアはセンターシャフトモデルを多くラインアップしていて、お手頃価格で手に入りやすい。「シルバーブレード Centered 05OS」(2023年)」はセンターシャフトにして、少しオフセット(グース)があるため構えやすい。2万円前後だろう。
筆者はパッティングに悩んだ時、センターシャフトモデルを握って、とにかく芯で打つことに集中する。数量が少ないため、出合いのチャンスは多くないが、1本持っておくと“お守り”のような存在になるだろう。(文・田島基晴)
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