スイング作りで失敗しないためのポイント ~第12回~
自分のスイングの特徴や傾向をつかんで確かな試行錯誤を
自分の理想とする弾道を追い求めて、試行錯誤を重ねることは、ゴルフの大きな楽しみの一つです。しかし、悲しいことに、試行錯誤を重ねる度に、どんどんスイングを乱してしまい、一体、どこを直したら良いのか、路頭に迷ってしまう方も多いと思います。練習熱心なのは良いことですが、闇雲な試行錯誤は望ましくありません。
この回で最終回を迎えますが、大きな狙いとしてきたのは、弾道をコントロールするためのさまざまな方法をお伝えすることでした。そして、今さら聞けないスイングの基礎を一から振り返っていただくことで、乱すばかりの闇雲な練習から、日々上達を遂げる確かな練習へとシフトして欲しいのです。
この連載の順番通り、グリップからスイングに至るまで、基礎を身につけた上で、それでもスライスやフックの傾向が残るなら、それが自分の特徴だと考えてください。お伝えしてきたお話は、あくまで指標とすべき平均値だからです。こうした基準を踏まえた上で、自分なりのカスタマイズを試みることが、上達への確かな試行錯誤となるのです。
スイングの完成度を知るためのボックスとVゾーン
過去11回にわたって、グリップからスイングに至るまで、スイングの基礎についてお伝えしてきましたが、その完成度を知る方法が、ボックスとVゾーンです。
ボックスとは、正面から見た時の、頭のてっぺんから足元、そしてスタンスの両端を囲む四角形です。スイングの最初から最後まで、このボックスの中に体が収まっていればOK。もし、スイングのどこかで左右にハミ出るようであればNGです。
スイング軌道をチェックするVゾーンとは
Vゾーンとは、飛球線に対して後方から見た時、シャフトラインの延長線と、首筋とボールを結んだラインで囲まれる範囲のことを指します。スイングがこのVゾーンの中に収まっていればOK。Vゾーンの下や上に、大きくハミ出すようであればNGとなります。スマホの動画撮影などで、簡単にチェックできるので、是非ボックスとVゾーンを確認してみてください。
ボックスから外れてしまう場合は体重配分を見直そう
スイングの動きの中で、ボックスから体がハミ出てしまうことは、望ましいこととは言えません。テークバックやフォローで、ボックスから左右に体が出るということは、すなわちスイング軸がブレていることに他なりません。スイング軸がブレれば打点もズレるので、ショットの再現性を保ちにくくなるのです。
チェックすべきはアドレス時の体重配分です。左右5対5が理想ですが、右足寄りに重心がかかっていれば、すくい上げるスイングになり、体重が右に残って、フィニッシュで右へハミ出ます。逆に、重心が左足寄りならば、ダウンスイングで体が突っ込みやすく、フォローでボックスの左にハミ出ます。(※第6回を参照ください)
右足の“第2の軸”がブレている
スイングでチェックすべきところは、テークバックで背骨の軸と”第2の軸”となる右足の軸をキープできているかどうか。特に、右脚の軸が右に流れるとボックスの右にハミ出してしまいます。(※第7回を参照ください)
Vゾーンから外れる場合にはグリップを見直そう
ボックスが体重配分やスイング軸をチェックするのに有効なのに対し、Vゾーンは主に、スイング軌道をチェックする方法です。スイングがVゾーンから外れる場合には、主に右手グリップ、Y字の向きの乱れが原因です。
右手の親指と人差し指の作るY字は、右の首筋を指すのが理想とされる平均値です。このY字がそれよりも左を指す(ウィークグリップ)と、スイングがアップライトになり、Vゾーンの上から下りやすくなります。右の首筋より右を指す(フックグリップ)と、フラットになりVゾーンの下を通りやすくなります。(※第1回を参照ください)
体重配分がつま先寄り、もしくはかかと寄り
アドレス時の体重がつま先寄りであれば、スイングがアップライトになり、ダウンスイングでVゾーンの上を通る軌道に。かかと寄りであれば、スイングがフラットになり、Vゾーンの下を通りやすくなります。(※第6回を参照ください)
トップでの肩の回転角度が不適切
トップでは、肩が90度まで回転するのが理想ですが、90度以下だとアウトサイドインの軌道になり、Vゾーンの上を通りやすくなります。90度以上だとインサイドアウトが強くなり、Vゾーンの下を通りやすくなります。(※第8回を参照ください)