“飛ばないボール”導入に全米プロ主催団体は「結論急がず」
「飛距離」はどこまでスコアに影響するのか ドラコンプロと女子プロが同じティで対決(前編)
【前編】ドラコンプロと女子プロが同じティから対決 飛距離差100ydはスコアに影響するのか
プロ・アマ問わず、ゴルファー全員が改めて飛距離について考えさせられることになったR&AとUSGA(全米ゴルフ協会)によるゴルフボール新規制の提案。この“飛ばないボール”の規制が施行されれば、少なからずプレーに影響することは予想されるが、そもそも飛距離はスコアにどれほど影響するのか!? 果たしてボールが遠くへ飛ぶことがアドバンテージとなり、スコアは伸びるのか。そんなシンプルな疑問を抱いた編集部は、ある実験を行った。
ヘッドスピード差15m/s、飛距離差100ydの真剣勝負
ドライバーのヘッドスピード50m/s台のドラコンプロと、30m/s台の女子プロを対決させたい――。
実験に協力してくれたのは、「クラブ試打 三者三様」のテスターでもおなじみ、ドラコンのプロライセンスを取得しているゴルフYouTuberの万振りマンと、今季から国内女子レジェンドツアーに参戦している西川みさとプロ。二人のヘッドスピードの差は平均15~16m/sで、飛距離は90~100ydもの差がある。
そんな二人が同じティからプレーを行い、マッチプレー対決をするとどうなるのか!? ストロークプレーでは西川プロのほうが上(万振りマンの平均スコアは85※自己申告)だが、これほどのプレッシャーをかければ、メンタル的にも動揺は起こるはず。まずは出だし3ホールの経緯を追いながら、二人の心理状況の変化を追った。
「実は私マッチプレーは大の苦手。アマチュア時代に同形式の大会に出場しましたが、あまり良い成績を残した覚えがありません。プロに入ってからはストロークプレーばかりで、常に自分と向き合うスタイルで戦ってきましたので、対戦相手が近くにいること自体が慣れません。ドラコンプロの万振りマンが相手ということで、今日は“飛ばないもの代表”として頑張りたいです」(西川)
「純粋なストロークプレーでは西川さんにかないませんが、ドラコンを生業にしている者として、いかに飛距離でプレッシャーをかけられるか? という点に注力して戦いたいと思います。セッティングは14本中3本がドライバー(長さ違いのテーラーメイド『SIM2 MAX ドライバー』とドラコン用に調整した『パラダイム トリプルダイヤモンド ドライバー』)。安定感のある西川さんを、どれほどメンタルで揺さぶることができるか注目してください」(万振り)
■1H 追い風7mが西川に味方も
1ホール目は537ydのロングホール。やや緩やかな左ドッグレッグで、ティオフの順番は西川のオナーで決まった。この日は風速7mの強風でかなりのフォローという状況。少しでも飛距離差を埋めたい西川の1打目は、難なくフェアウェイ真ん中に。しかも風に乗って240ydオーバーを記録した。一方の万振りマンは豪快なショットで300yd近くの右ラフへ。西川は2打目も安定したショットで花道に置き、残り54ydから3オン。万振りマンは残り160ydからグリーンを狙ったものの、右のガードバンカーへ。3打目も寄せ切れず、グリーン上の勝負となった。バーディパットはどちらも決め切れず、両者パーで引き分けた。
「ティショットでなるべくおいていかれないように頑張りました。1、2打目とも緊張感のある中で、フェアウェイにキープできた点が大きかったです」(西川)
「ティショットはうまく打てたのですが、2打目でバンカーに入れ、3打目で寄せ切れなかった点が痛かった…。スタートホールとしては引き分けで満足です」(万振り)
■2H 明暗を分けたティショット
2ホール目は1オンも可能な304ydの短いミドルホール。右側に池、その奥にグリーンがあり、万振りマンの飛距離ならティショットでグリーンまで届かせたいところ。先に左フェアウェイ真ん中に置いた西川に対し、万振りマンは痛恨のミスショット。打ち出し直後にドロップ回転したボールは、150yd付近までコロコロと転がるだけ。動揺したのか2打目もトップのミス。池に入らなかったものの、池の淵から放った3打目もグリーンをとらえきれず、4オンがやっと。2オン2パットでパーとした西川が、このホールをモノにした。
「(万振りマンは)1オンを狙わないといけないというプレッシャーを、自分自身でかけてしまったのではないでしょうか。私は1打目をより安全なスプーンで打つことも考えたのですが、結果的にドライバーで真ん中に置けたことが1UPにつながったと思います」(西川)
「ミスが2回も続いてしまっては1DOWNも仕方ありません。いやぁー、しかしセオリー通り確実にパーを獲ってくる西川さんはさすがです」(万振り)
■3H 西川ピンチも万振りマン痛恨ミス!?
3ホール目はフェアウェイが狭い400yd(パー4)のストレートホールで、気持ちよくティショットを放つ両者。西川はフォローの風にも助けられ、232ydのラフまで運ぶ。万振りマンはグリーンまで残り約45yd地点まで飛ばし、自慢のパワーショットを披露。西川の2打目は残り120ydほどだったが、想像よりグリーンが硬く、グリーンをキャッチするも弾かれてオーバー。絶好のチャンスを迎えた万振りマンだが、57度のウェッジで打ったアプローチは寄せ切れずショートしてしまう。西川が3打目をパターで寄せ切り、パー。万振りマンもグリーン周りから寄せてパーを拾った。
「本日は追い風で、普段200yd前後しか飛ばない私も平均して220~230yd飛ばせています。2打目がグリーンオーバーしてピンチでしたが、なんとかパーでしのげて助かりました」(西川)
「2打目のアプローチで距離感とスピンコントロールをいろいろ考えすぎてしまった挙句、せっかくのチャンスを逃がしてしまう形に。このあとの流れに大きく影響しなければ良いのですが…」(万振り)
「飛距離」はアドバンテージにもなるがデメリットに働くことも
3ホールを終え、マッチプレーが苦手と言っていた西川が一歩リード。「ティショットでは60~70ydおいていかれることが多いですが、スタート前に不安視していたマッチプレー独特の雰囲気には飲まれず、良い流れでプレーできています」。一方の万振りマンは「2ホール目のティショットのミスが大きかったですね。プレッシャーを抱いていたわけではなかったのですが、距離も短くフォローの風が吹いていたため、無意識に力みが入ってしまったのでしょう」と悔やんだ。
ここまで1UPの西川は、「ゴルフは確率のスポーツなので、単純にボールを遠くへ飛ばすことができればチャンスの回数は増えますよ」と振り返る。
「飛距離が出るほうが2打目以降の距離が短くなる分、寄せる確率は高まるので、曲がらなければ確実に武器になります。ただ、逆に好機のプレッシャーを自身で感じ、マイナスに働く場合もあります。ロングショットで好位置につけるチャンスがある半面、風の影響やちょっとしたミスで大きなピンチに陥る確率も高まります。単に飛ばせばいい、飛ぶからスコアが伸びるというスポーツではない点が、ゴルフの最大の魅力なのかもしれません」と締めくくった。
戦いはまだまだ序盤。勝負の行方はどうなるか!? 後編「異色バトルを制したのは!? ドラコンプロと女子プロが同じティで対決(後編)」に続く。
撮影協力/カメリアヒルズカントリークラブ
万振りマン プロフィール
登録者2万人超えのフルスイング系YouTuber。2017年よりYouTubeにて「-Mr.FULLSWING MEN-万振りマン」チャンネルを開設し、数多くの試打動画をアップ。豪快なフルスイングが話題を呼び、人気に火がつく。日本プロドラコン協会(JPDA)B級プロライセンスを取得。
レッスンカテゴリー
- 基本動作アドレス グリップ スイング ドライバー バンカー 練習ドリル
- 弾道別スライス フック トップ ダフリ 高い 低い テンプラ
- スイング改善アドレス グリップ 振り遅れ インパクト フォロー
- 状況 クラブ別ドライバー アプローチ バンカー ラフ 傾斜 アイアン
- 中上級 応用ドロー フェード 距離感 マネジメント スピンコントロール
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- ルール マナーゴルフ規則 マナー
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