男子ツアー再興を目指して―― 生まれ変わるメジャー「日本ゴルフツアー選手権」の挑戦
国内男子メジャー「日本ゴルフツアー選手権」が装いを新たに、今年から「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」(6月2日開幕、茨城・宍戸ヒルズカントリークラブ)として開催される。PGAツアー、DPワールドツアー(欧州ツアー)でもビッグトーメントの冠スポンサーを務めるBMWが目指すのは、大会の成功を超えたツアー全体のレベルアップ。「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」は大きなビジョンに向けた挑戦へのスタートとなる。
ツアーの価値を高めるために
「BMWのグローバルネットワークを最大限に活用したいと思います」。ビー・エム・ダブリュー株式会社で「日本ゴルフツアー選手権」を担当する宇賀英夫は、米国、英国、ドイツ、韓国など各国のトーナメント担当者とワークショップを重ね、さまざまなアイデアを日本に持ち込もうとしている。「BMWがすごい大会をやっていた」「あの大会に行けば特別な体験ができる」。今年の大会後にはゴルフファンがそんな感想を持ち、来年はさらに多くのギャラリーが訪れる。思い描くのは、そのような光景だ。
国内ではともにスポンサーを務める森ビル、主催の日本ゴルフツアー機構、さらには選手会と緊密に連携を取るなかで、宇賀は男子ツアーの魅力が世間に十分に伝わっていないことに違和感を持ったという。
「皆さんとお話しする中で、日本の男子ツアーが全盛期だった1980年代には試合数、賞金額などで世界ナンバー1だったことを知りました。ただ、その後は欧米のツアーがより成長し、国内では女子ツアーが人気となり、男子は来場者と試合数が減少傾向。なんでだろう? 魅力あるコンテンツなのにもったいないなと感じました」。ひとつの大会ではなく、ツアー全体を盛り上げたい――。当初から持っていたその思いは、現状を知れば知るほど強くなっていった。
「スポンサーとしてはいかに自社ブランドの露出を最大化できるかが重要になりますが、私たちはより俯瞰的・中長期的な視点で、日本男子ツアー自体の価値の底上げが大切だと思っています。日本の素晴らしいゴルファーと大会運営チームが積み上げてきた伝統に、BMWが世界で培ってきたマーケティングのノウハウが加わることでシナジーが生まれる。この大会がベストプラクティスとなり、他のトーナメントにも波及することで、より多くのお客様やスポンサーが集う機会になる。大きくは、そのようなビジョンを持っています」。