ザンダー・シャウフェレも驚き バーチャル没入体感のファンイベント舞台裏
「グランドスラムも夢ではない」
ファンとのQ&Aのコーナーでシャウフェレは、「メジャー2勝は夢だったが、現実になった。夢ではなかった」と話し、先を見据えているコメントもした。「グランドスラム(4大メジャー優勝)は夢だが、それが手の届くところにある」と。その1つ、「マスターズ」の舞台、オーガスタナショナルゴルフクラブ(ジョージア州)のCGもスタジオに用意された。
実際に打って8番ホールをプレーする企画。そのスイングを間近で見て、さらにフォトセッションに懇親会と、集まったファンらにとって、メジャーチャンピオンと共有する特別な時間が流れるのは早かった。
その中にはデサントと契約する女子プロの荒川怜郁(れいか)もいた。プレー中の心境についての話が印象に残ったといい、「試合で手が震えたと聞いて、やっぱり人間なんだと思った。ナーバスになることをネガティブにとらえるのではなく、プラスに変えていくのが大事というのは勉強になった」と、感無量の表情だった。
懇親会では10月25日の31歳のバースデーを祝う一幕も。「ベリーサプライズ。31歳というと年齢を感じてしまうけどね。とても楽しいイベントだった。デサントに感謝、ファンのみなさんにも心から感謝したい。2024年は重要な節目となった。その1年をみなさんと振り返り、ともに過ごせたことを、とてもうれしく思う。アリガトウゴザイマス」と最後の言葉を日本語で締めくくった。
シャウフェレの人柄に感謝
そもそも、この企画が始動したのは今年3月だった。これまでのプロイベントはトークショーやワンポイントレッスンなどが主だったが、メジャーチャンピオンを迎えるにあたって、岡田氏は「会社として選手を起用したこのようなブランドイベントは今までやったことがない。初の試みでした」と言う。
日本のメディア7社21人、韓国のゴルフメディア1社4人が訪れ、イベントに携わったデサント社員は52人、運営に携わったGMO関係者は約20人。岡田氏は「イベントが無事完遂できたことは、社内関係者はもちろんGMOなど社外関係者の多大な協力があったからこそ。何より、選手が非常に協力的な姿勢であったことには何度も救われました。参加者の満足度が高かったのも、選手がどんな要望にも応えてくれたことが大きく起因していると思います」と振り返る。
縁のある日本を愛し、ファンやサポーターを大切に思うシャウフェレが、日本をはじめ韓国や中国などグローバルで慕われる理由は、プレーや活躍だけでなく、その人柄にもあるのかもしれない。
ザンダー・シャウフェレ(Xander Schauffele)
1993年10月25日、米カリフォルニア州サンディエゴ生まれ。サンディエゴ州立大を経て2015年にプロ転向。17年「ザ・グリーンブライアークラシック」でPGAツアー初勝利を飾ると、プレーオフ最終戦「ツアー選手権」で2勝目を挙げ、ルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。21年「東京五輪」の男子ゴルフ競技で金メダルを獲得。24年5月「全米プロゴルフ選手権」でメジャー初優勝。7月の「全英オープン」を逆転で制してメジャー2勝目を挙げた。PGAツアー通算9勝。