山下美夢有の史上最年少年間女王をサポートした“立役者”
気になっていた新クラブで飛距離がアップ
3勝目は9月「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子」。中学2年から愛用するダンロップのクラブに大きな信頼を寄せ、ホステス大会で発売前だった「スリクソン ZX5 Mk II ドライバー」を実戦で即投入して期待に応えた。
もともと、あまりクラブ変更をしないが、「松山(英樹)さんや他の契約プロが良いと言っていたのでめっちゃ気になっていました」。実際に手渡され、データを取ってみると「(今まで使用していたクラブとは)全然違うなという感じだった」という。フルチタン構造による爽快な打感に好印象を抱き、データ的にも「初速が速いので飛んでいるように見えた」と飛距離アップを実感した。
風に負けない強い弾道が打てる新ドライバー。プロサポートの担当者からはロフト角が異なる2つのヘッドが提供された。コースによってキャリーを出したい時は高打ち出し、高スピンとなる9.5度のヘッド、低スピンで転がりの距離も出したい球を打つ時は8.5度のヘッドを使用。2つを使い分けることで、ティショットが計算できるようになり、「今シーズンはドライバーが武器になりました」と言えるほど、この変更は奏功した。
データを重視しクラブ性能を最大限まで引き出す
終盤の年間女王争いでは、11月の「伊藤園レディス」で4勝目を挙げて確定させ、シーズン最終戦「ツアー選手権リコーカップ」を制して有終の美を飾った。
山下のヘッドスピードは41m/s程度。クラブ変更による飛距離アップもあり、年間の平均飛距離は236.52ydと前シーズンよりも5yd近く伸ばした。「スピン量、縦距離もそうですが、ミート率を一番大事にしています」。ボールスピードをヘッドスピードで割ったミート率の上限値は1.56。山下は1.50という数値にこだわり、クラブの芯に当てることでギアの効果を最大限に生かした結果でもあった。
データの重要性を実感しサポートを受けながら調整
プロ1年目の時、データの重要性を感じて弾道計測器を購入し、今では手放せなくなった。オフシーズンでもダンロップのプロサービス担当と密に連絡を取り、過去のデータと照らし合わせながら、クラブやスイングの調子を確認している。
12月には「ダンロップ スリクソン ZX5 Mk II アイアン」に入れ替えた。「構えやすさが一番大切。打感も私の好きな打感。芯に当たったときの乾いた音も良かったです」。昨季パーオン率はツア-1位の75%と、ショットメーカーとしてアイアンの精度は譲れない部分。新モデルへの移行はオフの間に調整していく。
「プロを目指す子どもたちに尊敬される選手になりたい。来年も目標をしっかり立てて進んでいくだけ。海外メジャーなど、出られる試合は出ていきたい」
頼りになる武器を手に、新たな挑戦へ向けてさらなる飛躍を誓った。