パターは「平成」30年間でどう進化したのか?
パット数を減らすには? 一周回って考えるギア選びの優先順位/ギアを愉しむ。
今日もいまいちパットが決まらなかった…、そう思いながらコースを後にする日は多いものである。前回のラウンドで調子が良かったパターも今日は一転不調、不発。やはり前のパターに戻そうか? 話題の某プロと同じモデルにしてみようか? 高速道路を運転しながらも思考がグルグル回る。その繰り返しで、これまで我が手元を通過したパターの本数は500を下らない(汗)。今でも倉庫には100本くらいの有名無名パターが転がっている始末である。
前置きはさておき、ここからが今日の本題。パット数を減らすために必要な “ギア選びの優先順位”について書いてみたい。あえてパター選びとしていないところがミソである。多くのゴルファーが私と同じように、パットが入らなければ“パターのせい”にしたくなる。それがゴルファー心理。もちろん自分なりに扱いやすいパターを探す努力は必要だし、パターによってカップイン率が高くなる場合もあるのだが、パット数を着実に減らす最も有効な手立ては、“より短い距離からパットをする”というシンプルなこと――。
タイトリストが公表している調査結果を引用すると、3mのパットを決められる確率はツアープロで30%、一般的なアマチュアゴルファーでは15%。これが90cmのショートパットになるとプロは90%、アマチュアでも75%に上がってくる。当たり前のようでいて、最もシンプルな回答。パットを決めたいなら、より短い距離から打て! ということなのだ。
パット数を減らすために今すぐやるべきこととは?
次によりカップに近い場所からパットをするために必要なことは? と考えると、ギア選びの優先順位が変わってくる。これまでいかに転がりがよく、慣性モーメントが高く、ミスにやさしいパターは? と探していたのだが、その前に必要なことは「カップ付近まで安定して寄せられるウェッジ」を見つけることと気づかされる。
チューンアップされた希少なワンオフパターを手に“弛(たゆ)まぬ修練”を積んでいるプロでさえ、3m以上カップから離れてしまえば、7割方はカップインしない。入るパターを探すより、できるだけ近くに寄せることが優先なのだ。
パーオンしたなら確実に2パットでいけるパターを。パーオンの確率が低ければ1パット圏内に寄せられる信頼できるウェッジを持っておきたい。あえて「カップ付近まで安定して寄せられるウェッジ」と前述したのは、アマチュアゴルファーの場合、パーオンできる確率が半分以下になるから。ウェッジショットの成功率を高めること自体がスコアに直結し、寄せワンが増えればベストスコア更新も夢ではない。
ただし、これでやるべきことが決まった! と早合点しないでいただきたい。残念ながらまだその前段階がある。我々が最も初めに決めるべきギアは“ゴルフボール”。どんなに優れたウェッジやパターを選んでも、毎度使用するボールが違っていては、絶妙な距離感もスピンコントロールも身につけることができない。試しにキャディバッグのポケットからボールを取り出し、何銘柄入っているのかを確かめてほしい。色も含め、様々なブランド、モデルのボールが出てくるようであれば要注意だ。
ちなみにプロのバッグには、たった一種類のボールしか入っていない。トーナメントで“1ボールルール”が適用されているからだけではなく、打感と打音といったフィーリング、ウェッジショットでのフェースへの乗り感、スピンのかかり方や解(ほど)け方、打ち出し角の高さが、銘柄によって大きく異なるからである。ドライバーのフルショットよりアイアン、アイアンよりウェッジやパターで打ったほうが、ボールの違いを感じ取ることができ、実際の結果も大きく変わりやすい。
ボール→ウェッジ→パター パット数を減らすための3つの手順
入るパターではなく、パット数を減らすという観点でギア選びを考えていくと、優先順位は次のようになる。
(1)使用ボールを1モデルに絞り、最低1年間はそのモデルを使い続けると決意する。
(2)決めたボールでフィーリングやスピンのかかり方がマッチする「寄せ」で使うウェッジを見つける。
(3)1mで不安が少ないパターを見つける。
飛ぶドライバー、やさしいアイアン、スピンのかかるウェッジ、入るパター。どうしてもクラブに注目したくなってしまうが、しょせん、そのどれもがボールを思い通りに飛ばすための道具に過ぎない。最適なクラブは? と考えるなら、まずはボールを決めること。それが我々アマチュアが行うべき“ギア選び”の第一歩。どんなボールが合っているかが分からない人は、ボールメーカーが実施しているフィッティングカリキュラムに参加していただきたい。アレコレ悩むより明快である。(高梨祥明)
高梨祥明(たかなし・よしあき) プロフィール
20有余年ゴルフ雑誌のギア担当として、国内外問わずギア取材を精力的に行い、2013年に独立。独自の視点で探求するギアに対する見解は、多くのゴルファーを魅了する。現在は執筆活動のほかマイブランド「CLUBER BASE(クラバーベース)」を立ち上げ、関連グッズの企画や販売も行う。
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