吉田優利がハードスペックのシャフトを手にしてきた理由
“先行投資”だったハードスペックのシャフト
吉田は、この夏からドライバーのシャフトを藤倉コンポジットの「SPEEDER NX GREEN」(50S)にチェンジした。「『大東建託・いい部屋ネットレディス』(7月21日~)の開幕前日に練習場で初めて打ったのですが、最初からいい球が出たので、3球で明日から使うと決めました」とやはり即決だった。
気にかかるのは、20-21年シーズンから使用していた同社製「VENTUS BLACK」(50S)から変更したことだ。「ベンタス」シリーズはPGAツアーでの使用を想定して米国で開発され、なかでも「BLACK」はハードな仕様となっている。一方の「スピーダーNX」シリーズは国内女子ツアーで人気のモデル。同じ50Sのスペックでも、かなり性格の違うシャフトをチョイスしたことになる。
「ベンタスBLACKは、私にとってはしっかり振らないとつかまらないシャフトでした。まだプロ2年目だったので、先行投資として、これぐらいハードなものを使ってもいいのかなと思って使い始めたんです。つかまえ過ぎたかなと思っても、左にはいかないので助けてもらうこともありました」
シャフト選びは次なるフェーズへ
意図的にオーバースペックのシャフトを使っていたわけだが、適正タイプが異なるスピーダーNX GREENに切り替えることに問題はなかったのだろうか?
「頑張らなくてもつかまるので、コントロールしやすいです。自分がミスをすれば左に行くこともありますが、その分スイングの状態を把握できるので、ラウンド中の修正がしやすくなりました」。22年シーズンは強風でのプレーに苦戦したことがあり、現在はボールの高低の打ち分けも課題のひとつ。コントロールしやすいスピーダーNX GREENは、その課題にもマッチする選択だった。
20-21年シーズンと22年シーズン(10月24日時点)のパーオン率を比べると、約66%から70%超に大きく上昇。「アイアンを練習する割合を増やしていることもありますが、ティショットが安定して、いい位置からセカンドを打てているのが大きいと思います」。自らへの“先行投資”を経て、シャフト選びは次のフェーズへ。吉田のクラブセッティングの変化は、さらなるステップアップへの過程の表れともいえるだろう。
撮影協力:太平洋クラブ御殿場ウエスト