「ZXi7」「241CB」ら13機種をアイアンマンが徹底試打 その感想は？／'24鍛キャビ研究#4

ツアー系鍛造キャビティアイアン市場がいま熱い。スリクソン「ZXi7」「ZXi5」やブリヂストン「241CB」「242CB+」など、ツアープロからの評価も高い今どき“鍛キャビ”の売れ行きが右肩上がりだ。そこで皆が気になる13モデルを試打インプレッション。切れ味鋭いアイアンショットを武器にツアー7勝を挙げた“アイアンマン”今野康晴プロに打ってもらった。特集第4回（全5回）。

▼特集第1回
この秋“鍛キャビ豊作”につき…「打感がいい」を考える。「241CB」と「ZXi7」はなぜ人気？

▼特集第2回
人気“鍛キャビ”13モデルを計測して分かった！今どきの「重心距離」の正解は？

▼特集第3回
タイト「Tシリーズ」を計測してびっくり！見た目と真逆の今どき性能

「やはりアイアンはスリクソンですかね。僕が出ているシニアツアーでも使用者が多いんです」（今野プロ、以下同）。

各モデル7番アイアンのデータを計測

場所は千葉県の京葉カントリー倶楽部、ボールはツアー使用率トップのブランド、タイトリスト「プロV1」を使用し、弾道計測器「GCクワッド」で7番アイアンの打球データを計測した。

コース上に計測器とコースボールを持ち込んだ。

GCクワッドはどのようなデータを弾き出すのか？今野プロの個人的な7番アイアンのデータは下記の通り（別計測）。
・ロフト角:32度
・シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー120 X
・キャリー:160yd

スリクソンとブリヂストンの新作4本を真っ向比較

まずはツアーでも大人気のZXi7。

「え、これ新モデルなんですか!?構えただけでは違いを何も感じませんでした（笑）。とても打ちやすいですし、打感が軟らかいですね。軟らかいと僕は飛ばない感じがあるのですが、これは良い！飛距離は適正かちょっと飛ぶくらいで、三角形っぽい顔につかまり過ぎないイメージがあるのも美点です」

続いてZXi5。

「こっちは僕にはちょっと飛んじゃうかな…。試合での縦距離のコントロールが難しいかもしれません。でもアマチュアゴルファーにはとてもいいと思います。プロが使うアイアンとしては“ややボテ”ですが、十分いい顔。ちょっとだけアイアンを飛ばしたい人にはおすすめです」

そして、ライバルのブリヂストンを打っていく。

「BSの顔は好きですね～。ボテっと感がなくてややグース。プロモデルはこうじゃなくちゃと思います。操作性も抜群で、球筋がイメージ通りになるのも良い。ほどよくつかまる感じが僕にはしました」

「241CBと比べると顔がちょっと大きくグースも強めに感じます。でも、顔が大きい割につかまるところが今っぽい。ほどよく飛ぶので、上手い人も十分使えるでしょう。僕が打つと、今回のブリヂストンの2モデルはスリクソンよりも少しスピンが入りました」

4モデルの数値を並べると下記の通り。

スピン量：241CB ＞ 242CB+ ＞ ZXi7 ＞ ZXi5
キャリーの飛距離：ZXi5 ＞ 242CB+ ＞ ZXi7 ＞ 241CB

今回登場する13モデルのヘッドを計測したクラブ設計家の松吉宗之氏によれば、「242CB+は他社のプロモデルと同等」とのことだったが、今野プロの試打結果にもそれが表れた。やや別格感のある241CBは、ヘッドスピードや技術の高いプレーヤーが使うと真価を発揮できそうだが、このクラスを検討するゴルファーであれば最終的には打感や顔の好みで決めても大きな問題は起きないだろう。

スリクソンとブリヂストン、新製品を試打した結果は甲乙つけがたい。

国産鍛キャビのライバル達は？

スリクソンとブリヂストンのライバル、国産勢も比較試打した。

「構えた感じ、今回の中で一番飛びそうな顔をしていますが、やはり一番飛びました。藤田（寛之）さんが使ってるんですか？なるほど、藤田さんも少し飛距離が欲しいってことでしょうか。顔が少し大きくグース度合いもまずまず。ヒールの高さでやさしさを演出しているように思います。鍛キャビに飛距離も望むならピッタリですね」

「ミズノのMPは僕も使っていました。MPの一番の良さは打感だと思いますが、これはちょっと違っていて、やや弾き系かな。悪くはないんだけどミズノっぽくない感じを受けました。ヒールが高くてトウ側との差が小さい顔はミズノらしいですね。飛距離とかやさしさ、つかまりなどの総合的なバランスが上手くまとまったアイアンです」

「打感が軟らかいので打っていて気持ちがいいし、ショットのイメージも湧きますね。『気持ちよくつかまる』という表現がありますが、このモデルはそれ以上につかまる感がしました。プロギアは独特の顔ですね。シャープな顔のアイアンが好きだけど、クラブにもつかまえて欲しい人向きでしょうか」

次回はライバルの外ブラアイアン6モデルを試打していく。（取材・構成／中島俊介）

取材協力:京葉カントリー倶楽部