3代目にしてこの進化 ここまで球筋が揃うとは「ゼクシオ エックス アイアン」(2023年)
国内No.1ブランドの「ゼクシオ」シリーズは、2019年の「ゼクシオ イレブン」から2モデル展開となり、兄弟モデルとして「ゼクシオエックス」が同時発売されるようになった。今作で3代目となる「ゼクシオ エックス アイアン」の特徴をギア知識が豊富なクラフトマン・ミタさんが分析。そしてアスリートゴルファーのヨシダくん(HS50m/s)、ベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打をして、その性能を評価する。
クラブの特徴は?
【ミタさん】
今回紹介するのは、「ゼクシオ 13」シリーズと同時に発表された「ゼクシオ エックス」のアイアンです。
【シオさん】
「ゼクシオ 13」の兄弟モデルとして登場した3代目「―エックス」はどのような立ち位置なのでしょうか?
【ミタさん】
初代、2代目と同様に「ゼクシオ」シリーズのやさしさを継承しつつ、顔・形状・シャフトは若い世代のゴルファーでも使いやすい設定になっています。
【ヨシダくん】
本音を言うと、「ゼクシオ」のようにやさしさを極めたわけでもなく、「スリクソン」のようにプロが認める操作性や打感の良さがあるわけでもなく、中途半端なイメージがあります。しかし、「ゼクシオ」シリーズとヘッド性能も似ているのですか?
【ミタさん】
「ゼクシオ 13」と比べてみると、ヘッドの構造は明らかに違います。「―エックス」は3ピース構造で鍛造フェースを採用しているので、チタンフェースで4ピース構造の「13」より打感が柔らかく感じると思います。
【シオさん】
そもそも3ピース構造にする狙いは何ですか?
【ミタさん】
それは、飛距離、打感、上がりやすさを追求するためです。フェースには前作とは異なる高強度で反発性が高い素材を採用し、心地よい打感を実現。そして、5~7番のボディ部分には高比重タングステンニッケルウエートをトウ側ソール部に配置して低重心化し、ボールが上がりやすいヘッド設計にしています。
【シオさん】
よく見ると、ソールがV字になっていますね。
【ミタさん】
「スリクソン」シリーズのアイアンに採用されているテクノロジーを応用したソール形状です。ただし、7番のロフト角は28.5度とストロングロフト設定になっています。
【ヨシダくん】
では実際の性能、打って検証してみましょう。
試打した印象は?
【シオさん】
まず、構えた時の顔がすごくイイ。「ゼクシオ13」のようなグースネックではなく、ほぼストレートネックで、前作の「―エックス」よりもシャープになった印象です。
【ヨシダくん】
ホントだ。構えたときの印象は2022年に発売された「スリクソン ZX5 Mk II」に似ています。
【ミタさん】
打った印象はどうですか?
【シオさん】
ミタさんが言っていた通り、「ゼクシオ 13」に比べてさらに打感がソフトです。爽快感というよりかは粘り気のあるフィーリングで、インパクトでは食いつく感じがありました。前作とも打ち比べてみましたが、打感が良くなって飛距離も伸びていました。
【ヨシダくん】
打球音も控えめなので、アスリートモデルのアイアンに近いフィーリングですね。ソールがV字になっているためか、「ゼクシオ 13」よりも振り抜きやすく感じました。
【ミタさん】
二人とも「ゼクシオ 13」よりもボール初速が上がって、シオさんは(ゼクシオより)10yd以上飛んでいましたね。
【シオさん】
クラブ全体の重量感やシャフトの硬さもちょうど良くて、すごく振りやすかったです。私のようにドライバーのヘッドスピード40m/s前後のゴルファーは「―エックス」の方が飛ぶと思います。強弾道で飛ばせる点も大きな違いだなと感じました。
【ヨシダくん】
僕はボール初速がアップしただけでなく、スピン量も800~1000回転くらい増えました。もちろん、ツアーモデルの数値と比較するとスピンが多いとは言えませんが、打ち出しが高いのでグリーンに止まる球筋になっています。スピンよりも高さで止めるアイアンという印象です。
【ミタさん】
飛距離だけでなく、ショットも安定していましたね。
【ヨシダくん】
それが一番大切です。ここまで球筋がそろうのはすごい! 何球か打って試打データを確認してみましたが、ボール初速・打ち出し角・飛距離の数字がほとんど変わらなかったので再現性の高さを感じました。
【シオさん】
私はミスヒットに強いアイアンだなと思いました。特に下側でのヒットに強く、打点が少し下側にズレてもハーフトップではなく、球が上がってくれて驚きました。
【ヨシダくん】
冒頭に言った「中途半端」は訂正します。バランスの良さを極めたアイアンでしたね。
まとめ
【ミタさん】
3代目「ゼクシオ エックス アイアン」は前作よりもシャープなヘッド形状になり、飛距離性能も打感も向上しています。その結果として、アスリートでも初心者でもない、中間層にとってベストなアイアンだと思います。ヘッドスピードで言えば40~42m/sで、平均スコア90~100くらいのゴルファーにおすすめです。ショットの再現性が高く、ダフリやトップのミスに強いので、様々な球筋を打ち分けたいという人より、オートマチックにグリーンを狙うタイプに向いています。
【シオさん】
若い世代だけではなく、50歳以上でシニア部門の競技や月例に出ているゴルファーにも試してもらいたいです。
■ 試打したクラブのスペック
ダンロップ ゼクシオ エックス アイアン(2023年)
●番手(ロフト角):7番(28.5度) ●シャフト:ダイナミックゴールド95 ●硬さ:S200
ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。
ヨシダくん プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。
シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。
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