ダウンスイングから加速する超ロースピンモデル タイトリスト「GT4」ドライバー
二年に一度のペースでリニューアルするタイトリストの新ウッドカテゴリーは、ことしがそのスイッチ年。8月23日発売の「GTシリーズ」は、すでにPGAツアーで多くの選手が使いはじめたことで、発売前から早くも話題になっている。前作「TSシリーズ」同様にGT2、GT3、GT4と3機種がラインアップされる中、今回はシリーズ唯一ヘッド体積430ccの「GT4」をテスト。その性能についてギアの知識が豊富なミタさんが解説、気になる飛距離性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打した。
超ロースピン設計だけど、調整すれば460ccヘッドと同等の寛容性に
【ミタさん】
今回紹介するのはタイトリスト「GT4」です。ヘッド体積は前作「TSR4」と同じ430ccです。
【コウタロウ】
このサイズでもクラウンはコンポジット?
【ミタさん】
もちろんです。つなぎ目が見えないシームレスサーモフォームクラウンを採用しています。クラウンが軽くなったことによって、前作よりも重心は低くなっています。
【シオさん】
前作より低重心になったとはいえ、シリーズでいちばん重心の浅い「GT4」は完全なるアスリートモデルですよね。
【ミタさん】
そうですね。タイトリストユーザーでも、特にスピン量を抑えたいアスリートゴルファーが使うドライバーだと思います。
【コウタロウ】
「GT3」も十分にアスリートモデルでしたけど、「GT4」は何が違うんですか?
【ミタさん】
やっぱりイチバンの違いはスピン量。そもそもタイトリストの「4シリーズ」はバックスピン量が3000回転を超えて悩んでいる人に向けて開発されたシリーズです。
【シオさん】
以前のタイトリストは「2」と「3」がメインでしたよね。
【ミタさん】
「4」が追加されたのは「TSシリーズ」以降。「GT3」も十分にロースピン設計になっていますが、「GT4」は超ロースピン設計が特徴です。
【シオさん】
もしかして、やさしさゼロですか?
【ミタさん】
そんなことはありません。ソールに配置されているSureFit CGウエートの重さを変えることによって460ccサイズに近い寛容性を実現できます。
【コウタロウ】
確かにソールを見ると前方と後方にウエート調整ができる場所がありますね。
【ミタさん】
そうです。標準は前方のウエートが11グラムで、後方が3グラムが装着されていますが、入れ替えれば慣性モーメントを大きくすることが可能です。
【シオさん】
かなり調整幅が広いドライバーとも言えますね。
【コウタロウ】
まずは、どのくらい手強いのか、打って確認しましょう。
HS50m/sなら300ヤード超え!でもHS40m/sだと…
【コウタロウ】
シリーズ内でも構えたときの顔が全然違う。430ccという数字よりも小さく見えます。でも、個人的にはすごく好きなサイズ。90年代のメタルウッドを知っている世代には好きな人がいると思います。
【ミタさん】
打った印象はどうですか?
【コウタロウ】
すごい飛びます。ボールスピードが71m/s以上出ていて、飛距離も300ヤードを超えていました。「GT2」「GT3」も初速性能は高かったですけど、トータルの飛距離は他より5ヤード以上飛んでいました。
【ミタさん】
いつもよりスピード感がありましたね。
【コウタロウ】
430ccのサイズは明らかに振りやすい。エアロダイナミクスの効果もあると思いますが、フルサイズのヘッドと比べても空気抵抗がより少なく感じられて、ダウンスイングから加速する感覚があります。
【ミタさん】
でも、やっぱり難しい?
【コウタロウ】
それが、意外とオフセンターヒットに強かった。もちろん、「GT2」ほど直進性が高いということはないですが、見た目ほど難しいドライバーではなかった。「TSシリーズ」の初代から年々やさしくなっていると思います。間違いなく昔の小型ヘッドはもっと難しかったら、それと比較すればだいぶやさしい。
【ミタさん】
シオさんはどうでしたか?
【シオさん】
私には手ごわかった。元々、ロースピンヒッターなので「GT4」だとボールが上がらなかったですね。でもスピン量をとにかく抑えたいゴルファーには武器になりそうですね。
【コウタロウ】
たしかに、「GT4」はシオさんとは真逆のゴルファーがターゲットだと思います。
【ミタさん】
「GT2」「GT3」と比較しても、「GT4」のターゲット層は狭い。「GTシリーズ」はPGAツアーで使用率No.1になっていますが、ほとんどの選手は「GT2」か「GT3」。「GT4」を使っているのは数名です。
【コウタロウ】
でも、相性がイイ人が打てば飛距離のポテンシャルは「GT4」がイチバンだと思います。
【ミタさん】
ヘッド体積430ccの「GT4」はアスリートゴルファーで、スピン量の多さに悩んでいる人をターゲットにしたドライバー。超ロースピン設計なので、パワーヒッターが打っても吹け上がりのミスは出ないのが魅力。ウエートが前方と後方に分かれているので、スリーブの調整と組み合わせれば弾道を調整できる幅は広いです。
【コウタロウ】
前作よりも扱いやすくなっているので、小ぶりなドライバー好きの方はぜひ試して欲しいですね。
まとめ
■ 試打したクラブのスペック
タイトリストGT4
●ロフト角:―●シャフト:ディアマナ WB 53●硬さ:S(シオさん)、X(コウタロウ)
■ マイクラブ情報
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S
コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X
■ ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。
■ コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。
■ シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。