新製品レポート

これ、スリクソン?ゼクシオXよりやさしいぞ スリクソン「ZXi MAX」ドライバー

2024/10/10 12:00
「ZXi MAX」はヘッド後方部に14グラムのウエートが装着されている

ツアーではその姿を散見していたが、ついにスリクソンの新シリーズ「ZXiシリーズ」の詳細が発表された。ドライバーは、「ZXi MAX」「ZXi」「ZXi LS」「ZXi TR」の4機種がラインアップ。今回の新製品レポートでは、スリクソンのドライバー史上初となる「MAX」を取り上げる。その特徴についてはギア知識が豊富なミタさんが解説。気になる飛距離性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打をした。

フェースセンターはスリクソン史上最薄!

強度を維持しながらクラウン全体を薄肉化。さらなる余剰重量を生み出す「スターフレームクラウン」

【ミタさん】
皆さんお待ちかね、スリクソンの新ドライバーです。

【コウタロウ】
すごい期待していましたけど、「ZXi」という名前やラインアップも変わって、ちょっとビックリしました。

【シオさん】
前作までは寛容性の高い「5シリーズ」と、アスリート系「7シリーズ」というのが定番で続いていましたからね。

【ミタさん】
今作はスタンダードタイプが「ZXi」、ロースピンタイプが「ZXi LS」、ツアーモデルの「ZXi TR」、そこにスリクソンドライバー初の「MAX」が加わりました。

ZXの新テクノロジー「フェースレーザーミーリング」。フェースが濡れた状態でもスピンの減りすぎを防ぐ

【コウタロウ】
完全リニューアルした感じですけど、性能的にはどうなんですか?

【ミタさん】
新しくフェース設計が変わりました。フェースのトウ側、ヒール側を厚くし、センターを薄くした「i-FLEX」構造を採用しました。センター部はスリクソン史上最も薄くなっています。

【シオさん】
2世代続いたリバウンドフレーム構造は?

【ミタさん】
もちろん継承しています。「i-FLEX」構造によってフェースがたわみやすくなったことで、リバウンドフレームの効果もさらに高くなりました。

ヘッドサイズは460cc。MAXモデルとは思えないスッキリしたシェイプ

【シオさん】
一番気になるのはやっぱり「MAX」なんですけど、どういうヘッドなんですか?

【ミタさん】
後方部に14グラムのウエートを配置したことで、4モデルの中で最も重心が深く、慣性モーメントも最大になっています。ちなみに松山英樹プロはプレーオフシリーズ最終戦のツアー選手権で「ZXi LS」を使いましたが、「ZXi MAX」もテストで打ち、「ラクっ!試合で曲がりはじめたら使おうかな」とコメントしていました。

【コウタロウ】
へぇ~、あの松山選手が。

【シオさん】
性能が気になりますね。さっそく打ってみましょう!

高初速だけどスピンも入る。「ゼクシオ エックス」よりやさしいかも!?

ストレートから軽いドローボールといった弾道を連発していたシオさん

【シオさん】
まずは構えたときの印象が海外メーカーの「MAX」と違いますね。極端に投影面積が大きくないから、構えやすいです。

【ミタさん】
打った印象はどうですか?

【シオさん】
初速が出ていましたけど、意外だったのがつかまった球でもしっかりスピンが入ったこと。普段スピンが少ない私が打っても、バックスピン量が2500rpm近く出ていて球が上がってくれました。打感も良く、芯を外したときでも嫌な手応えがなかった。適度な柔らかさもあるなかで、しっかり弾いてくれます。

【ミタさん】
5球打って全部、ストレートボールでしたね。

標準装着シャフトの「Diamana ZXi」は先中から中間部の剛性が高い設計(54g/中調子/硬さS)

【シオさん】
本当に曲がらなかったです。ダウンスイングでヘッドが直進的に動いてくれる感覚があるから、すごく安心感があります。逆を言うと、色んな球筋を打ち分けるヘッドではなくて、オートマチックに同じボールを打てるドライバーです。

【ミタさん】
シャフトはどうでしたか?

【シオさん】
中調子系でクセがない。スピード感はありつつも、先端がしっかりしているので、暴れる感じはしませんね。

【ミタさん】
コウタロウはどうでしたか?

「『これスリクソン?』って思うほどやさしいです」(コウタロウ)

【コウタロウ】
たしかにやさしい。これだけ弾道が高くて曲がらないドライバーは、今までのスリクソンになかったですね。個人的には「ゼクシオ エックス」より直進性が感じられてやさしい印象。ヒール側、トウ側にかなり外れて当たったときでも、ほとんどストレートに飛んでくれるので補正力がスゴイと思いました。

【シオさん】
私も同じ印象ですね。また程よくつかまってくれるので、右に抜けるような球もない。打ち出し方向も揃っていました。

【コウタロウ】
今までにないタイプですけど、それがイイですね。飛距離が伸びるというよりは「曲がらない!」「上がる!」という印象でした。

ロースピンヒッターのシオさんでも打ち出し角度・スピン量ともに理想に近い数値

【ミタさん】
今年は10Kというキャッチフレーズで慣性モーメントが10000g・cm2を超える海外メーカーの「MAX」が話題になりましたが、「スリクソン ZXi MAX」はそこまで慣性モーメントは大きくはありません。ただ、今までのスリクソンシリーズにはなかった高弾道と直進性、そして絶妙なつかまりやすさをそなえているので、良い意味でスリクソンらしくない“やさしさ”があります。バリバリのアスリートゴルファーではなく、ヘッドスピード40~42m/sくらいのセミアスリートや「打球が上がらない」と悩んでいるベテランゴルファーにオススメです。

【シオさん】
私のような50代以上のベテランゴルファーでも「MAX」なら十分に使えます。

まとめ

やさしさは高評価。飛距離に関してはスピン量がポイントか?

■ 試打したクラブのスペック

スリクソン ZXi MAXドライバー
●ロフト角:10.5度(写真は9度) ●シャフト:ディアマナ ZXi 50 ●硬さ:S

■ マイクラブ情報

シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S

コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ コウタロウ プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。