だからこそ標準シャフトに選び、選ばれた【国内クラブメーカー編】
■2代目ゼクシオ以降はシャフトを共同開発
初代ゼクシオから始まったダンロップと日本シャフトの縁は、代を重ねるごとにより強固なものになっていった。
「2代目からは、N.S.プロ950GHをベースにしたゼクシオ専用スチールシャフトを共同開発。そして、7代目以降は同じくN.S.プロ950GHや『N.S.プロ950GH neo』をベースにして、弊社独自のコンセプト『DST(デュアル・スピード・テクノロジー)』を採用したシャフトを開発してもらいました」(林)
日本シャフトの栗原氏いわく、ダンロップからの要望はレベルがかなり高いそうだ。「ゼクシオは毎回、コンセプトがはっきりしているので、開発チームはダンロップさんとの仕事には特にやりがいを感じています。ただ、毎モデルが限界突破状態です(笑)」
ダンロップがシャフトに強いこだわりを持つ理由を、林は自社でカーボンシャフトを開発していること、そして「ヘッド、シャフト、グリップのトータルの性能を意識しながら開発をしているからです」と説明する。
「スチールシャフトは、カーボンシャフトに比べて設計自由度が低く、性能を持たせるのが難しいもの。ですが、毎回、弊社からの細かい要求に応えてくれ、期待を裏切らないクオリティに仕上げてくれます。日本シャフトさんの技術力、開発力の高さを感じています」と林はその恩恵に感謝する。
そんな絶大な信頼があるからこそ、ダンロップはゼクシオだけでなく、『スリクソン』の純正シャフトにも、日本シャフト製の『N.S.プロ モーダス3』シリーズのオリジナルモデルを採用しているのだろう。
■ゼクシオがシャフトの価値を高めた!?
ところで、今ではゴルフクラブにおけるシャフトの重要性は多くのゴルファーが理解しているが、10年ほど前までは、「シャフトは何を使っても同じだろう」と考えているゴルファーは少なくなかった。しかし、その当時からダンロップはシャフトの役割に着目し、クラブを開発していたのだ。ある意味、ゼクシオはシャフトの価値を高めた存在といってもいいかもしれない。
栗原自身も、ダンロップとの関係性が深まるにつれ、 “シャフト観”が変化していったそうだ。
「例えば、新しいモデルを開発した時。以前は、そのモデルの性能を説明する際は、剛性分布などでシャフト単体の性能をお伝えしていたんです。しかし、ダンロップさんとの仕事をさせてもらううちに、ヘッドとシャフトのマッチングという視点があることに気づかせてもらいました」
■他シャフト開発にゼクシオで磨いた技術を応用
栗原だけでなく、日本シャフトの開発陣もダンロップとの仕事で技術を磨いていったそうだ。
「ゼクシオのコンセプトに合わせ、スチールシャフトを軽量化し、耐久性を維持しながら性能を出すのは非常に難しい作業です。しかし、そんなゼクシオの純正シャフト開発を毎回やらせてもらっているからこそ、世界最軽量の『ゼロス(ZELOS)』というブランドや最新アイアンにマッチするN.S.プロ950GH neoシリーズを作り上げる力が付いたのだと思います」(栗原)
ダンロップの林は、「日本シャフトの“おもてなし”が、ゼクシオが育った大きな要因」と語るが、日本シャフトの栗原はダンロップにそれ以上の感謝の念を抱いているようだ。日本を代表する“モンスターブランド”と“定番シャフト”の最強タッグは今後も続いていく。どんなモデルでゴルファーを楽しませてくれるのか、両社のこれからにも期待したい。