中空構造ならではのやさしさ「タイトリスト 718 AP3 アイアン」
打ってみると?
試打クラブに装着されるのは、やや軽めのスチールシャフト「NSプロ モーダス3 ツアー105」のSフレックス。ワッグルすると手元側がクイッとしなる。Sフレックスにしてはしなりを感じやすいシャフトだ。
まずは9番アイアンから打ってみた。見た目と違い、打感はマッスルバックに近い。インパクトではボールがフェースに吸い付く感触が手に伝わり、ボールの飛び出しもそれほど速くない。ストロングロフトの割にはボールの打ち出し角も適度に高い。スピンがほど良くかかり、ショートアイアンらしいコントロールが効いた球が打ちやすい。
続いて7番に持ち替えてみても、手応え、ボールの飛び方はさほど変わらない。インパクトではボールを包み込むような感触があり、そこからボールが力強く飛び出す。ロフト角が30度とやや少なめだが、7番らしい高い弾道が打てる。重心が低くて深いのだろう。ボールが上がりやすく安定したキャリーが出て、グリーンに止まる球が打てるアイアンだ。
ミスへの許容範囲も適度に広く、兄弟モデル「AP2」よりは明らかにやさしく感じる。ヘッドが大きい「AP1」に比べるとスイートエリアは広くないが、ヘッド形状の割にやさしさを実感できるアイアンだ。
7番で弾道計測してみると、打出し角は18~19度。スピン量は5400~5800回転。マッスルバックほど強いスピンはかからないが、飛び系のアイアンに比べると、しっかりスピンが効いた球が打てる。
5番アイアンに持ち替えてアドレスすると、グースネックで球がつかまるイメージが持てる。実際に打ってみてもつかまりが良く、右へのこすり球が出づらく、中空ならではのやさしさを感じる。
ソール形状はフラットで、インパクト時の接地面積が広い。米国製のアイアンにしてはバウンス角はそれほど大きくないが、ダフり気味にヘッドが入っても、ソールが滑ってくれる。
見た目はシャープな形状だが、中空構造の効果でミスヒットに強く、インパクトの手応えもしっかりしている。飛距離を求めつつ、かつミスに対する許容性を求めるゴルファーにとっては、非常に満足度が高いアイアンだ。