レーシングマシンのようなレスポンスの速さ「フジクラ デイトナ スピーダー」
シャフトの挙動
試打で使うヘッドは「テーラーメイド M3 460ドライバー」。ヘッド体積は460ccで、表示ロフト角が9.5度で、リアルロフト角は10度前後。
試打するフレックスはS。ワッグルしてみると手元側の剛性が高く、中間から先端にかけてわずかにしなる。決して硬いシャフトではないのだが、しなりの量は控えめだ。加えて、シャフト全体に張りがあって引き締まった感触が手に伝わる。
まずはやや軽めのヘッドスピードで打ってみた。トップからダウンの切り返しではシャフト中間部分がクイッと小さくしなり、その分だけ鋭くしなり戻る。スピーダー エボリューションシリーズは切り返しでムチのような粘り感があるが、この「デイトナ スピーダー」にはそれがない。
1発目から高弾性シートの特徴であるシャープな挙動と、鋭いしなり戻りが味わえる。従来のモデルに比べると、バネ性がはるかに上回っている。
シャフトの挙動としては、手元がしっかりしていて先端が鋭く走るタイプ。スピーダーシリーズが高性能スポーツカーだと例えるならば、デイトナはレーシングマシンのようなレスポンスの速さを味わえる。
続いてヘッドスピードを46m/sぐらいに上げていくと、さらにレスポンスが上がる。切り返しで小さく鋭くしなったら、インパクトゾーンではエネルギーロスがまったくないかのように鋭くしなり戻る。
ヘッドスピードに関わらず、シャフトのレスポンスの鋭さが際立ち、インパクトゾーンではヘッドが鋭く走る。
トルクが少なく、かつ先端側の剛性が高いからだと思われるが、トウダウン量が少なく、打点位置をコントロールしやすい。つかまりはニュートラルで、ヘッドの性能を素直に引き出してくれるシャフトだ。
ヘッドスピードを46m/s前後で弾道計測してみると、イメージ通りのストレート弾道、先端側の剛性も適度に高いので、低スピン弾道が打ちやすい。加えて、叩きにいってもしなり戻りの追従性が高く、ヘッドがちゃんと付いてくる。重心距離が長く、重心が深いヘッドでも右へのミスが出づらそうだ。
高弾性シートを全長に使っているので、レスポンスが高いのは想像通りであったが、ボロン素材を用いることで、挙動がシャープになり過ぎないように上手くチューニングされている。
シャフトでヘッドスピードを効率良く上げたい人、追従性が高いシャフトを求める人、鋭い弾き感を求めるゴルファーにとっては、大いに期待に応えてくれるシャフトである。
【適正ヘッドスピード】
デイトナスピーダー(S):44~48m/s