マーク金井の試打インプレッション

短尺化でミート率と直進性がUP「フジクラ スピーダー SLK」

2019/06/11 05:00

シャフトの挙動

シャフト試打で使うヘッドは、テーラメイドの「M3」。体積は460cc、表示ロフト角が9.5度で、リアルロフト角は10度前後というもの。

試打するシャフトはSフレックスで重量は58.5グラム。ワッグルしてみると中間から手元側にかけて大きめにしなる。中調子であるが、手元側の剛性もそれほど高くない。短尺シャフトだが、シャフト全体のしなり量は多めだ。

まずはやや軽めのヘッドスピードで打ってみた。トップからダウンの切り返しではシャフト中間部分がググッと大きめにしなり、ダウンスイングではムチのようにしなり戻る。ムチのような挙動はスピーダーならではだが、スピーダーらしくないのがしなり戻るスピード感だ。

従来のエボリューションシリーズと比較すると、しなり戻るスピードがワンテンポ遅い。おそらくトルクの大きさが影響しているのだろうが、まったりとしなり戻りながらインパクトを迎えるのだ。

シャフトに鋭い加速感を求める人には、やや物足りなさを感じる挙動だが、このまったり感がなんとも心地良い。短尺でもシャフトのしなりが不足する感じはなく、かつタイミングが取りやすい。

手元側のトルクが大きいことがこの「まったり感」を生み出しているのだと思われるが、短尺とは思えないほどシャフトが気持ち良くしなり、それが手に伝わるのだ。

挙動がつかみやすいのでミート率が良く、かつ弾道が安定している。装着しているヘッドの性能をニュートラルに引き出してくれるシャフトである。

ヘッドスピードを46m/sぐらいに上げても挙動は変わらない。しなり量は増すが、挙動が安定している。弾道計測してみると、真っ直ぐ打てばストレートから軽いフェード弾道。

ヘッドの性能、スイングなりの弾道がオートマチックに打てる。シャフトの挙動はニュートラルであるが、どちらかと言えば左へのミスが出づらい。

操作性は決して高くない。球筋を打ち分けることよりも、直進性が高い弾道でフェアウェイキープを狙えるシャフトである。

50グラム台のシャフトで短尺にも関わらず、軽くてもの足りないということもない。ヘッドの重さを感じながらスイングできる。

短尺なのでアドレスした時の安心感、振りやすさがありつつ、心地よいしなり感を味わえる。ヘッドスピードを上げてくれるシャフトではないが、短尺ゆえに確実にミート率が上がり、かつ弾道安定性もすぐれている。

ドライバーの弾道が安定しないゴルファーや、ドライバーが苦手と感じているゴルファーにとっては、大いに期待に応えてくれるシャフトである。

【適正ヘッドスピード】
スピーダーSLK(5、硬さS):42~46m/s

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藤倉コンポジット
発売日:2019/04/11 参考価格: 43,200円