ピン史上初の鍛造マッスルバック「ピン ブループリント アイアン」
打ってみると?
試打クラブのシャフトは「NSプロ モーダス3 ツアー105」で硬さはS。モーダスシリーズの中では一番軽く、軽量スチールの「NSプロ 950GH」より少しだけ重いスチールシャフトだ。ワッグルすると、シャフトの手元側がクイッとしなる。
まず9番アイアンから打ってみた。1発目はボールが当たった直後に、ソールが強く地面に当たる感触が手に伝わる。それもそのはず、9番でバウンス角が11. 5度と非常に大きい。9番というよりは、ロフトが立っているAWを打っているように感じられる。
弾道はイメージ通りストレートだが、スイートエリアはやはり広くない。打点が少しずれただけで飛距離が落ちるし、スピン量も大きく変わる。ミート率が悪いゴルファーは距離感が出しづらいが、打点位置を意図的にコントロールできる上級者にとってはスピンコントロールがしやすいだろう。
続いて7番を打ってみても、やはりバウンス角の大きさが手に伝わる。ソール幅は狭いが、フラットソールで9度とハイバウンス。インパクトではソールが地面と接触する面積が大きく、ダウンブローに入れるとヘッドがスパーンと抜ける。
当然こちらもスイートエリアは狭く、芯で捉えた時と少し外した時とで、10yd以上も距離が変わってくる。多少芯を外しても同社の「G410 アイアン」ならグリーン手前に乗るようなシチュエーションでも、「ブループリント」だと確実に手前のバンカーに捕まってしまいそうな感じがする。
印象に残ったのは振り心地。ヘッドを振ろうとするより、シャフトを鋭く振ろうとした方がタイミングが取りやすく、かつミート率も良くなる。スイングとの相性もあるだろうが、ヘッドやフェースを意識するより、シャフトの挙動を意識した方が振りやすく感じるアイアンである。
9番と同じく7番でも打点位置でスピン量が大きく変わり、フェースの下の方で打つとスピン量が増え、フェース中央で捉えると減る。スピンコントロールしやすいが、打点位置が上下にずれると、距離が15ydくらい変わってくる。いい感じで捉えた時、スピン量は6400~6800回転でグリーンにピタッと止まる球が打てる。
5番はヘッドが板チョコのようにペラっとしていて、とてもボールが上がりそうな感じはしない。しかしいざ打ってみると、フワッと浮いた弾道になった。こちらもシャフトをシャープに振ることだけを意識したのだが、薄いヘッドは当たり負けすることなくボールを捉えてくれる。見た目よりもボールが上がりやすいことに驚いた。
スイートエリアは見た目通り、決して広くはなく、5番でボールをフワッと浮かせるためにはドライバーでのヘッドスピードが46m/s以上必要だ。だが芯を喰った時には、キャビティアイアンでは決して味わえない、ボールを包み込む心地良い感触が得られる。
「NSプロ モーダス3 ツアー105」はトップからダウンにかけてシャフトの手元側がしなり、インパクトゾーンではシャフト全体が適度なスピードでしなり戻る。ダウンブローに打った方がタイミングが取りやすく、入射角も安定してくる。
ピンらしからぬマッスルバックの「ブループリント アイアン」。スイートエリアは狭く、使いこなすにはそれなりのヘッドスピードも求められる。使い手を大いに選ぶが、ミート率が高くてヘッドスピードが速いプロや上級者にとっては、操作性が非常に高く、球筋の打ち分けやスピンコントロール性能も非常に高いアイアンである。