カーボンの可能性を求めて メタルウッド開拓メーカーの次なる挑戦
チタンに勝る数々のメリット
カーボンフェースのメリットは、まずその硬度と強度にある。「チタンフェースはインパクトでたわんで、ボールを弾き飛ばすイメージがあると思いますが、実際に大きく変形するとフェースの形状は崩れてエネルギーロスにつながります。カーボンは硬いので、そうした変形は起きません。カーボンフェースは、我々の『ツイストフェース』という技術を100%生かせるんです」
一般的にドライバーのフェースは完全な平面ではなく、縦と横方向にわずかな曲線を描くことでオフセンターヒットの影響によるボールの曲がり幅を軽減させている(バルジとロール)。2018年モデルから搭載されたツイストフェースはその進化形。あらゆるゴルファーの50万発のドライバーショットデータから打点の傾向を導き出し、トウ寄りはセンターに比べロフト角を多くしてオープンに。ヒール寄りはロフト角を少なくしてクローズに設計することで、ミスヒットでも方向を安定させる。
「以前はカーボンを自由に曲げることができなかったため、初期のカーボンフェースはかなり平面的な形状をしていました」。カーボンを複雑な形状に成型する技術が完成したことも、フェースの採用に至った大きなポイントだ。
さらに、かつて弱点だったカーボンの軽さを強みへと変えた。「ヘッド重量の約10%の軽いフェースは、インパクトの瞬間に後ろへ下がろうとします。これを、ヘッド重量の約90%の質量を持つボディが軽いフェースを後方から押し続ける形となり、金属では成しえなかったインパクト時の高いエネルギー伝達効率を作り出してボール初速をアップさせるのです」
カーボンウッドによって、ドライバーの可能性は大きく広がった。メタルに続き、テーラーメイドが再び新時代の先駆けとなるのか。その答えは、数年先の近い未来に明らかになっているはずだ。