三菱ケミカル「OT iron」の評価は！？

6年ぶりにリニューアルした三菱ケミカルのアイアン専用カーボンシャフト「OT iron」。今作から番手別設計を導入し、すべてのクラブで同じシャフト重量を実現した。ロングアイアンからウェッジまで、重量フローを最適化させた注目モデルを、ヘッドスピード（以下HS）の異なる有識者3人が採点。まずはHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

• 1WのHS40m/s台・筒康博の場合
• 1WのHS50m/s台・万振りマンの場合

「『TOUR』含め5g刻みの調整が可能」

左右にブレることなく安定した弾道

―率直な印象は？
「リニューアルした3つのモデル(75、85、95)と、2017年発売のTOURシリーズ(80、90、100、110)を合わせて、5g刻みの重量帯がそろった点がとても魅力的に感じられます。おおむねシャフトは10g刻みが一般的だと思うので、より微調整が効いて、最適モデルを探すのに精度が高まった印象です」

高弾道と着弾点のバラつきの低減を実現した新OTi

―5g刻みで試打した印象は？
「試打前は、アイアンシャフトとして重いイメージのある80g台は無理と思っていたのですが、初めに75を打ったときに少し軽さを感じ、あえて85ではなく80を打つことで、ぴったりの重量帯だと感じることができました。10gの階段より、5gずつ調整できることで、確実に最適なスペックを見つけ出せるように感じます」

OT TOUR ironと合わせれば まさに鬼に金棒なラインアップ

―スチールとどちらが良い？
「元々スチールよりもカーボンのほうが芯があり、しっかりした印象をもっていて、どちらかと言えばスチールのほうがしなり量が大きく、やわらかいイメージがありました。カーボンは、軽くて硬さのある“軽硬”の印象が強いからかもしれませんが、スチールよりもしっかり感があり、棒球のような球筋を打ちやすいイメージ。一般ゴルファーの感覚とは、たぶん逆だと思うのですが…」

黒を基調としたカラーリングはヘッドの存在感を際立たせてくれる

―そうですね。スチールのほうが硬い印象をもつ人は多いと思います
「確かにアマチュアゴルファーの皆さんから、逆の印象を聞くことは多いです。ただ、芯を感じとろうとするツアープロには、私と同じ感覚の人は多いと思います。その上で、この『OT iron』はカーボン寄りですが、カーボンほどの硬さはなく、スチールとのいいとこ取り。分かりにくい表現ですみません…（苦笑）」

今回はハーフキャビティのミズノ「MP-55」で試打

―どのようなヘッドと合う？
「シャフトがしっかりしている分、ハード×ハードより、ヘッドにはソフトな印象をもたせたいと思います。つかまりにくいハードな印象のヘッドよりも、つかまりやすいモデルのほうが合う気がします。やさしさを感じる大型の飛び系アイアンと相性が良いかもしれません」

「カーボンとスチールのちょうどいいとこ取り」と西川

―どのような人向き？
「ハードな印象はあるので、ある程度HSがないと扱えないでしょう。最低でも40m/s以上は欲しいところ。ただ、5g刻みの調整が可能で、しかも一番軽いモデルは75R(重さ74g)なので、パワーに自信のない人でも最適スペックが見つかれば、無理なく使うことはできると思います」

オール4点の優良シャフト【総合評価4.0点】

【走り感】4.0
【粘り感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【デザイン】4.0

・使用モデル：OT iron 75、85(どちらも硬さS)
・使用ヘッド：ミズノ MP-55 アイアン(ロフト角32度/7I)
・使用ボール：市川サンライズゴルフセンター専用レンジボール

取材協力／トラックマンジャパン株式会社、ENEOS市川サンライズゴルフセンター

• HS40台 筒康博は…「絶対ラフに強い」
• HS50台 万振りマンは…「スチールより好結果に」