パラダイム トリプルダイヤモンド ドライバーを筒康博が試打「ポテンシャルを引き出せなかった」
絶好調ラーム使用モデル HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?
パラダイム トリプルダイヤ(PARADYM ◆◆◆) ドライバーをご意見番クラブフィッターが試打したら…【筒康博】
2月24日に発売されたばかりのキャロウェイ「パラダイム」シリーズ。中でも2023年に入ってから既に3勝と、大活躍を見せるジョン・ラーム(スペイン)を支えているのが、セレクトストア限定の「パラダイム トリプルダイヤモンド ドライバー」だ。一般アマチュアにはハイスペックと分かっていながらも、気になる人は多い注目モデルを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?
「スタンダードとの性能差は明確! HS45m/s以上は必要」
―率直な印象は?
「過去の『トリプルダイヤモンド』のイメージをそのまま継承した、完全にHSが速い競技ゴルファー向けモデルという印象を受けました。すごくスッキリした美しいシルエットでラインが出しやすく、低浅重心による力強さを持っているので、(試打クラブ)ロフト角10.5度とは思えないくらい、強弾道を放つことができました。ただ、私のパワーと腕前では、ヘッドの持つ高いポテンシャルを十分に引き出すことはできなかったです…」
―ポテンシャルを引き出せなかった…?
「はい。私のHS(平均40.5m/s)では、適正のスピン量まで到達せず、打ち出し角が十分に得られませんでした。初速スピードは体感できるので、強弾道を打てている実感は湧きますが、飛距離として結果に残せるまでには至りません。もう少し高めの弾道で、キャリーを稼げるゴルファーであれば、ヘッドの持つ飛距離性能をより発揮できるように感じます。最低でもHS45m/s以上は必要でしょう」
―他の兄弟モデルと比べると?
「想像以上に他のモデルとの違いを感じます。これまで『トリプルダイヤモンド』の名が付くモデルは、限定的な追加モデルとして発売されましたが、スタンダードモデルとの違いがここまで大きく感じたのは初めて。今までで一番、限定モデルとしての存在感を感じ取ることができます。逆にスタンダードモデルと『―X』が、高打ち出しで初速が出るタイプとして、性能の違いを明確に打ち出しているので、同シリーズ内で選びやすく構成されているように感じます」
―追加モデルではなく、同時発売されることでの違和感は?
「過去に『エピック MAX LS ドライバー』『ローグ ST MAX LS ドライバー』など、やさしさを表す“MAX”とロースピン“LS”という相反する意味の言葉を並べ、逆に迷ったという方は多いかもしれません。『トリプルダイヤモンド』といえば、ツアープロが使うタイプとすぐに性能をイメージできる。むしろプロと同じシャープなヘッドで強い球筋を打ちたいゴルファーには、『トリプルダイヤモンド』一択でいいという部分で、これまでより選びやすくなったという声が多く聞かれる気がします」
―シャフトとの組み合わせについては?
「今回試打した『SPEEDER NX GREEN 60』との組み合わせだと、強弾道ヘッド×力強いシャフトということで、私にはハードスペックに感じられました。ヘッドで楽にボールを上げられる要素がない分、もう少しシャフトの特性で打ち出し角を得られるセッティングでもアリかなと思います。ただ、『―トリプルダイヤモンド』対象の最適なHSの人で考えると、すごくオーソドックスな組み合わせといえるのではないでしょうか」
―どのような人向き?
「確実に私よりHSが上で、打ち出し角15度以上が常に出せる方の限定モデルになるかなと思います。アイアンはスチールシャフトの中重量級のモデルを挿していて、それに合ったドライバーの組み合わせを探している人が、対象のボリュームゾーン。ヘッドのポテンシャルの高さを生かすためには、間違いなく「HSが遅くてもいい」というドライバーではないといえます。ただ、逆にそれ以外の持ち球やスイングタイプについては、特に選ばないニュートラルな性能に仕上がっています」
スタンダード&「―X」の評価(4.8点)より0.1ダウン【総合評価4.7点】
【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】5.0
【構えやすさ】5.0
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:SPEEDER NX GREEN 60(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。
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