クラブ試打 三者三様

SPEEDER NX GREENを西川みさとが試打「女子プロにウケるクセの無さ」

2023/04/25 07:00

アップデートされた緑の「NX」 HS30m/s台の女子プロ評価は!?

“次世代型"シャフトとして注目を集めた藤倉コンポジット「SPEEDER NX」シリーズ。2023年モデルとして登場した「SPEEDER NX GREEN」は、西村優菜永峰咲希吉田優利脇元華ら、昨年から既にスイッチしたプロも多く、いまや圧倒的な支持を得ている。そんな女子プロに人気の注目シャフトを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずはHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「評価の難しさは継続しながらも…」

シッカリ感が合わなかったのか西川にしてはやや弾道が乱れ気味…

―率直な印象は?
「振り心地がややシッカリめで、どこがどのようにしなっているかを、はっきり明言できない(評価をすることが)難しい印象を受けます。前作の初代『SPEEDER NX』でも同じことを言っていたので、そもそものブランドの特徴はしっかり継続しているといえます。今作は2代目ということもあり、この特徴に慣れてきたこともあって、全体が単にカチコチな硬いだけのイメージよりは、中央部の微小なしなりポイントを感じることができました。特性としては“粘り”よりも“走り”の要素を実感できます

初代初採用の「VTC(VARIABLE TORQUE CORE)」テクノロジーをアップデート

―過去の「スピーダー エボリューション」シリーズと比べて「評価が難しい」ということ?
「そうですね。以前のモデルで多かった、明確な先調子の“走り系”という印象ではなく、全体的に大きなクセがなく、中央部がほんのりしなる新たな走り系のイメージです。前作では初めてこのブランドに触れ、『評価が難しい』と口にしましたが、改めて『―GREEN』を打つと、難しい中にも、徐々にその挙動を把握できている実感もあります。今回試打した『40S』が軽快に振り切れる分、まだはっきりとした特徴はつかみ切れませんが、もう少しHSの速い人が50g以上のモデルで振れば、特性はしっかり感じ取れると思います」

初代よりも手元側のトルクを締めることで切り返しからスムーズにヘッドが加速

―同じくシッカリした印象の三菱ケミカル「ディアマナ GT」と比べると?
「2本とも同じフレックス『40S』で試しましたが、『―GT』のほうがシッカリ感は上。インパクトからフォローにかけて、微小ながら走る感覚は味わえる『SPEEDER NX GREEN』に対し、全ての部分で硬さを感じる『―GT』といった印象です。全く同じ感想ではありますが、全く太刀打ちできない『―GT』と異なる点は、スペックを調整することでなんとか扱うことができると思える部分。硬さをひとつ落とした『40SR』か、重さを上げた『50R』であれば、私でも扱えるように感じました」

モデル「40」はフレックスR2(48g)、R(49.5g)、SR(51g)、S(52.5g)がある

―国内女子ツアーの使用率は高いですが?
「はい。前作『SPEEDER NX』か『―GREEN』かに分かれますが、総じて同シリーズを使用している選手を多く見かけます。理由は現代の選手に合ったクセの無さからではないでしょうか。特に現在の若い選手は、皆スイングレベルが高く、確固たるスイングができている分、シャフトでスイングを変えるのではなく、スイングに合わせてくれるシャフトを選びます。また、これまで同社のシリーズを長年使ってきた選手も多く、今までと同じフィーリングが生かせる点も、ウケている理由ではないでしょうか」

「ステルス2 ドライバー」ロフト10.5度との組み合わせで試打

―相性の良いヘッドは?
「これだけシッカリ感があると、つかまりの良いヘッドが合うと思います。少しリアルロフトが寝ていたり、少しアップライトのモデルを選ぶことで、ほんのりした微小なしなり量でも、ボールをつかまえて飛ばせる。具体的には、テーラーメイド『ステルス2』シリーズであれば『ステルス2 HD ドライバー』、キャロウェイ『パラダイム』シリーズであれば『パラダイム X ドライバー』になるかと思います」

「一般的なHS(40m/s前後)の人はモデル50以上がお勧め」と西川

―どのような人向き?
「女子ツアーで人気のところを見ると、パワーがあって腕を使うヒッタータイプより、体全身の動きでボールをとらえるスインガータイプ向き。シッカリめな特性を考え、軽めの設定にすると、腕力のある人はスイング中に手を使いすぎてしまい、ヘッドが暴れてしまう危険があります。自分から打ちにいくタイプかどうかを見極め、回転で振っていく人であれば、購入を検討するべきでしょう」

粘り感3.5△以外は全て4.0点【総合評価3.9点】

【走り感】4.0
【粘り感】3.5
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【デザイン】4.0

・使用モデル:40(硬さS)
・使用ヘッド:テーラーメイド ステルス2 ドライバー(ロフト角10.5度)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋、ゴルフガレージ 西葛西店

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。

藤倉コンポジット
トルクを加速に変換
発売日:2022/10/06 参考価格: 44,000円