Qi10 LS ドライバーを筒康博が試打「サイドスピンもLowになる」
新機軸10Kのロースピンモデル ご意見番クラブフィッターの評価は!?
Qi10 LS ドライバーをご意見番クラブフィッターが試打したら…【筒康博】
テーラーメイドが提唱するやさしさの世界基準“10K”――。上下左右の慣性モーメント合計値1万超えを果たした「Qi10 MAX ドライバー」の兄弟モデルとして、ロースピン性能を有する「Qi10 LS ドライバー」をピックアップする。ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?
「狭いホールで武器になる! コブラの対極“LS感”は抑えめ」
―率直な印象は?
「つかまりが弱く、やや力なく右方向に逃げる弾道が多かったですね。飛距離も伸び悩む結果に(平均228.5yd)。単に私のHS(平均40.9m/s)では、このヘッドが持つ性能を十分に生かしきれていないといったところでしょうか…。ただ、打っていてすごくフィーリングが合い、打感も操作感も良かったので、可変スリーブでロフトを寝かして、ティアップも少し高く設定すれば、可能性を感じるモデルかなと思いました」
―直進性は感じる?
「はい。LS(ロースピン)モデルというと、どうしても高さだけが低くなるイメージですが、今作はサイドスピンも同時に減って、左右の曲がり幅も抑えられる印象を受けます。シャープな顔立ちで、ややディープフェースの構造が、中弾道の強い球筋を連想させますが、性能的には程よい高さとつかまり具合を担保している気がします。上下だけではなく左右でも余計なスピン量が入らない。前作より直進性が増し、狭いホールでのティショットで重宝される気がしました」
―スライドウエートで調整機能も大きな利点に?
「うーん…、正直このスライドウエートは、重心を低くするためにあると思っていて、あえて動かして調整しようとは思わないです。購入後に余程ボールが散らない限り、このまま(スタンダード設定)でいいかなと思います。重心の低さは感じますが、浅い深いといった部分とシャフトからの長さ(重心距離)が長い短いといった部分まで、ゴルファーに強い主張をしてこないウエートだと思います。私の主観ですが、どちらかというとデザイン的な要素が強いように感じました」
―他社のLSモデルと比べると?
「コブラのLS(『DARKSPEED LS ドライバー』)が、現在発売中のモデルで一番“LS感”最強として、その対極にいるのが今作ではないでしょうか。どのモデルを打ってもボールが上がりすぎてしまうタイプのハードヒッターだと、今作はロフト9度のヘッドでカチャカチャ機能で数度立てたとしてもボールが上がりすぎてしまうでしょう。LSモデルの中では高さが出るほうだと思います。表記こそ『LS』の文字が入っていますが、性能自体はそこまでに感じません。むしろ、昨年までの『プラス』のほうが『LS』という印象です」
―リシャフトすれば筒さんでも使える?
「純正シャフト(Diamana BLUE TM50)が、手元側の剛性も高く予想以上にコシがあり、シッカリ感があるのでリシャフトは不要かもしれません。グリップ自体が太めに感じられるほどブレにくさを感じ、昨年までの純正シャフトとは性格が異なる印象。私のパワーならこのまま使えてしまうかもしれません。ロフト角は使用ボールとコースに行ったときの弾道を見ながら調整しますが、もし購入するなら、このまま10.5度でアジャストできそう。逆に言うと、私よりHSが速い45m/s以上の方には、イメージよりもややアンダースペックに感じるかもしれません」
―どのような人向き?
「タイガー・ウッズ、ロリー・マキロイ(北アイルランド)、トミー・フリートウッド(イングランド)ら同社契約選手が好きで、PGAツアーをいつもチェックしているゴルフ好きの方。ここまで調整機能が豊富で、スペックも多数選べるなら、もはや対象年齢も腕前も問わないと思われます。前作『ステルス2』シリーズでも、若い方から50~60代の方まで多く購入されていたので、今作も同様に、ターゲットを決めつけないほうがよいでしょう。飛びとやさしさを両立したイマドキのドライバーに、年齢や腕前を問う時代は終わったのかもしれませんね」
兄弟モデルの中で一番の高評価【総合評価4.7点】
【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】4.5
【操作性】4.5
【構えやすさ】5.0
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:Diamana SILVER TM50(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。
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