タイトリスト GT3 ドライバーを筒康博が試打「52歳で飛距離更新! インパクトが長い」
刷新されたスピード&操作性 ご意見番クラブフィッターの評価は!?
新素材クラウン+リング補強フェースで新境地を切り開くタイトリスト「GT」シリーズ。中でも弾道調整機能を備え、自身の打点が集中するエリアに重心をカスタマイズできる「GT3 ドライバー」は、PGA選手が早くからスイッチしたことで話題を集めていた。ツアーが認めたスピードと抜群の操作性を有した同社自信作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博が試打評価を行った。
「速いスピードで目標へボールを向かわせる気持ちよさ 衝撃的です」
―率直な印象は?
「いま現在、前作『TSR3 ドライバー』をマイクラブとして使用していて、何も不満を感じておりませんが、そんな私でも今作の飛距離性能と打感の秀逸さは評価せざるを得ないレベル。『GT2』と同じく、とにかく打感が柔らかく、ボールの食いつきがモチッとした球持ちの長さを生み、飛ばせる感覚が味わえる。ボールを潰したまま、速いスピード感で目標へボールが向かっていく気持ち良さは衝撃的です」
―見た目の感想は?
「前作と比べ、厳密には1~2mmの形状の違いは存在しているかもしれませんが、大まかなシルエットは何も変わっていません。『3』シリーズの美しい顔立ちをしっかり継承しています。ただ、フェースの見え方が微小にやさしく変化しているように感じました。同じロフト角でもやや寝ているように見える仕掛け。構えた際、実際のロフト角以上にフェースを視認しやすく、ボールを無理に上げようとせずに済む。プレーヤーに省エネなスイングでも飛距離アップできるイメージを湧かせてくれる。まさか『3』シリーズで、こんなやさしさを与えてくれるとは、今まで夢にも思いませんでした」
―他の兄弟モデル(「GT2」「GT4」)と比べると?
「今シリーズで、ヘッドのやさしさは実質的に2種類あることに気づかされました。ひとつはシルエット全体、投影面積が大きいことによる安心感で、『2』のやさしさはこちらの要素。『3』はヘッド形状に対するフェースの見え方で、視認しやすくなっていることで、ターゲットに向けやすく、方向性という面での安心感が湧く。これまで『TSi3』『TSR3』でも似たような印象は持てていましたが、今作は特にその特徴が明確化されたように感じます。『4』に関しても、基本的に私のHS(平均42.4m/s)は対象外と思うのですが、それでも適正シャフトで調整すれば使えるかもしれないと可能性を持たせてくれるほど、ハードな印象ではなくなりました。『3』と同じくフェースの視認しやすさと、実際にも意外と高さが出る扱いやすさ。3機種とも確実にやさしく進化しているといえます」
―実際に飛距離が伸びた(平均250yd超え)要素はどこだと思う?
「一番は上下慣性モーメントの高さではないでしょうか。ボールに当たってインパクトロフトが増えたり減ったりする動きが極端に小さい。そのためか、ボールを打ち抜いてフェース面からボールが離れるまでのスピードが極端に速く感じる一方、打感の柔らかさでその間はずーっとボールを手でつかんでいるような感覚が抱ける。インパクトは長く、ボールにコンタクトした後でもスピードを維持しながら、フィニッシュまで持っていけるメリットこそ、今作で好結果を生んだ一番の要素だと思います」
―前作を使っていた人にアドバイスするとしたら?
「そうですね、今シリーズはシルエットも大きな違いはなく、同じロフト同士で比較したときの操作性や弾道結果を、きっちりデータ上で確認しながら選ぶべきだと思います。モデル名の数字でシフトするのはちょっと危険(『2』→『2』、『3』→『3』、『4』→『4』)。実際に打ってみないと適正ヘッドは選べないと思います。私もなんとなく『3』を高評価に据えていますが、正直いうと、一度の試打では決めきれない。専門店やフィッティングルームで一度打ってみて、イメージを一度持ち帰ってから、また来店して決めるくらいの感覚でないと、なかなか選び切れないと思います」
―どのような人向き?
「『TSi』シリーズ以降の同社製ドライバーを使用したことがある人は、漏れなく全員一度は試したほうがよいでしょう。歴代の『3』ユーザーでなくても、『2』『4』を使っていた人も、『GT3』を1回は打ったほうがいいです。見た目の精悍さと打ったときのやさしさがうまく調和されていて、初速性能と曲がりにくさがこれだけ見た目を裏切るのかと驚かれると思います。それだけ食わず嫌いでトライしないことが勿体ない。ショップの店員さんにも、安易に『上級者向け』とお客さんの試打を制限してほしくないと思ってしまうほどです」
寛容性以外は満点◎ 過去最高得点で文句なし【総合評価4.9点】
【飛距離】5.0
【打 感】5.0
【寛容性】4.5
【操作性】5.0
【構えやすさ】5.0
・ロフト角:10度
・使用シャフト:TENSEI 1K BLUE 55(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。