クラブ試打 三者三様

インプレス ドライブスター TYPE/S ドライバーを西川みさとが試打「ツアー系?と思うほど大刷新」

2024/11/05 20:00

全方位ミス打点に強い8軸カーボンフェース HS40m/s未満の女子プロ評価は!?

カーボンフェースドライバーの常識を覆(くつがえ)すべく、8枚のカーボンを向きを変えて重ねたヤマハ「インプレス ドライブスター」シリーズ。約9000g・cm2の縦横合計慣性モーメント値を実現し、全方位の打点ブレに強さを発揮するという。そんな新シリーズのスタンダードモデル『TYPE/S』を、ドローモデル『TYPE/D』と比べながら、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「つかまり具合は抑えめ 手ごたえ◎なカーボンフェース」

「全然つかまらない…」西川にはハードなのか右に抜ける弾道が目立った

―率直な印象は?
「無理に左につかまえようとしても、全く意図した通りに左へ来ないほど、つかまり具合はかなり抑えめに感じました。分類するとツアーモデルのような、ハードヒッター向けではないかと思えるほど、印象はかなりガラリと変わった気がします。純正シャフト(SPEEDER NX for YAMAHA M-425D/硬さSR)が極端に重いわけでもなく、むしろ振り心地は軽く感じられたのに、結果的にボールがつかまらない。『インプレス』シリーズは元々、ボールのつかまり具合が強いやさしい性能だったはずですが、今作は2モデル構成になって極端に性格の異なる2種類のラインアップに生まれ変わった印象を受けます」

左が「TYPE/S」右が「TYPE/D」。選びやすい2モデル構成

―極端に異なる2種類…?
「はい。性能的に分けるなら、『TYPE/D』がスタンダードモデルで、『TYPE/S』がプロモデルといった具合です。『D』はやさしいヘッドで、典型的なつかまりのいいヘッド。見た目も大きく、安心感が抱ける形状でやさしさを実感できる。一方、『S』は若干ディープフェースで、上から見るとやや小振りな三角形状。シャープな印象さえ抱ける操作性も両立したモデルで、シャローヘッドの『D』をひと回り小さくして、少し後方の奥行を縮めた顔立ちです。難しいヘッドとまでは言えませんが、そこまでやさしいとも言えないヘッドです」

やさし過ぎない「TYPE/S」のアドレスビュー

―気になるカーボンフェースの打感は?
「カーボンフェースの割に打音がしっかりあるというか、チタンフェースと比べても独特のこもった感じが弱く、インパクトでの当たった感触をしっかり味わえる打感です。2022年発売『ステルス』シリーズよりカーボンフェースを導入しているテーラーメイドよりも、フェースの厚みが薄く感じられる分、ゴツッと重厚な感触はなく、チタンの打音に慣れている私でも違和感を覚えません。“打っている感”がダイレクトに伝わるカーボンフェースに仕上がっています」

三菱ケミカルとの共同開発で生まれた8軸積層カーボンフェース

―前作・22年発売モデルと比べると?
「前作はタイプが1本だけでしたので、その分シンプルで把握しやすい半面、今作のほうが性能違いで選びやすい側面を感じます。また、大きく異なるのは打音。前作発売当初はそれほど気にならなかったのですが、今作と比べると、結構なボリュームの大きい金属音に感じます。キーン!と高音で遠くに響く音色が、ちょっと好き嫌いが大きく分かれそう。その点では、今作のほうがイマドキな打音に変わったと言えるのかもしれません。構えやすさもフェース面がストレートで、今作より少しつかまりにくそうなルックス。カラーリングもグレーかかった黒から純粋なブラックに変わり、落ち着いて見えて構えやすい。全体的に前作より今作のほうが好みのデザインです」

ヤマハ独自の打音解析でカーボン特有の打感の懸念を解消

―同社のツアーモデル「RMX」シリーズと比べると?
「うーん…、昨年発売の『RMX』シリーズも、それぞれ性能の異なる3モデルの性格が明確で、やさしさを感じるラインアップになっているので『インプレス』と重なる部分を感じます。特にやさしさを感じるモデル『RMX VD/X ドライバー』は今作の『TYPE/D』、ややアスリートモデルの『RMX VD/M ドライバー』は『TYPE/S』に類似していて、両ブランドの立ち位置が以前に比べてかなり近づいた印象。シンプルにドロータイプ『D』とフェードタイプ『S』といった分け方で十分なほど、アスリート向けといえます」

「打ちたい球筋で選べる2モデル構成」(西川)

―どのような人向き?
「フェード弾道向けとした通り、左へのミスが多いゴルファー向け。ややつかまり具合を抑えたフェード気味の球筋を好む方に『TYPE/S』は最適です。私のようにもう少しボールをつかまえたい人は『TYPE/D』を選ぶべきでしょう。打ちたい球筋で選択可能なほど、分かりやすい2機種構成。購入を検討する人は、先ほど対比させた『RMX』シリーズと打ち比べてもいいと思います。逆に既存の『インプレス』ユーザーは『D』一択。『S』はかなり刷新された分、『RMX』や他社から移行しやすいモデルといえそうです」

思っていたより難 3.5△が並ぶ結果に…【総合評価3.7点】

【飛距離】3.5
【打 感】4.0
【寛容性】3.5
【操作性】3.5
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:SPEEDER NX for YAMAHA M-425D(硬さSR)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。

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