G440 SFT ドライバーを小山内護が試打「他社のMAXやXに比べてもやさしい」
やさしさに飛びを加えたピンのドロー設計 ジャンボ軍団の元祖300ydヒッター評価は!?
ピンがこれまで築き上げたやさしさに飛距離性能をプラスした「G440」シリーズ。「G440 SFT ドライバー」はドローバイアスモデルでありながら、新たにクラウン部にカーボンを採用して、余剰重量をヘッド下部に再配置。新設計のホーゼルのない内部構造を取り入れることで同社史上最も低重心なSFTに生まれ変わった。そんなつかまえて飛ばせるドロー設計を、HSの異なる有識者3人が採点。ジャンボ軍団の元祖300ydヒッター・小山内護が試打評価を行った。
「曲がらず楽にボールが上がる HS40~43m/sにハマる」
―率直な印象は?
「いつも通りフルスイングでHS40m/s後半で振った場合、スピン量が多すぎて吹け上がって飛距離ロスしてしまいますが(平均260.9yd)、HS45m/s以下に調整したときには、適正の高さで飛距離はかなり伸びました。アベレージゴルファーの平均的なスピードで振れば、ちょうどいい飛びを提供してくれるモデルではないでしょうか。打感はほとんど『MAX』と一緒で、ボールのつかまりの良さと弾きの強さを併せ持ったフィーリング。40~43m/sで打てばポテンシャルを十分に引き出せるドライバーだと感じます」
―小山内さんは年齢80~90歳になってから使える感じ?
「いやぁー、もう65歳くらいから使ってもいいですね(現54歳)。あと10年ほど経てばHSは45m/sいかないでしょうから(笑)。それほどやさしさに富んだモデルで、ボールは楽に上がります。前に飛ぶ要素よりも上に上がる能力に長けたヘッド。45m/s以下で振れば最高、もう言うことなし。45m/s以下で振ったときの平均的な飛距離ではなく、常に250ydを超えるほど、想像以上の飛距離性能を持ち合わせています」
―純正シャフト「ALTA J CB BLUE」は長さ46インチと長めなのですが?
「いやぁー、シャフトの長さはあまり気になりません。それよりも、適度な速さでどれだけフェース面上にボールを乗せられるかだと思うので、変につかまり過ぎることはなく、程よく振り抜くことに関しては全く支障はないといえます。あとは、最後部の可変ウエートを調整して、あまりに左に行き過ぎるようならヒール側から、真ん中のポジションに移し替えればいいわけです。シャフトが多少長くても直進性を失わないところは、同社ドライバーヘッドの許容範囲の広さを物語っている感じがします」
―同シリーズ他の2機種と比べると?
「『G440 MAX ドライバー』との違いは、アドレスビューで『―SFT』のほうがフェース面が視認しやすく、よりボールが上がるイメージは湧きます。可変ウエートの位置も違い(SFTがヒール寄り、MAXがセンター寄り)、はっきり性格が違うかと思いきや、実際に出る弾道はほぼ違いはありません。どちらもHS42m/sがメイン対象の設定。しかもロースピンモデル『G440 LST ドライバー』も今回かなりやさしく変化したため、同じ42m/sで3機種とも打ててしまう。同じ性能で他2機種より+20~30ydを目指したい人に、『―LST』という選択ができる関係性に感じられました」
―他社のやさしいとされているモデルと比べると?
「同時期発売のテーラーメイド『Qi35 MAX ドライバー』、キャロウェイ『ELYTE X ドライバー』とよく比べられると思いますが、一番やさしいのは今作ではないでしょうか。やさしさは各社それぞれ有していますが、中でもボールの上げやすさが突出しているのはピンのドローモデル『―SFT』。ただ、共通している点も多く、3モデルともやさしいといっても打ち出しから高く上がってロフト設定で少し抑える感じではなく、どれもロフト角10.5度→9度に立たせる必要がないほど低スピン化が進んでいます。ボールの低スピン化も相まって、特にここ5~6年の変化は激しく、各社どの新モデルでもロフト選びは注意が必要かもしれません」
―どのような人向き?
「若い女性から、年齢問わず男性のシニアまで。いや、ジュニアでも扱えるほどオールゴルファーが対象となり得るモデルです。非力な人でもシャフトの重さや硬さを合わせ、その人に合ったスペックを選べば問題ないでしょう。つかまり過ぎるor過ぎないの調整は、可変ウエートでロフト角やライ角を調整すればどうにでもなる。以前から同社のドライバーはやさしいイメージが先行してきていますが、特にその中でもやさしいのが今作『―SFT』なので、45m/s以下と言いましたが、35~42m/sの人なら純正『ALTA J CB BLUE』で概ね問題ないといえるでしょう。42~45m/sの人は『TOUR 2.0 CHROME』『TOUR 2.0 BLACK』を視野に入れて選んでみてください」
寛容性も操作性も評価 MAX評(4.4)より上に【総合評価4.6点】
【飛距離】4.0
【打 感】5.0
【寛容性】4.5
【操作性】4.5
【構えやすさ】5.0
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:ALTA J CB BLUE(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

小山内護(おさない・まもる) プロフィール
1970年6月19日生まれ、東京都出身。日体荏原高校時代にゴルフを始め、卒業と同時にジャンボ軍団入り。豪快なドライバーショットを武器に98年「サントリーオープン」、翌年「日本プロゴルフマッチプレー選手権」を含むツアー通算4勝を飾る。現在シニアツアーに参戦しながら、プライベートゴルフスタジオ「Favorite J-Golf」を運営。